12年経過したクルマにCPCペイントシーラントを再施工してみる

さて、今回は、12年経過したクルマに再度同じ「CPCペイントシーラント」を施工してみた。

この「CPCペイントシーラント」、既に過去のボディコーティングとなりつつあり、いまさら再施工?と思われるかもしれないが、これはこれで良いところがあるのだ。

もう一度あの輝きを

「CPCペイントシーラント」を新車時に施工したものの、時が経ちその効果も半減、ではもう一度を自分で施工してみたいと思われる方も多いのではないだろうか?

「CPCペイントシーラント」はガラス系コーティングのように塗りムラや時間を気にせず施工できるところがよいところ。

輝きを復活させるには、やはり塗装面の下地処理を行うのがベストだが、それをクリアできるのならコーティング処理は初心者でも十分再施工可能だ。

「CPCペイントシーラント」とは

「CPCペイントシーラント」は、ボディの塗装を保護するコーティングのひとつ。

コーティング成分には樹脂系、ガラス系、ポリマー系など、いろいろ種類があるが、CPCペイントシーラントは「フッ素樹脂」のコーティングになる。日本では既に30年以上の実績があるそうだ。


 出典:中央自動車工業(株)

米国デュポン社の開発したフッ素化合物「テフロン」(ポリテトラフルオロエチレン )を使用していて、焦げ付かないフライパンでおなじみの「テフロン」を車のコーティングとして使っちゃったわけだ。

※ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)自体は化学的に不活性であり生物に対する毒性はない。

以前は、新車時の施工が条件だったようだが、今では、ディーラーから再施工しませんかとお誘いを受けることも。
利益率が高いコーティングはディーラーもおいしいメニューなんでしょう。

しかし時は流れ、今はガラス系コーティングが主流になっている。
技術の進歩だね。ワックスを一生懸命かけてた頃が懐かしい。

CPCペイントシーラントはガラス系コーティングほど皮膜は強くなく、耐久性については劣る。

ツヤの状態もガラスコーティングのような「濡れたようなツヤ」の感じではなく、ナチュラルなツヤ感になる。

水はじきもそれほどではないが、逆に水ジミになりにくい。

そして、メンテナンスがとてもしやすいのだ。

メンテナンスクリーナーと呼ばれる専用のメンテナンス液剤を塗りこんでカラ拭き取ればよいだけ。

半年に一回程度、このメンテナンスすることでその効果をずいぶん長く持たせることができる。

効果の保証期間は5年とされているが、メンテナンスをちゃんとやれば10年以上生かすことができる。

しかも業者での施工料金はガラス系コーティングより安く、軽自動車で4万円程度、SUV、ミニバンクラスで6万円ほど。(新車施工時)
かなりコストダウンが可能だ。

そして、DIYすれば更に低コストで済ませることができるだろう。

クルマの状態

さて、今回施工したクルマは、三菱のデリカD:5。塗色は白、ホワイトパールと呼ばれる3コートパール塗装。

新車時にCPCペイントシーラントを施工し、それから12年以上経過しているためコーティング性能もほぼ無し。

メンテナンスクリーナをまめにかけていたせいか、比較的ツヤは保っている方だと思う。

しかし点光源を当ててみると無数の細かいスクラッチキズがついている。
洗車機はほとんど通していないが、汚れ取りのため濡れタオルでゴシゴシ拭いたのが良くなかったのだろう。

雨ジミが付きやすく、以前は簡単に落ちていた黒スジも簡単に落ちないようになってきている。
コーティングの効果が無くなってきている。

CPCペイントシーラント施工済ステッカーもかなりボロくなってきている。

「CPCペイントシーラント」の液剤

使用するCPCペイントシーラントの液剤はこんなボトルに入っている。

ボトルには2.25 FL.オンスと書いてるので、およそ67mLぐらい。
少ないように思えるが、これでミニバン一台なら十分に施工できる量だ。

この液剤はヤフオクやメルカリでも出品されていて数千円で購入が可能だが、以前に比べると出品数もかなり少なくなってきているようだ。

このとき注意してほしいのはメンテナンスクリーナーも「CPCペイントシーラント」と称して出品されていることがあること。

メンテナンスクリーナーにもフッ素樹脂が含まれているが、これは補修用の意味であってコーティング目的ではない。

コンパウンドも入っているため、あくまでも「汚れ落とし」の役目なのである。
コーティングを目的とする場合は誤って購入しないように注意しよう。

但し、誤って購入してもコーティング後のメンテナンスにはもちろん使える。

施工手順

施工の流れは以下のようになる。

重要な点は、どのコーティングの時もそうだが、まずは下地の処理をちゃんとやることがキモになる。
(以前のガラス系コーティングの記事も参照いただきたい。)

