JADO T860ドライブレコーダー駐車監視サブバッテリー化と車載Amazon Echo用タイマー【試作編】

ここ数週間、頭を絞っているのが、T860ドライブレコーダーの24時間駐車監視車載Alexa(Amazon Echo Dot)用のタイマーの回路をどう作るかということだ。

一応、期待する動作が確認できたので、今回の記事にしてみた。でもまだまだ課題もありそう・・・

ドライブレコーダーの駐車監視とAlexa(Amazon Echo)のサブバッテリー化

これだけでは、なんのことか意味不明だと思うので、もう少し詳しく説明しようと思う。

JADO T860 ドライブレコーダーは24時間駐車監視機能がある

まず、先日、ミラー型ドライブレコーダー JADO T860を購入した。(Amazonタイムセールで安かった。)

このミラー型ドライブレコーダーの良いところは、フロント用カメラがセパレートになっているところ。

従来のカメラ一体型のものは、何かによって遮られたりして思うように取り付けられない場合もあった。

T860はカメラが別になっているため、遮るものを避けて好きな場所にカメラを設置でき、カメラ位置が容易に動いてしまう心配もない。

そして、このT860は、オプションの専用ケーブル(降圧ケーブルと言う)を使うと、駐車中、12時間または24時間のタイムラプス撮影がおこなえる。

下の画像はバッテリーへ接続してテストしているところ。
緑色線で囲んだ部分が降圧ケーブル(給電の関係でGPSモジュールも接続される。)

タイムラプスとは、時間(time)と経過(lapse)を合わせた言葉。
時間当たりの撮影枚数を極端に少なくして(例えば1秒間に1回とか)撮影する方法だ。

時間あたりの動きをコンパクトにすることで、ドライブレコーダーの場合は記憶容量の節約と共にある程度の消費電力の低減をおこなうことができる。

つまり、クルマのエンジンを切った状態でも長時間の監視撮影をおこなえるわけだ。

しかし、これには少しばかりの心配もある。

というのは、駐車中にバッテリーの電力を消費すること。

エンジンが停止しているときは発電機(オルタネーター)が動いていないため、電力は全てバッテリーでまかなうことになる。

T860の駐車監視で使用する電流は数百ミリアンペアでしかないが、これもチリツモで、長時間流れ続けると結構バッテリーの負担になる。

実測値は以下の通り。

・通常動作の録画(エンジン動作中):530~630mA(電圧が低いほど電流値が多くなる。)

・タイムラプスの録画(エンジン停止状態)(ACCラインが0Vになるとタイムラプスへ移行):290~320mA

降圧ケーブルには一応、電圧の監視機能が付いていて、バッテリー電圧が11.8Vを下回ると、自動的に電流をカットアウトする仕様にはなっている。

しかし、この11.8Vというのがくせ者で、鉛バッテリーでそこまで電圧が下がるというのは、かなり電力を消耗した状態でもある。
もし、バッテリーが寿命近くで弱っていれば、最悪エンジン始動不能なんて事態にもなりかねない。

これはちょっと心配だ。
何しろ、わしが今乗っているクルマのバッテリーは某オークションで数千円で落札した怪しいリビルドバッテリー。最近明らかに、セルの回りも悪い。
以前紹介した、パルス充電器で延命治療をしながら、騙しだまし使っている状態なのだ。

そこで、監視動作用に別の電源をあてがうこと考えるわけである。つまりはサブバッテリー。

サブバッテリーを追加して、メインバッテリーの負荷を下げたいわけだ。

車載するAlexa(Amazon Echo)用のタイマー回路がほしい

次に何をしたいかと言うと、先ほどのサブバッテリーを使って、駐車中も、Alexa(Amazon Echo)を数時間、電源オフしないようにしたい。

それがなぜ必要かというと、例えば高速道路移動でAlexaを使って音楽を聞いていたとしよう。

長距離ではサービスエリアへ寄って休憩や食事もしたい。

AlexaとWi-Fiルーターはアクセサリ電源(ACC)から電源を取っているので、エンジンを切れば、当然両方とも電源が切れてしまう。

(下は車内で使用しているAmazon Echo Dotと車載向けWi-FiルーターのAN-S092)

休憩が終わって、再びエンジンをかけるとAlexaとWi-Fiルーターの電源が入るわけだが、起動するまでにずいぶんと時間がかかる。

走り出したら、「アレクサ、再開して。」と言えば、すぐに続きの曲を再生してほしいのだ。
(たまにバックレて最初の曲に戻ることもあるが。)

