ドアオープンアテンションランプをつけてみよう(ヴェゼル RV系)

今回は「旧新型ヴェゼル」(笑)に、後続する車両などへドアオープンの注意を知らせる「ドアオープンアテンションランプ」をつけてみた話。

ちょっと工作、配線作業は必要だが、試してみようという方はご参考に。

尚、今回実装したのは、運転席と助手席側だけで、後部座席については取りつけていない。
しかし、後部座席も要領は同じなので、応用は簡単だ。

「ドアオープンアテンションランプ」

こういった類のものを世間でどう言うかは分からないが、今回は勝手に命名した「ドアオープンアテンションランプ」で押し通すことにする。

これは、冒頭でも書いた通り、後続車や自転車、人などに「クルマのドアを開けたよ!」という注意シグナルを送るためのものだ。

 【取りつけた「ドアオープンアテンションランプ」】

以前、路肩停車中のクルマがいきなりドアを開けて、後続のクルマがぶつかり、見事にドアが吹っ飛んだ事故を目撃したことがある。
まあ、不運というか、せっかちな人がいるもんだなと思ったのを覚えている。

普通はそんな無謀な行いはしないとは思うが、ドアを慎重に開けてもお互い人や自転車が気づかないケースもあるだろう。特に夕方、夜などは分かり辛いのは確か。

そこで、ドアエッジ部分にランプを取付け、ドアオープンで赤く点滅させ注意を促そうというわけだ。

もちろん道交法に規定があるわけでもないし、違反でもない。

実は以前に乗っていたクルマに同じものをつけていたら、整備の人に「いいねぇ。」と言われたこともある。

どうやってドアオープン/クローズを知る?

さて、この「ドアオープンアテンションランプ」、取り付けるにあたって、ひとつ大きな壁がある。

ヴェゼル(RV系)にはドアカーテシーランプが無いのである。

カーテシーランプは、ドアの開閉と連動して点灯、消灯するドア下部についているランプのことだ。
クルマに乗り降りする人の足元を照らし、後続車などにドアが開いていることを知らせる役目もある。


 出典:レクサス専門店 株式会社OS(オーエス)

ちなみにカーテシー(courtesy)とは礼儀とか親切とか言う意味。
暗い場所でも地面を照らし、ドライバーや助手席の彼女に失礼が無いようにというのが発祥なのだろう。

このランプから電源を取れば「ドアオープンアテンションランプ」は簡単に実現できる。
分岐すれば良いのだから。

しかし、これが無いと、電源を取ることはおろか、ドアオープンを知ることさえままならない。

どこかにドア開閉のセンサーがあることは確かなこと。

そこで回路図を探ってみる。まずはいじって失敗しても被害が少なそうな助手席側の回路。

どうも、9番ピンのAS_DOOR_SWという信号名のあるスイッチが怪しい。(助手席側がAS。運転席側はDRとなる。)


(上部にある灰色の部分は「ボディコントロールモジュール」、制御用のコンピューター回路。)

ドア内張りを外すとワイヤーハーネスやカプラーが見える。
助手席の場合、ドア内側の左上にあるカプラーが、ドアラッチ用のカプラーになる。

カプラーの実物とピン配置は以下のようになっている。

(ピン配置はピン側から見たもの)

