運転中に音楽を聞くため「Amazon echo show5」を車載化する試みの続編。
前回の記事はこちら。
Amazon echo show5を車載してみる(仮設置&テスト編)
テストしてみると、いくつかの課題が見えてきたので、少し改良したお話。
走行テストでの課題
とは言うものの、世の中はコロナ禍。あまり遠出もできず十分なテストができていない。
特に大きな問題点はなさそうだが、いくつかの課題はあることが分かった。
以下がその課題。
① キャリア(LTE)の電波が途切れれば再生も止まる
② モバイルバッテリー駆動でのデメリット
③ クルマのキーレスエントリーの電波と干渉する?
④ echo show5を横向きに設置すると振動で傾く
キャリア(LTE)の電波が途切れれば再生も止まる
これについてはどうしようもない。
キャリアの電波(LTE、5G)が途切れれば、当然のことながら、楽曲の再生は止まる。
電波で通信している以上、電波が届く範囲でしか音楽データは受信できないのだから。
例えば、長いトンネルでは途中で電波が途切れ、再生が停止するケースがあった。
(電波がトンネル内で再放射されるシステムや、トンネル出入口から内部に放射するシステムが設置されている場合は問題無い。)
ただし、電波の受信ができなくなっても、echo内にバッファされているデータで、およそ20秒ぐらいは再生が継続されるようだ。
20秒といえば、結構な距離を走れるので短いトンネルであれば抜けられるし、電波不感地帯でも次の電波を捕まえられるかもしれない。
また、再び電波が受信できれば楽曲の続きが再生されるので問題ない。
モバイルバッテリー駆動でのデメリット
テスト中は、モバイルバッテリを使用し、5V → 12V変換アダプタを使ってecho show5を動かしていた。
モバイルバッテリーは10000mAもあれば、長時間使用することができるが、家に帰ってきたとき、ついバッテリーを外し忘れてしまう。
つないだまま放置すると、バッテリーが空になってしまう。
やはりエンジンストップで電源も切れてくれた方がよいのかもしれない。
前回、echo show5の動作中にいきなり電源を切るのは気持ち悪い(ちゃんとshutdownしたいという意味)と書いたが、まあ、壊れることはないだろうし割り切ってしまえばよいのである(笑)
それに、夏の炎天下など車内が高温になる環境にモバイルバッテリーを置いておくのはリスクだ。
そこで、モバイルバッテリーの使用をやめて、専用の+12V電源アダプタを作ることにした。
そうすれば、帰宅時、いちいちモバイルバッテリーを外す必要がなくなるし、バッテリー破裂リスクもない。
なぜ、クルマの12Vをそのまま使わず、専用アダプタを作るかといえば、クルマの電源はあまりにノイズが多く電圧も高いためだ。
電源レギュレータICを通せば、安定した動作が期待できる。
下はクルマの+12Vの電圧波形。実際には14Vを超えている。
(エンジン動作中のシガーソケットの部分で測定。かなり汚いと思うのだが・・・)
下が電源レギュレータICを通した後の+12Vの電圧波形。
(ノイズが非常に少なく、約12Vで安定している。)
電源アダプタの作成イメージはこんな感じだ。
部品は以下のものを用意し製作した。
■ 三端子電源レギュレータIC L7812CV 1個
■ 電解コンデンサ 25V 470μF 1個
■ フィルムコンデンサ(セラミックコンデンサで可) 0.1μF 2個
■ 逆接続保護用ダイオード(無くても可)1N4007 1個
■ 発光ダイオード(通電表示用)何でも良い
■ 抵抗 (発光ダイオード電流制限用) 10kΩぐらい
■ 電源プラグ(echo接続用)接続部が外径4mm、内径1.7mmのもの 1個
■ 電源スイッチ(電源オフオンできるようにしたが無くても可)1個
■ 配線材料(出力側にはUSBケーブルを流用した)
■ 蛇の目基板(回路を基板に組む場合は使用)
■ プラケース
■ シガープラグ(FUSEが内蔵されているものが良い)
■ 絶縁用テープなど
半導体、抵抗、コンデンサは秋葉原の秋月電子で購入した。
シガープラグ、電源プラグはAmazonで購入できる。
※蛇の目基板は今回は使用せず、「空中ブランコ配線」を行った。
三端子レギュレータ外観。
配線材料でecho show5に挿すプラグ側は、古いUSBケーブルを流用した。
USBケーブルは、長さや太さが丁度手頃で柔らかく使いやすい。
中にはシールド線を含め5本が入っているので、このうち2本を12Vのプラスとマイナスで使用する。
電源プラグへハンダ付けした状態。
完成状態。
シガープラグは、極性がこのようになる。
回路はごく一般的な、三端子レギュレータを使う時の回路。
