クルマのカスタマイズのひとつに、リアリフレクターを光らせるというものがある。
リフレクター内にLEDを入れて、ポジション(スモール)ランプ点灯時やブレーキの時に連動して光らせるやつだ。
俗にいう「LEDリフレクター」というものでネットでも販売されている。
ヴェゼル(RV系)の改造記事 第二弾ということで、今回はこの「LEDリフレクター」を自作してみた。
リアリフレクターの目的
リフレクターというのは、ご存じの通り”反射器”のこと。
クルマのリフレクターは、他から明かりを照射したとき、その光を反射してクルマの存在を知らしめることが目的だ。
もし、真っ暗な夜道でライトも点けずに路肩で停車しているクルマがいたとき、自車が接近して光が反射すれば、その存在に早く気づける。
近頃は暗くなっても平気で無灯火で走っている困ったちゃんなクルマもいるので、これの発見にも役立つ。
(ヴェゼルのリアリフレクター)
だから保安基準も事細かに決められている。
文字や三角形以外の形であること、反射光の色は赤色、後方150mから前照灯を照射した場合反射光が確認できること、等々。
また大きさや、取付位置(高さ、左右位置)も細かく規定されている。
光るリフレクターは法令違反?
本来リアリフレクターは発光するものではない。では発光するものは違反なのか?
ネットで調べると、色々な解釈があるようで、ダメというものもあれば、保安要件を満たせば大丈夫というものもある。
車検場でもLEDリフレクターに対する考え方ははっきりと決まっておらず、そのあたりは検査員の裁量次第という情報もある。
保安基準は「それ本当に必要なのか?」というぐらい細かく決まってはいるが、どこかザルな日本の車検制度を揶揄するような書き込みもある。
共通する考えとしては、発光してもしなくても、反射機能が無いものはダメ。ということらしい。
では逆に解釈すれば、発光しても反射機能があれば良しということも言える。
グレーではあるが、発光することによって自車の存在を他車に知らしめるという目的では理にかなっているのではないだろうか。
市販されているLEDリフレクター
市販のヴェゼル用LEDリフレクターは数種類販売されていて、価格は4,000円~8,000円ぐらい。
ブレーキとも連動して、ブレーキ時には明るく光るようにできているものが多い。
中には、点滅するギミックが組み込まれているものもある。
(Amazonで販売されているいろいろなLEDリフレクター)
これだけ販売されているのは、ドレスアップパーツとして人気が高いのだろう。
確かに夜間、走っているクルマの後ろ姿を見ると、下側にも光があれば見栄えがいいなぁと思うことがよくある。
市販品の点灯状態を見てみると、LEDのツブツブ感が出ているものが多いようだ。
これは好みの問題だが、ツブツブ感が出ているものが良い人や、いやフラットに光る方が良いという人と分かれるのだろう。
わしはツブツブでは無く、フラットに光る方が好みだ。
(シェアスタイル ヴェゼルRV専用 LEDリフレクター 車検対応)
出典:SHARE×STYLE
LEDリフレクターの自作は簡単?
今回は、市販品の交換ではなく、オリジナルのリフレクターを分解(カラ割り)してLEDを仕込んでみた話だ。
意外と簡単に作れるので、腕に自信のある方は試してみてはどうだろう。
では、今回のヴェゼル(RV系)のリアリフレクターに埋め込むLEDはどんなものが良いか?