そこで、駐車中の数時間程度はタイマーを使ってAlexaとWi-Fiを生かしたままにしてやろうという魂胆である。

必要な部品など

以上を考えてみて、必要な部品を考えてみる。

しかし、部品代が高額になってしまっては意味が無い。
それならば、市販のサブバッテリー用アイソレーターを使ったほうが安全性も高く、メーカー保証もある。

バッテリーの部品代は仕方がないとして、それ以外はなるべく安価な部品で構成しようと思う。

まず考えてみて、主に必要とする部品は以下の通り。

・バッテリー

・充放電回路

・タイマー回路

リン酸鉄リチウムバッテリー

まず、サブバッテリーとするバッテリー。
これは、安全性の高い「リン酸鉄リチウムバッテリー」を使うことにした。

リチウムイオンバッテリーのように損傷や炎天下でも発火しない、鉛バッテリーより軽く水素ガスを放出することもない。
まだ価格が高いのと、低温時の充電に問題があることを除けば、車内に置くにはほぼ理想的な蓄電池だ。

ドライブレコーダーの駐車監視やAlexaを動作させるぐらいなら、小容量のもので十分。

リン酸鉄リチウムバッテリーの詳細については、世の中いっぱい情報があるのでググって頂きたい。

(今回は12.8V(4セル)、12Ahのリン酸鉄リチウムバッテリーを購入した。)

自動バッテリー充電コントローラー・保護モジュール

次に、サブバッテリーの充放電をどうするか。

充電についてはメインバッテリーにサブバッテリーを直結するという手も無くは無いが、やはり安全面やバッテリーの寿命のため、ちゃんとした回路で制御したい。

そして放電については、T860とAlexa、Wi-Fiルーターぐらいなら流れる電流は1アンペアにも満たないものの、動作が終わったら、ちゃんとサブバッテリーから自動で切り離してやりたい。

でないと細々とした電流によって、長い間充電しないとサブバッテリーを空にしてしまう。
これは、サブバッテリーを傷めてしまうことにもなる。

市販されている12ボルトのリン酸鉄リチウムバッテリーならBMS(バッテリー・マネジメント・システム)を内蔵しているので、過剰放電を検出し約10Vでカットアウトするため最悪の事態は避けられる。
(今回のバッテリーを実測したら9.7Vで出力停止となった。)

しかし、BMSはあくまで最終安全機能であって、充放電を制御するためのものではない。

そこで、充放電の制御モジュールを使うことを考えた。

機能的には、充電開始電圧と充電終了電圧を設定しておくことで自動的に充電、放電を切り替えてくれる回路だ。

充放電制御モジュールは安く手に入る。
しかし中華製なので信頼性については気にしておく必要があるだろう。

(30A自動バッテリー充電コントローラー・保護モジュール)

 出典:Amazon Japan

DC-DC昇圧モジュール

次に問題は、充電元のメインバッテリーである鉛電池の電圧が、リン酸鉄リチウムバッテリーの充電に要する電圧まで上がるかどうかだ。

確かにオルタネーターが動作しているときは14Vを超える程度まで上がるのは分かっている。

メインバッテリーとサブバッテリー間には逆流防止用のダイオードを入れる必要があるが、通常のダイオードではVF分、電圧降下を起こしてしまう。

これを回避するためには「理想ダイオード」を入れる手もある。

「理想ダイオード」とは簡単に言えばダイオードと同様の動きをする回路を組んだもの。
電圧降下がほぼ無い。だから「理想ダイオード」と呼ばれる。


 出典:Amazon Japan

が、オルタネーターの電圧に期待するというのは、どうも確実性が乏しいようにも思う。

できれば、ちゃんとした充電電圧まで昇圧してやることが望ましいだろう。

考えたのは昇圧回路を追加し、リン酸鉄リチウムバッテリーに必要な電圧まで上げることだ。

これもDC-DC昇圧モジュールとして製品化されたものが売られているので、これを使ってみることにした。

(400W DC-DC 定電圧/定電流 昇圧モジュール)

 出典:Amazon Japan

タイマーモジュール

次に、Alexaや車内Wi-Fiルーターを数時間動かすためのタイマー機能だ。

当初はタイマーICである555を使用した長時間の回路を考えてみたが、最長15分程度のものしか作れなさそうな感じ。

そこで、これまた製品化されたタイマーモジュールを使うことにした。

ECサイトでは「オートメーションタイマー」などという意味不明な名前で販売されているもので、最長999時間もタイマー設定できる代物。
999時間って、41日ぐらい動くことになる。精度はよくわからないがこれ、凄くね。

しかし、こういったものが、結局は中華頼りになってしまうのが残念。
日本製もあるが、高くて手が出せない。もちろん日本製は品質は高いと思うのだが。

(リレーモジュール オートメーションタイマー)