注意点は、0.1μFのコンデンサは発振防止用なので、なるべく三端子レギュレータの近くにつなぐこと。
また三端子レギュレータは発熱するので、できるだけ放熱板を取り付けた方が良い。
わしの場合、ホームセンターで売っているL字型アルミチャネルを短く切って使用した。
但し、echo show5は液晶ディスプレイが付いているので、消費電流が多く発熱するが、echo dotは少ないため放熱板はいらないかもしれない。
バラックで組んでみて、三端子レギュレータがどの程度発熱するか、あらかじめチェックして決めれば良いと思う。
下は小型のプラスチックケースに組み込んだ様子。放熱のため穴をいくつか開けた。
完成したら電圧を測定。電圧は11.78Vと12Vを少し下回っているが問題はない。
通電状態で振ったり、叩いたりして異常無い事を確認しておく。クルマの中で燃えたら大変だし。
今後の課題として、電源の遅延オフを付けたいと思う。
シガーソケットから電源をとるため、エンジンスイッチを切るとecho show5の電源も落ちてしまう。
次にエンジンスタートして電源が入ってもechoは起動時間がかかるためすぐに音楽再生ができないのだ。
できればコンビニやトイレ休憩の立ち寄りの時、エンジンストップしても、しばらくの間は電源オンのまま保持してほしい。
できれば、30分間ぐらいは、電源が切れないようにしたいと思う。
またこれは後日考えてみようと思うが、ひとつよさげなものがある。
タイマーリレーモジュールとかオートメーションリレーとか呼ばれているもので、長時間タイマーを働かせることができる代物。
なかなか便利そうで、これを利用してみようかと思っている。
クルマのキーレスエントリーの電波と干渉する?
モバイルバッテリをつないで動作したままにすると、なぜかキーレスエントリーが効かなくなり、ドアの開け閉めができなくなることが何度かあった。
閉めるのはともかく、開かなくなるのはちょっと焦る。
結局このときは、物理キーで開錠した。
キーレスの電波周波数は315MHz(メーカーによって異なる)、Wi-fiは2.4GHzか5GHzなので干渉することはないと思うのだが。
echoからノイズっぽいのが出ているのだろうか?
それとも内部のNFCコイルが悪さをしているのだろうか?、NFCは13.56MHzあたりを使用しているので、これも関係ないと思うのだが・・・
この現象と原因は未だ謎のままである。
echo show5を横向きに設置すると振動で傾く
echo show5は車載するにはちょっと大きめの装置なので、わしはダッシュボードではなく、前座席の中央の物入れ部分に横向きに取り付けた。
取り付けにあたり、専用スタンドとマジックテープを使用した。(詳細は前回記事参照)
うまく収まったかのように見えたが、しばらく走ると、自重と振動でecho show5がだんだん傾いてゆくのである。
まあ、音楽を聞くのには支障ないが、ちょっと情けない。
そこで以下の方法で傾かないようにしてみた。
スタンドの「首」のところに、支えを付けるのだ。
まず、ホームセンターでプラスチック製の黒いL型アングルを購入。
これを50mmで切り出す。
そして強力な両面テープで、スタンドの首に取り付ければOK。
これで、echo show5が傾かなくなった。
その他
前回も含めecho show5を車載化する記事だが、echo show5だけにこだわっているわけではない。
たまたま最初に購入したのがecho show5で、これの車載化を考えただけのこと。
まあ、画面があれば、誰の楽曲を再生しているかが分かるし、歌詞も表示してくれたりするのが良いところだが、楽曲を楽しむだけならecho dotで十分なのである。
下は車載中のecho dot(第3世代)
あと、車載化したとき、音声リクエストをちゃんと受け付けてくれたか分かるようにするとよいと思う。
「アレクサ」と呼ぶと、「ポン」と認識音を鳴らしてくれる。
音声リクエストを受け付けてくれると、また音を鳴らしてくれるので、画面やランプを見ることなく運転に集中することができる。
設定で、サウンド、リクエスト時のサウンドで開始時、終了時をオンすれば良い。
(画面の無いechoはアレクサアプリから設定できる。)
おわりに
echoシリーズは、タイムセールなどで、驚くほど安く手に入ることがある。
先日もこれでecho dot 第3世代を追加購入したので、今後はこれを車内に置きっぱなしにすることになるだろう。
(echo show5はお台所用かな。料理レシピが表示できるし。)
まだまだ使いやすく改善できる余地があるし、それを考えて行くのも面白い。
とりあえず、エンジンストップ後の「しばし電源オン機能」を追加したいと思っている。