ジャンク カラーページプリンターを修理 しかし意外な落とし穴が・・・

先日、オークション出品されていたブラザー製のカラーページプリンター(HL-L3230CDW)の故障品を安く落札した。

故障原因は単純だったものの、意外な落とし穴があったので、それについて書いてみようと思う。

(またまた、グダグダ書いているので適当に読み飛ばして頂きたい。)

「ページプリンター」って?

ところで、「ページプリンター」って何?、「インクジェットプリンター」とどう違うの?と思われるかもしれない。

ざっくり言えば、「ページプリンター」はトナーを使い、「インクジェットプリンター」は、その名の通りインクを使う。

■ インクジェットプリンターの構造

■ ページプリンター(レーザープリンター)の構造
 (下はモノクロ機。カラーの場合はマゼンタ、シアン、イエローのトナー、感光ドラムが追加される。)

 出典:情報機器と情報社会のしくみ素材集 (http://www.sugilab.net/jk/joho-kiki/index.html)
 ※本画像は社会人知識向上の目的で使用させていただきました。

しかし、これは、誤りではないものの、正しくもない。

”ページプリンター”というのは使用する色素の種類というよりも、紙への出力方法の名称だ。

ページプリンターは(見かけ上)プリンタ内部で1ページ分のデータを作り一気に紙へ出力する。
だから、シリアルプリンター(1文字づつ印刷)とかラインプリンター(1行づつ印刷)との対比がある。

そういう意味で言うと、インクジェットプリンターはメカ的にはシリアルプリンタに近いと言えるかもしれない。

だが、世の中は「ページプリンター」= ”トナーを使うプリンター”という認識が大方なのである。
「トナープリンター」と呼んでもよさそうなものだが、そうは言わないのだね。

まあ、そんな話はよくあることで、テレビで、「UFO」 = 宇宙人の乗り物 ≒ 空飛ぶ円盤となってしまっているのと同じなのかもしれない。意味するところは「未確認飛行物体」なのに。

あの有名な曲とか某外国SF TVドラマが影響しているのかな(笑)

過去記事:シャドーモービルのプラモデル

ついでに言うと、ページプリンター = レーザープリンターかというとそうでもない。
今や安価なページプリンターは、ほぼ「LEDプリンター」になっている。

装置内部の感光体へ文字や画像を描くプロセスにレーザー光ではなく、LEDの光を使っている。
(昔は液晶シャッタープリンターなんてーのもあった。これは液晶で光をオンオフ仕組み。)

さて、無駄口ばかりで前に進まないが、なぜページプリンターを手に入れようとしたか?を書いておきたい。

それは、インクジェットプリンターは使用しないとすぐインクが目詰まりして使えない状態になるから。
一年に一回、年賀状しか印刷しない人は多くの人が思い当たるのでは(笑)

そうなるとクリーニングのために大量のインクを消費する。これがもうイヤになってきた。

もちろん、インクジェットプリンターは画質もきれいで、写真レベルの印刷もできる。
しかし、年賀状にイラストを印刷するぐらいなら、カラーページプリンターで十分なのである。

トナーなら水に濡れても滲むことがないし、印刷速度も速い。

それにワードやエクセルの書面もよく印刷するので、トナーで印刷ならビジネスチックではないか(笑)

そこで、安いカラーページプリンターを入手するチャンスを伺っていたわけである。

めっちゃ安いジャンク品を発見

ある日、カラーページプリンターのジャンク品(動作不能品)が某オークションに出品されていた。

ブラザー製のカラーページプリンター(HL-L3230CDW)。新品の市販価格は約2万数千円。
パーソナル、スモールオフィス向けの小型のカラーページプリンターだ。


 出典:Amazon

オークションでは入札も少なく、価格はまだ千円台。

しかし、安物買いの銭失いというのもある。
もし落札したとして、直ればラッキーだが、そうでなければただのゴミだ。

説明では、突然印刷できなくなり、”インサツデキマセン 05”を表示し動作不能だという。
出品者曰く、『購入してまだ2年しか経っていないのよ』と言うが、2年も経てばりっぱな老朽品だ。

”インサツデキマセン 05”は修理可能か?