その他に要るもの・あると良いもの

以上が、だいたいの部品だ。
あとは部品をまとめるケースやフューズ、スイッチ、逆流防止のためのダイオード、配線材料などが必要になる。

ケースは100均ショップで良いものを見つけた。

クリアーケース。プラスチック樹脂のスモーク調になっていて、板厚もあり、大きさも良さげな感じ。
蓋は別売りになっている。

そして、板厚は少し薄いが、蓋つきの似たような大きさの透明ケースも見つけた。

昔は、電子パーツ店でケースを買い求めたが、これくらいのケースなら500円以上はすると思う。
これが、税込110円で手に入るのだから、まだまだ良い時代だ。

そして、ひとつあると便利なのが、バッテリーモニターだ。
充電率や電圧を交互に表示してくれる。

精度は分からないが、しばらく使ってみたところ、ちゃんと使えそうだ。電圧もほぼ正確。
それに、リン酸鉄リチウムバッテリー対応の設定ができるところが良い。

(デジタル電圧計・バッテリー残量計)


回路について

回路ブロック図

以上をまとめた、配線ブロック図は以下のようになる。(クリックで拡大)

走行中か駐車中(エンジン停止)かの判断をするために、入力電源にIG(エンジンオンで12V出力する電源。)を使用することにした。

別にアクセサリー電源(ACC)でも良いと思うが、ACCを意識的に使うこともあるためだ。

簡単に説明すると、

エンジン動作中は、IGからの電力が自動バッテリー充電モジュールによりサブバッテリーへ溜められつつ、T860ドライブレコーダーが通常動作する。
AlexaととWi-Fiルーターは、IG電源へ接続され動作する。

エンジンが停止されると、T860ドライブレコーダーはIG=0Vを検知して、サブバッテリーからの電力でタイムラプス動作へ移行する。
AlexaととWi-Fiルーターはタイマー回路を経由してサブバッテリーからの電力で動作する。

タイマー回路はIGが0Vになったことで、サブバッテリー側に切り替わり、切り替わりと同時にタイマー回路がカウントダウンを始める。
(時間は自由に設定できる。)

補助的な回路として、タイマー回路が確実に動作するための遅延回路(オフディレイ回路)と、タイマー回路が動作するまでのわずかな時間に瞬停が発生するため、AlexaととWi-Fiルーターに対するオフディレイ回路を追加した。
またタイマー回路には、タイマー時間経過後、自身の電源を断するための自己保持回路を追加してある。

これは動作終了後のサブバッテリーの余計な電力消費を防ぐためである。

※詳しい回路と動作の話は次回「続・試作編」の記事で説明しようと思う。

動作テスト

部品を集めたら、まずは充放電部分をバラックで組んでみた。

まだ車載するには検証が足りないので、とりあえず、IG(イグニッション電源)は、安定化電源で代用する。

とりあえず、充放電、T860のタイムラプス動作、Alexa用タイマー回路は正しく動くようだ。

しかし、サブバッテリーが大きく消耗した場合、充電を開始した途端に5A以上の大電流が流れてしまう。

充電が進むにつれ、早々に電流は少なくなるものの、これはちょっと気になるところ。

今回のリン酸鉄リチウムバッテリーの推奨充電電流は2.4Aだ。
バッテリーを傷めないため、できるなら2A程度の電流で充電したいところ。

それに使っているスイッチ類が最大5Aの許容値しかないため危険でもある。

使用したDC-DCブーストコンバーターには定電流の機能があるとのことだが、これがどうも怪しい。
調整方法が悪いのかもしれないが、14V程度の電圧を出すためには、電流値を上げないといけないのだ。

何かが壊れているかもと思い、MOSFETやダイオード、ポテンショメーターを調べてみたが異常は見つからなかった。

別に定電流回路を追加するのもありだが、これはちょっと宿題としよう。

一応動くことが確認できたので、前述のプラスチックケースに収めてみた。

(プラスチックケースに組み込んだ試作品 壱号機)

おわりに

今回は、小電力のサブバッテリーシステムを考えた。

しかし小電力と言えども、数アンペアという比較的高い電流を扱う物。しかも、無人状態での動作の場合もある。

何か不具合が起これば、発煙、発火など重大事故発生の可能性も無きにしも非ず。

記事中にも書いたが中華製モジュールを使うので信頼性については100%信じられないところもある。

見かけはちゃんとした製品でも、それに使われている半導体が、性能が出ない偽物の場合もある。

また、ノイズに対して、なんの確認を行っていない。
今回使用したモジュールの中には、数百Hzの発振回路も含まれている。
これがクルマに与える影響も不明だ。

まあ、リスクばかり考えると、個人的技術の進歩もないので、ある程度のことは承知しつつ実験を重ねて行こうと思う。

次回「続・試作編」で、詳しい回路や各モジュールの設定、調整方法、追加の回路などについて書いてみようと思う。