チップLEDなどをひとつひとつ基板にハンダ付けしてゆくのが一般的におこなわれる方法だ。
しかし、これは手間がかかる。基板をリフレクターの形に合わせて切り出したり、LED間の配線も必要だ。
しかも、どうしてもツブツブ感が出てしまう。フラット感を出すには、LEDの数を多くするか、光の拡散を工夫する必要がある。
そこで、最も簡単にフラットな光を、手間をかけずに埋め込むのに適したもの、それがCOB LEDだ。
COBとはChip On Boardを略したもので、基板の上にチップを実装する技術のこと。
COB LEDは基板の上に大量のLEDを生成したもので、ほぼ面発光に近いものになる。だからフラットな光を得られる。
しかも、形状が薄いので、隙間の少ないリフレクター内に埋め込むにはもってこいなのである。
(弱電流で光らせたCOB LED。電流値を大きくすると、フラットな発光になる。)
リアリフレクターのレンズは赤色の樹脂なので、COB LEDも赤色のものを使用する。
赤色COB LEDはAmazonで1,300円程度で販売されているが、残念ながら種類はとても少ない。
レンズ色が赤なのだから白色のLEDを使用しても問題なさそうに思う。それに白色の方が種類が豊富で入手しやすい。
ではなぜ白色がよろしくないかというと、それは光の透過が悪くなるからだ。
以下のYouTube動画でくわしく解説されているので、興味のある方はご覧いただくと良いと思う。
【赤いテールレンズに白いLEDは絶対入れてはダメ!ごんた屋 NORI GONTA ch】
尚、今回のLEDリフレクターは、ブレーキに連動して明るく光る回路にはしていない。
ポジションランプ(スモールランプ)点灯時に同程度の明るさで光るだけにしている。
もし、ブレーキランプに連動させたいなら、後述する回路にすれば良い。但し、発熱することをちゃんと考えておいた方がよい。
製作!
製作の流れ
LEDリフレクターの製作は以下の流れとなる。
■ リフレクターのカラ割り(レンズ部と基台部分を分ける)
■ 配線用の穴あけ
■ 基台へCOB LEDを接着
■ リフレクターの組み立てと防水(シーリング)処理
部品と工具
揃える部品と工具は以下のもの。
・COB LED(赤)幅18mm、長さ170mm 2本セット
主にデイライト(Daytime Running Light)用として販売されているもの。
・抵抗 51Ω 1W型 2個(使用するCOB LEDにより調整要)
下はいくつかワット数の違うものを並べたもの。1W級は黄色の囲みのもの。
・配線材料(0.5sq エーモンのダブルコードが使いやすい。)
・スイッチ(車検対応用。ギボシ端子で回路を切る方法もあり。)
今回は手持ちのスイッチを流用。
取りつける場所によっては防水対応のものを使用した方が良い。
・ギボシ端子又は2Pコネクター、圧着工具(取外しを考慮しなければ不要。)
・配線チューブ(配線保護用 3Φか5Φのものが使用しやすい。)
・エレクトロタップ(赤 0.5sq~0.85sq用)(分岐配線用だが、ハンダ付け処理するなら不要。)
・ビニールテープ、自己粘着テープもしくは熱収縮チューブ
絶縁用だが、最近はダイソーで自己粘着テープを売っているのは驚き。
・配線留め、インシュロックなど
・オルファ Pカッター(カラ割りに使用)
出典:オルファ株式会社
・ハンダごて、ハンダ(エレクロトタップ、ギボシで処理するなら不要。)
・プラス、マイナスドライバー、ニッパー、など
・接着剤(コニシ ウルトラ多用途SU クリアーがお勧め)
素材を荒らすことがなく耐候性も高くて接着、シーリングには持ってこい。
難点は、硬化するまで少々時間が必要なこと。
・線通し、もしくは針金など
車体下側から、ブレーキランプの部分まで線を通すために使用。
・穴あけ用ドリルとドリル刃
リアリフレクターの取り出し
改造にあたり車体からリフレクターを取り出す必要がある。
(実車をいきなり改造するのはちょっと心配という人は、オークションサイトやディラーで部品を入手する手もある。)
ヴェゼル(RV系)はリフレクターはねじ止めではなく、板ばねで固定さているだけなので比較的簡単に外すことができる。
特に運転席側(右側)は、車体下側から手を入れて、板ばねのロックを外せば簡単に外せる。
少し手間なのは助手席側(左側)。
これは車体下側の樹脂カバーを外す必要がある。といってもビス数本とクリップを数個外すだけである。