とりあえず入札はせず、まずは情報を探って、修理できそうかを判断することにした。

最初に書いたように、いくら安くても修理できなければただの粗大ゴミになるだけだから。

印刷品質が悪いのなら何とかなりそうだが、動作しないとなると話は別次元になる。

印刷品質の不良なら、トナーやドラム、転写ベルトあたりの交換で修理できる可能性が高い。
それはECサイトに交換用トナー、ドラムなど、正規品、互換品が大量に出回っているから。

しかし、動作しないとなると機構部品の故障の可能性があり、部品が入手できなければ、ジ・エンド。
(但し、もう一台手に入れて、”ニコイチ”という手も無くはない。)

メーカーによっては部品の個別販売も可能なところもあるようだが、ブラザーは無理なようだ。

ebay(海外通販サイト)あたりでは部品が見つかるが、けっこう高額。

ブラザー(兄弟)なんだから、人類皆兄弟で売ってくれてもよさそうなものだけど(笑)

「インサツデキマセン 05」の意味を調べてみる

まずは、メーカーのホームページからユーザ向け取扱説明書を見る。
「インサツデキマセン XX」は「機械的な異常があるためコールセンターに電話しろ!」と書いてある。

案の定、矢吹丈である。だいたい取説に、役に立つことはまず書いてない。

ならばとサービスマニュアルを探してみる。
これはメーカーのホームページには無いので、アングラ的なところを探る。

残念だが他機種のものはあるが、この機種のものは見つからなかった。

いや、見つかったが、それは有料販売されているものだった。
11ドルだという。買えなくはない金額で、少し心が動いたがとりあえず保留にしておく。

次に「インサツデキマセン 05」をネットで検索してみる。意外とヒットしない。う~ん・・・

「インサツデキマセン 05」は英語で「Print Unable 05」になるので、今度はこれで検索してみる。

日本で販売されているプリンターはグローバルに展開されているものも多く、海外でも同一のものが売られている。(OEMで違う型番のものもある。)
海外では故障修理のノウハウ情報は多いので調べ方を変えるとヒットしやすい。

情報はYouTubeで見つかった。かなり怪しい場所で修理している映像だ(笑)


 出典:YouTube

修理は、フューザー(定着機)のサーミスターをバイパスするという恐ろしい技だった。

サーミスターはフューザーの温度を検出する部品。
フューザーの温度を検出するとともに、過熱も検出して事故を防ぐ役目もする。
(温度検知と過熱を別の素子で検出する機種もある。)

まあ安全装置を外しているわけだから、技術屋としては論外だが、「動けばいいや」精神は何でもありになる。

残念ながら、修理しているプリンタは違う型番のものだった。
しかし、同じブラザー製。同じメーカーなら、エラーコードを共通化しているケースが多い。

恐らく「インサツデキマセン 05」はフューザー関連のトラブル(温度異常検出)であることに察しが付く。

部品のフューザーユニットはebayで見つかったが、結構なお値段。
それならば、もう少し出して、新品の本体を買ったほうがはるかに良い。

下はebayで売っていたフューザーユニット。

しかし、直せる確率はゼロではない。「直してみたい」という、いつもの悪い根性が頭をもたげる。

これはひとつのギャンブルだな。
気合いで入札。男の子は思い切りが肝要なのよ。

意外と金額は伸びない。どうも「動作せず」が嫌われているらしい。

壊れて動かない機械をわざわざ買うアホなやつはそう居ないわな。

で、結局千円ちょいで落札。送料のほうが高かった(笑)

