ヘッドライトの殻割りをやってみる(RAV4 50系)


最近はクルマネタばかりですいません。今月はなるべくキャンプネタをやりたいね。

で、今回は新型RAV4(俗に言う50系)のヘッドライトの殻割りを行ってみたので、その様子をお伝えしたいと思う。

ネット上でもあまり情報が無いようなので、ご参考になれば幸い。

尚、今回はトヨタ発行の修理書に沿う形での殻割りであるが、かなり自己流の部分があるので、行う場合はいつものお約束で自己責任でね。

ヘッドライト殻割りってな~に?

クルマいじりのひとつにヘッドライトの殻割りがある。

殻割りというのは、ライト発光部分(ハウジング)と透明樹脂部分(レンズ部分と呼ぶが実際にはレンズではないけど)を分離すること。
その形状から二枚おろしとか三枚おろしとか言ったりもするが。

そして分離できれば、その内部にLEDやイカリングを仕込んだり、内部を黒く塗装(ブラックアウト)したりしてカスタマイズできるわけだ。
また内側の曇りや汚れを取るなど修理の場合もあるだろう。

(以降、ランプ発光側部分を「ハウジング」、透明樹脂部分を「レンズ」と書く。)

しかし、ヘッドライトの殻割りは少々難易度が高い。
それは、ヘッドランプユニットの密閉性を高めるため、ハウジングとレンズが強力に接着されているから。

接着方法にはいろいろあって、超音波溶着、シーリング材を使用しているものなど。
シーリング材にはブチルゴムなどの粘性物質が使われている。

それぞれの接着方式によって殻割りの手段は変わってくる。

まずブチルゴムを使用している場合は熱を利用する。
ブチルゴムは温めることで柔らかくなり、接着力が弱くなって殻割りができるようになる。

ダンボール箱にヘッドライトユニットを入れてドライヤーなどで全体を温める方法がよく使われる。
モノによるだろうが、だいたい80℃で10~20分程度温める。

そして急いでハウジングとレンズの隙間を広げていけば殻割りが完了する。

しかし、これはユニット全体を温めるため部品に対するダメージが大きいといわれる。
(ドライヤーの向きが悪く、樹脂部分が溶けちゃったなんてこともあるようだ。)

またブチルゴムは熱を加えると、まるで黒い水飴のようになる。
このためあちこちにくっつきやすく、一旦付着すると取りづらいためとても始末が悪い。

殻割り時、油断すると内部の部品やレンズに容易にくっついてしまう。
こうなると溶剤を使ってふき取るしかない。特にランプリフレクタにくっつくと最悪だ。

次に超音波溶着など溶着されている場合は熱による方法が使えない。
この場合は切削カッターナイフや超音波カッターを使って、ハウジングとレンズの境界部分で切り離す方法が使われる。

どこで分離するかを考えておかないと、復元時の見映えや、防水処理に苦労することになる。
復元用の接着剤についても考えておく必要がある。

まあ、とにかく接着方法が何であれ殻割りに「せっかち」は禁物。根気が必要となる。
急ぎと気合で行うと、レンズ部分はあっという間にビビが入って泣くことになる。

RAV4ヘッドランプの接着方式

さて、能書きをくどくど書いたが、RAV4の話はここから。

RAV4はどう接着しているかというと、「ヘッドランプレンズガスケット」と呼ばれるシーリング材を使用している。

断面のイメージは下の絵のようになる。(赤色部分がガスケットと呼ばれるシーリング材。実物の色は黒。)

よく100円ショップで売られている粘着マットとか耐震マットとか呼ばれるものを柔らかくしたような感じのものだ。
指にくっつけても剥がせばあとに残ることが無い。

熱を加えることによって柔らかくなるのだが、ブチルゴムのような始末の悪さは無く、どこでもベタベタとくっつくわりに跡が残らず剥がしやすい。
くわしく調べたわけではないが、熱可塑性エラストマーというものなのだろうか。