しかし、あと数年持てばいいや、と言うなら、ポリッシュも簡単に済ませば良いと思うし、それこそ洗車とコーティングだけするというのもありかも。

① 洗車
② 鉄粉取り
③ 水分ふき取り
④ ポリッシュ
⑤ 水で洗浄
⑥ 脱脂剤による脱脂
⑦ 水で洗浄
⑧ 水分ふき取り、乾燥
⑨ コート剤塗布
⑩ コート剤乾燥
⑪ 余剰コート剤ふき取り(乾拭き)

洗車

まずは全体の汚れを洗剤を使用して落とす。洗剤は台所用洗剤で十分。

鉄粉取り

鉄粉取り粘土を使って鉄粉や、洗車で落としきれなかった異物、汚れを取り除く。

水分ふき取り

ざっと水分をふき取る

ボリッシュ

今回使用したコンパウンドは、モノタロウの肌調整用コンパウンドと仕上げ用コンパウンドの二種類を使用した。
このコンパウンドはシリコンやワックス成分が入っていないため脱脂がとても楽なのである。

今回もダブルアクションポリッシャーを使用した。
ただ、キズがなかなか取れないこともあり、慣れているならシングルアクションタイプを使用する方が効率が良いと思う。
道具が無いなら、根性手磨きという方法もある。

左側のがドアがポリッシュした後、右側ドアはまだの状態。
画像ではわかりにくいが、中央に写り込んでいる青いバケツが左側のほうがくっきりしている。

ポリッシュだけでずいぶんツヤを取り戻してくれる。

コンパウンドを水で洗い流す

表面だけでなく隙間に入り込んだコンパウンドもきれいに洗い流してやる。

脱脂

脱脂は、いつものようにアルカリ系脱脂剤「魔りょくりーんJ」を1/10に希釈して使用。
この脱脂剤は手軽に、幅広い部分を一気に脱脂してくれるのでとても作業が楽になる。
ただしアルミホイルに付かないように注意すること。アルカリでアルミが変色することがあるらしい。

右側ドアが脱脂後、左側ドアがまだの状態。
水をかけてみて、弾く部分があれば、再度脱脂剤を塗り付けるとよい。

脱脂剤を洗い流す

脱脂剤はアルカリ性なので水でよく洗い流す。

水分をふき取る

コーティングを行うので丁寧に水分をふき取る
新たにキズをつけないよう合成セームなどを使用するとよいと思う。

コート剤塗布

コート剤はトロッとした液体。

コート剤の塗り付けはスポンジがあればよいが、今回はガーゼを使用して塗ってみた。
薬局で普通に売っている医療用ガーゼだが、ガーゼだと塗り込みの感触がつかみやすい。

今回のCPCペイントシーラントの液剤はガラスコーティング時のようにムラの発生に気を遣う必要はなく、液体ワックスを塗ってゆく感じでよい。
塗り忘れ箇所を防ぐため、たっぷりめにつけて塗布してゆくとよいと思う。

見えない部分も塗り込んでおくと良いだろう。

乾燥後乾拭き

乾燥すると表面が白くなる。
乾いたマイクロファイバークロスで余剰コート剤をふき取る。

完成

下の画像は雨降り後だが、施工後2週間ほど経過の画像。

おわりに

古びたクルマでも、磨いて、コーティングを行えば美しいボディを取り戻せる。
更にヘッドライトの黄ばみを取り除いてやれば完璧の母なんだけどね。

「CPCペイントシーラント」は、ガラス系コーティングのような水はじきはしない。
また雨で汚れが落ちるというものでもない。水垢もついてしまう。あくまで「塗装面を守る」コーティング。
しかし、水洗いすれば水垢も簡単に落ちてくれる。

コーティングして終わりではなく、その後のメンテナンスをちゃんとすることが大切だ。