ドアラッチを押すドアロックストライカーの代わりに、同じような太さの金属棒を差し入れてみる。

すると確かに、金属棒の押し込みにあわせて、信号がオンオフする。
ちなみに、ドアオープンで0V、ドアクローズで約11Vとなる。

つまり、センサースイッチがグランド(車体アース)に落ちるかどうかで、ドア開閉を認識しているようだ。

ドアオープンでグランドに落ちるようになっているので、これはまことに都合が良い。

逆論理だとちょっと別回路を考えなければならないが、これなら単純に点滅回路のグランドをセンサースイッチのコモン側へつなぎ込めば済むからだ。

さて、ドア開閉の信号は判った。あとは電源の取り出しだ。

ドアオープンアテンションランプはハイブリッドシステムが動作しているしていないに関わらず点滅する必要がある。そのため常時電源が必要になる。

ドア部分だったら絶対にあるハズと信じてカプラーピンをテスターで探っていく。
するとパワーウインドウスイッチユニットに刺さる37ピンカプラーにそれがあった。

これの1番ピンが+12V常時電源になっている。

ピン配置は以下のようになっている。

必要な部品

信号と電源が判れば、あとは点滅回路とランプ(発光ダイオード)を用意すれば良い。

ランプは電球型のLEDを使用した。

これは一般のLEDとは違って、先端が凹型になっているLED。
光が正面からも側面からも拡散するため、とても視認性が良い。
(一般の砲弾型LEDでは指向性が高いため広範囲に照らせない。)

12V仕様で、内部には560Ωの抵抗が封入されている。

(下記画像は青色のもの)

 出典:秋月電子通商

電球型で口金がE10なので、簡単に別色へ交換も可能。

以前は、秋月電子で各色が販売されていたが、今は青色しか無いようである、残念。

秋月電子通商 電球型LED 青色 凹タイプ(8mm) 12V
https://akizukidenshi.com/catalog/g/g101644/

ちなみにAliExpressでも販売されているようだ。(こちらは各色あるが使用電圧が8Vのものまで?)

AliExpress
https://ja.aliexpress.com/item/1005004326040055.html

電球ソケットはこれ。

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次に点滅回路。

今回は555というタイマーICを使用している。12Vでも問題なく動作する。

555は少しの外付け部品で点滅周期や、デューティー比(一定周期で点滅する場合の点灯する時間と消灯する時間の比率)を変えられるのが良い。

下は蛇の目基板に組んだ点滅回路。

回路図はこちら。

+12Vラインに1N4148というダイオードが入っているが、これは逆接続による破損防止のため。
いらないと思うなら無くて良い。

もっと簡単にしたいなら、LEDフラッシャーICと呼ばれる3本足のものがある。
型番が「M34-2L」は点滅周期が2Hz、つまり1秒間に2回明滅を繰り返す。


 出典:共立電子産業株式会社 エレショップ

LEDフラッシャーIC/0.5秒周期 M34-2L

https://eleshop.jp/shop/g/g6CM311/

YouTubeに動画があるのでご参考に。

共立電子産業株式会社「LEDフラッシャーIC M34-1L M34-2L M34-8L」

LEDフラッシャーIC M34-1L M34-2L M34-8L

但し、12V電源での使用には注意が必要。このICは最大定格電圧が5Vになっている。
そこで、途中に抵抗やツェナーダイオードを入れて電圧を超えないようにしないといけない。

【参考資料】秋月電子通商 「自己点滅LEDを高い電圧で点滅させる場合の回路例」(pdfファイルです。)

https://akizukidenshi.com/goodsaffix/blinkingled_sample_circuit.pdf

もっと簡単ならば、点滅LEDを使う方法もある。
またこれも同様に定格電圧を超えないようにする必要がある。

これが最も簡単な方法だが、明るさと拡散の具合に課題が残る。
(定格電圧を超えても動作はするが、寿命が短くなる。)

あとは線材。電流値は少ないので、0.2sq~0.5sqぐらいのダブルコードが使いやすい。


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2芯コネクタはLED部分だけ分離できるように、2Pカプラーを使用した。
点滅をやめたいときは、このコネクタを抜けば良い。
(※ 圧着工具が必要)


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そして、安全のため、電線の保護チューブ(コルゲートチューブ)を使うと良い。
今回の配線ルートでは窓の開閉で配線がブチ切れることは無いが、ドアの開け閉め、走行によって絶えず振動を受ける場所。保護しておくと安心だ。