原因は単純なものだった

数日してクソでかい箱に入ったブツが届く。

まずは症状の確認。コンセントをつないで電源を入れてみる。

ひょっとして、夜のうちに小人さんたちが直してくれているかもしれないし。

でも、やっぱりエラー。

「ヒーターカクニンチュウ」、「15フン オマチクダサイ」を交互に表示、その後「インサツデキマセン 05」となる。

「ヒーター・・・」というからには、やはりフューザー部分の異常であることに間違いないようだ。

ヒーターランプが断線しているなら、即エラーとして停止するはずだから、やはり温度制御が異常となっていると推測。

やはり、サーミスターか?
サーミスターのバイパス手術はやりたくないね。

とりあえず、電源を落として、フューザー部分を覗いてみる。

すると、目に入ったのはフューザーの奥にある白い物体。

そう、それはヒートロールに巻き付いた紙だった。

原因はこれだ。思わずガッツポーズが出る。

これはローラーラップといって、ヒートローラーに紙が巻き付いた状態。
紙によって、サーミスターに届くはずの熱がさえぎられ温度異常となるパターンだ。

修理はできたが・・・

早速、フューザー部分を取り出し、紙の取り出しを始める。

これが意外と苦戦、大量の紙が巻き付いていて、簡単に取り出せる状態ではない。
輸送伝票のラベル紙らしく、見事に貼り付いている。

少しづつ破りながら、取り出してゆく。
紙を巻き込んだまま、無理に動いていたせいだろう、プレッシャーローラー(オレンジ色のローラー)の表面がしわしわになっている。
(しかし、これは表面が破れていないかぎり、印刷に影響しない。)

どうにか取れたので、念のためローラー表面を清掃しておく。

結局、これだけの紙が巻き付いていた。ここまで印刷できていたのが不思議だ。

組み立てて電源オン。

すぐに「インサツデキマス」が表示されると思いきやそうではなかった。

当初のように、「ヒーターカクニンチュウ」、「15フン オマチクダサイ」を交互に表示している。

実は最近のプリンターは賢く作られていて、電源オフ(コンセント外しても)しても前回のエラー状態を覚えているものがある。
次に電源を入れたとき、エラーが解消されているかチェックをするのだ。

特にヒーター系が壊れていると何かとヤバいのでこういったチェックをするのだと思う。

メーカーが、故障でいちばんいやがるのは人身事故と発煙、発火。
下手をすれば人命、財産にかかわり、損害賠償に発展するケースもあるからだ。

長い診断が終わって、やっと「インサツデキマス」を表示した。
しかし、どの色のトナーも残り少ないようだ。
「インサツデキマス」の前に、トナーが少ないのメッセージも表示していた。