尚、YouTubeにリフレクター交換の詳しい動画があるので参考にされたい。
(取り外した左右のリフレクター)
カラ割り
次にリフレクターのカラ割りである。
難易度が高そうに感じるが、意外と簡単にカラ割りができる。
Pカッターを使って、レンズ部分と基台の部分の合わせ目に刃を入れて削ってゆく。
一度に多くを削ろうとせず、ゆっくりと段々に削ってゆくのが良い。
また、図のような位置合わせの突起があるので、ここは削らず残した方が良い。
刃が奥まで到達した感触を得たら、マイナスドライバーで軽くこじってやる。
ここで無理をすると、レンズにヒビが入ったりするので慎重に。
カラ割りした状態。
次に配線用の穴あけ。
COB LEDのリード線接続位置に合わせて穴を開けて、ここから配線を取り出すようにした。
これは使用するCOB LEDに合わせて穴の位置を決めればよいが。車体側の方もよく考えて、配線を圧迫したり無理な力がかからないようにした方が良い。
今回は、配線しやすいよう車体側にも穴を開けている。
配線をハンダ付けしたCOB LEDをリフレクターの基台に接着するのだが、あらかじめCOB LEDがリフレクターレンズ内に収まることを確認しておく。
もし、入らなければCOB LEDの両サイドをヤスリで削ってやる。
COB LEDは柔らかいアルミ素材なので簡単に削ることができる。
わしの場合は加工せず、はめ込みができた。
また、リフレクターの湾曲に合わせ、COB LEDもやさしく湾曲させておく。
(あまり曲げすぎると、COB内部で断線や接触不良が起きるので注意。)
COB LEDに接着剤を塗り、基台に貼り付ける。
両面テープを使用するのもあり。
接着が安定するまで一日程度放置。その間テープなどで固定しておく。
接着が完了したら、レンズ部分をかぶせて、水が入らないよう周りを接着剤でシーリング加工してやる。
わしの場合、シ-リングもコニシ ウルトラ多用途SUを使用している。
明るさを調整
さて、明るさを決めるために、適切な抵抗をつけなければならない。
今回はブレーキランプに連動する光量アップはしないことにした。
やはり保安基準との絡みがあるし、もう一つは発熱の問題。
明るく光らせるには当然電流を多く流すため発熱する。
リフレクターという狭いケースの中で温度が上がるのは寿命という点からしても好ましくないと考えたからだ。
(電流が増えるに従い、発熱量もかなり上がってくる。)
そもそもブレーキランプ連動は必要ないと思っていたしね。
リフレクターを車両に取りつけ、外部電源で光らせ、抵抗を替えながら光り具合を見る。
左側が51Ω抵抗、右側が30Ω抵抗での光り方。
右側は30Ωの抵抗だが、ちょっと明るすぎるようで、左側の51Ω抵抗に決定した。
回路図は以下のようになる。
単純な回路で、ノイズ対策もしていない。
以前のクルマで同様のLEDリフレクターを自作、6年程度使用していたが、光量低下やチラツキなどは発生しなかった。
一応、車検時に光らせないように、オフスイッチを設けている。
(スイッチではなくギボシ端子にして切ってしまう方法もある。)
接続であるが、リフレクター左右共、車体左側のブレーキランプのカプラから分岐させた。
使用するラインはGNDラインと、ポジションランプのラインだ。
今回はエレクロトロタップを用いず、直接ハンダ付け。
その先に防水コネクタを接続し、分離できるようにした。防水型のギボシ端子も売られているのでそれを使用してもよいだろう。
リフレクターの配線は配線チューブを使用し保護した。
配線は、バンパーの内側に這わせて、インシュロックで固定。
下の画像のように、車検対応用のスイッチを取りつけた。
ここは雨水の通り道、このようなスイッチではなく防水型のものを使用した方が良い。
点灯させたリアリフレクター
ブレーキランプと連動
ブレーキランプと連動して、明るく光らせるには以下の回路のようにすればよいと思う。
但し、流す電流によってはCOB LEDが結構発熱するので、その場合、放熱を考慮した方が良いだろう。
逆流防止に使うダイオードは数アンペア流せるもので良い。
おわりに
市販品を使用するのもお手軽ではあるが、自作すればお安く、好みのものが作れる。
特にヒカリモノはお手軽に加工できて、その視覚効果も高い。
加工時はショートに注意して、制御回路に悪影響を与えないようにすることだ。
そして防水処理や配線をちゃんとしておくこと。でないと後日泣きを見ることになる。