あとは、ワーヤーハーネスを再度保護するための布絶縁テープがあると良い。
普通のビニールテープでも良いが、経年変化でのり面がねちょねちょになるため、わしはなるべくこの布テープを使うようにしている。

工作

さて、「ドアオープンアテンションランプ」をどこに設置するかだ。

ヴェゼルには、ドアノブを取りつけているビスがある。
このビスにアクセスするための穴が丁度良い位置に開いていて、穴には樹脂製のキャップがはまっている。

この穴とキャップを流用してLEDを取付けることにした。(運転先側は楕円形になっている。)

以下は助手席側の取付けについて書いてある。
それぞれやり方はあると思うが、一例としてご参考に。

下記は全体のレイアウト画像。

ワイヤーハーネスが一か所にまとまる部分があるので、ここで全ての配線の接続をおこなった。
それが図中の「配線分岐位置」になる。

ここのすぐそばに点滅回路を設置して、あとはLEDへの配線を行った。
その配線を通す場所が×で示す「LED配線用穴あけ位置」だ。

では、手順。まず、先ほどのキャップを外す。

キャップにLEDを取りつける穴を開ける。

LEDを取りつける。

一見、良さそうに見えるが、実は電球ソケットが奥にあるドアノブの取付けビスと干渉してしまう。

そのため、LED電球を前に出すか、干渉しないように電球ソケットを削る必要がある。
(削る場合、ソケット+とビスがショートしないように注意。)

(穴の奥にあるドアノブ固定用ビス)

うしろ側は接着剤でがっちり固定した。
あとは分離できるように2Pカプラを取りつけた。

LEDからの配線は保護チューブを通して中に引き入れる。
窓の開け閉めで配線がガラスに接触しないように配線ルートは注意する。

保護チューブを巻いた配線は既存のワイヤーハーネスにインシュロックで共締めした。

次に配線分岐位置の保護テープを取り除く。

助手席側の場合、図の2本の線が接続対象だ。

今回の接続はハンダ付けで行った。

もちろんエレクトロタップを使用しても良い。但しかさばるし、接触不良が起きやすいので注意。

ハンダ付けの場合、接続先の線を5mm程度剥いて心線を露出させる。

尚、+12Vの常時電源の被覆を向く場合、思わぬショートを起こす危険がある。
そのためバッテリーは事前に外しておいたほうが良いだろう。

もしショートさせると、20Aの車体フューズを切ってしまう可能性がある。

作業後、バッテリー接続するとエラーがいっぱい表示されるが、下記の記事内に簡単な説明が書いてあるのでご参考に。

やればできる!自分で取りつけるディーラーオプション(ヴェゼル 内装編)

次に点滅回路からの配線を結び付ける。

ハンダ付けする。

あとは絶縁テープを巻く。

ドアオープン/クローズ信号の線(緑色)も同様に接続をおこなう。

最後に点滅回路を含めた全体を絶縁テープで包んでやる。

あとは、バッテリーをつないで、ドアオープンで点滅、ドアクローズで消灯するのを確認する。

運転席側の情報

助手席側がうまくできたら、運転席側も同様な手順で取付が可能だ。

資料として、回路図、カプラー、信号名を載せておく。

配線分岐位置には同じ色(茶色)、太さの線が2本きている。どちらが正解かは導通で判断するしかない。
あなたの強運の見せどころ。(わしは外れた。)

おわりに

今回、取り付けたLEDが出っ張りすぎでちょっと不格好なため、もう少し奥になるように改造する予定だ。

まあ、しかし、暗がりのドアオープンでピカピカ光るのは趣があるし、多少安全に寄与するかもしれない。

また、ドアオープン/クローズの信号が判ったことで、ドアカーテシーランプやロゴライトなどへの応用もできるだろう。
但し、ドアスイッチ接点の電流容量が不明なので、あまり大電流を流すと異常をきたすかもしれない。

信号を別回路で受けてMOSFETなどで駆動するのが良いと思う。