ではテストプリントをしてみる。

印刷はできた。但し、印刷の具合が悪い。特に、紙の両端に黒い汚れが大量に出る。

右は正常の印刷。左が画質が異常のもの。
黒い汚れが両端に出るし、カラーの印刷濃度が低い。

まあ、印刷の汚さを気にしなければ使えるが、やはりきれいな印刷を出してやりたいのが人情。

ドラムかトナーカートリッジが寿命、つまり消耗品類が寿命になっている様子だ。

中古ページプリンター購入時の意外な落とし穴

”意外な落とし穴”と言っていたのはこの消耗品の罠のことだ。

ページプリンターというのは消耗品のかたまりみたいな機械である。

消耗品とはトナーカートリッジ、ドラムカートリッジ、転写ベルト、廃トナーボックス、フューザー(定着機)、搬送ローラー等々。

本体をいくら安く手に入れることができたとしても、消耗品が寿命で、それを交換しなければならないと、結局は高くついてしまうことになる。

厄介なのは、フューザー(定着機)、搬送ローラーなど、入手しにくい消耗品(消耗部品)が寿命になった場合だ。

この類のプリンターは内部に部品ごとの印刷枚数カウンタを持っており、設定された寿命値に達するとエラーにしてしまう方式が多い。

トナーカートリッジやドラムならば、新しいものを買ってきて交換すればまた使えるようになるが、フューザーやローラー類は入手が難しい。

たとえそれらを交換できるスキルがあったとしても、部品が入手できなければどうしようもない。

そうなると、メンテナンス部署へ送って、寿命部品を交換してもらうしかない。
しかし、これが目が飛び出るくらいの部品代と手数料。

強者は、自分で部品を確保したり、別のプリンターを入手してニコイチにすることも考えられるが、手間と労力を考えたらどうなのか。

部品交換するより新品を買ったほうが安くつくという逆転現象が発生する。

今回はアマゾンでいちばん安い、互換トナーカートリッジ(全色)とドラムを手配した。

届いたトナーカートリッジを全色交換し、黒のドラムを交換して、印刷もきれいになった。

下は届いた互換トナーカートリッジ。昔の互換品はトラブルも多かったが、今は品質が向上しているようだ。

もともと装置に装填されていたトナーカートリッジの青(右側)。
色も薄く、ムラになっているのがわかる。

こちらはドラムカートリッジ。

感光ドラム部分。表面上は異常が無いように見えるが劣化している。
黒は使用率が高いので劣化しやすいようだ。

結局、7千円程の追加出費になった。

今回の記事で伝えたいことのひとつは、中古のページプリンターを買うときは、注意しないと意外な出費に見舞われる場合があるということだ。

もし中古品を買おうと思ったときは、どれほどのページ数を印刷しているかを確認するべきだと思う。

部品の寿命が直前のものを買えば、印刷品質も悪くなり、すぐに寿命が来て、交換の必要が生じる。

寿命カウンタをメンテナンスモードでリセットする裏技もあるが、それだけ使っているということは、部品もそれなりに傷んでいるということだ。

だから使用量の多いものは買うべきではない。

安ければまだしも、そうでなければ新品を買ったほうが結局は安かったということになってしまう。

但し、修理してうまく動いた時の感動は忘れられない。脳がすごく満足してくれるのは間違いない。

おわりに

今回は、中古ページプリンターを買うときについて、少々ネガティブなことを書いた。

まあ、これが分かっていて、あえて買う人も居るのが世の中の面白いところだけど。

これは中古インクジェットプリンターについても同じことが言えるだろう。
ただ、インクジェットプリンターはインクカートリッジ以外、消耗品が少ないことが救いかも。
(ただし、廃インクパッド満杯のカウンタ数値が残り少ないという罠がある機種もある。)

最後にこのブラザー製カラーページプリンター(HL-L3230CDW)のテクニカルな情報として、メンテナンスモードなど、入り方や操作について書いておく。

■ドラムカウンターをリセットする方法

ドラムが設定された寿命値の回転数に達すると、ドラムを交換するようにメッセージが表示される。
但しプリンタ動作は続けることができる。(印刷品質はしだいに劣化してゆくが。)

1.[OK]ボタンと[▲]ボタンを同時に押す → ”ドラム” ”▲▼デセンタク&OKボタン”を交互に表示
2.[▲]または[▼]ボタンで”ドラム”を選択(ここでベルトも選べる)→ ”ブラック(BK)”を表示
3.[▲]または[▼]ボタンでリセットする色を選択し[OK]ボタンを押す → ”▲リセット ▼キャンセル” を表示
4.[▲]でリセットを押せばドラムカウンターがリセットされる

■トナーカウンターをリセットし、最後までトナーを使いきる方法

トナー交換のメッセージが表示された場合、以下の手順をでトナーを交換せずに印刷を続行できる。
(ボタンを押すタイミングが悪いのか、再現性が著しく悪く、下記方法でできないケースが多い。いろいろ試していただきたい。)

1.トップカバーを開けたままにしておく。
2.[Back]ボタンと[Cancel]ボタンを3秒間押し続ける。
3.”キホン セッテイ” が表示されたら、[Back]と[Cancel]ボタンを一緒に3回クリックする。→ ”K-TND-STD”または”K-TND-HC”を表示
4.[▲]または[▼]ボタン、リセットするトナー色を選択し[OK]ボタンを押す → ”▲リセット ▼キャンセル” を表示
(Kは黒、Cはシアン、Yは黄色、Mはマゼンタ、STDは標準トナー、HCは大容量を意味する。)
5.[▲]でリセットを押す → ”Accepted”と表示され、トナーカウンターがリセットされる。

これを行えばトナーカートリッジ内のトナーを使い切ることができるが印刷品質は低下してゆくので注意。

■メンテナンスモードへの入り方と有用な機能

1.[OK]ボタンを押す。→ ”キホンセッテイ”を表示する。
2.[GO]ボタンを押し続け、液晶表示が消えたら[GO]ボタンを押したまま[▲]ボタンを4回押す。 → ”■■ MAINTENANCE ■■”を表示する。
(液晶バックライトが点滅する。)
3.[▲]または[▼]ボタンで機能を選択し、[OK]ボタンを押す → ”MAINTENANCE nn”が表示され、機能が実行される。
 (サブオプションを要求してくる機能もある。)

機能は01~99まである。いろいろ試していただきたい。
役に立ちそうな機能は以下。

11:コンフィグレーションリストを印刷
68:カラーバーを印刷
71:各色の印刷(単一やパターンも指定可能)
88:フューザーユニット、PF KIT、LVPSのリセット
99:メンテナンスモードを抜け、通常状態へ復帰