しかし、この状態で接着されているわけだから、必殺ダンボール熱攻撃で温めても粘着が強くとても殻割りできるような状態にはできなかった。

当初、一気に外しにかかったが、多少隙間はできるもののまったく歯が立たなかった。

ではどうしたか・・・

殻割り準備

その前にまずは準備。やっぱり成功に導くためには事前準備が大切だ。

今回、カラ割りしたのは、RAV4でもガソリン車に搭載される多灯式タイプのヘッドランプ。
(単灯式と呼ぶハイブリッド用のものも同じ手順でカラ割りができるはず。)

また、今回は右側(R側)のヘッドランプであるが、左右が反対になるだけで左側の分解も同じ方法である。

準備する物品としては下記。

■トルクス(ヘクスローブ)レンチ(またはドライバー)サイズ T20
ハウジングとレンズを締めているスクリュー(ねじ)の一本にトルクススクリューが使われているため、これの取付け/取外しに使用。

中央の突起があるスクリュー(いじり止め)に対応したトルクス(ヘクスローブ)ドライバー。サイズはT20。

■モデラ
 本来の用途は粘土などで造形物を製作するためのヘラ。
 今回これでガスケットの取り出し、巻き取りに使用したが、作業しやすいものであればなんでも良い。

 ただ先端が金属だとガスケットがとても食いつきやすい。
 手持ちがあったので偶然使ったのだが、意外と使い勝手が良かった。

■マイナスドライバー(なるべく幅があるもの)
 部品に傷を付けてしまうため、なるべく使わない方が良いが、細かい部分などはマイナスドライバーでこじることで、容易に隙間をあけることができる。
 内張り剥がしが使えない部分、使えない時に有効。

■内張り剥がし
 隙間ができた部分に入れて、こじることで隙間を更に広げることができる。
 クリッププライヤーが使えない部分に有効。

■クリッププライヤー
 これは握ると先端が開く工具で、殻割りの儀式には必要不可欠と言っても良いツール。
 隙間に差し入れ、片手で簡単に押し広げることができる。
 只、先端が滑りやすいのが難点のど飴。

■ドライヤーまたはヒートガン
 ヒートガンは熱量が大きいため、早く作業を進めるには良いだろうが、油断すると、熱の加えすぎで部品を変形させたりするため注意が必要。
 家庭用ドライヤ(できるだけ先端が細い物)を使うのが安心だと思う。

■ゴム手袋またはパームフィット手袋
けが防止、やけど防止、分離時にハウジング、レンズ内部を皮脂で汚さないために手袋はした方が良い。

■養生テープ
ヘッドのレンズ面を下側にすることが多いためキズ防止用。レンズ表面全体に貼っておくとよい。

■滑り止め下敷き
ヘッドライトユニットが滑ると、けがをしたり、工具で部品にキズを付けてしまうこともあるため滑り止めを敷いておくとよい。
ウレタンマットや100均ショップで売っている滑り止めシートが良いと思う。

■「ヘッドランプレンズガスケット」
今回は、ハウジングとレンズの分離までで、復元(お互いを再び接着すること)はやっていない。
復元時にはシーリング材である「ヘッドランプレンズガスケット」が必要になる。

「ヘッドランプレンズガスケット」は分解の時に取り出すのだが、取り出したものはゴミ、汚れが付着し、再使用が不可能なため事前にトヨタ共販などで入手しておくことをお勧めする。
メーカー修理書にも「再使用しないこと」と書いてある。(品番は不明。共販へ行って調べてくださいな。)

他のシーリング材を使用する手もあるが、できればメーカー純正のものを使用した方がよいと思う。
「ヘッドライト用シーリング材」という名称で売られているものもあるが、使ったことが無いので性能がどうなのかはよくわからない。

ホームセンターで売っている「バスコーク」というものを使用される人もいるが、シリコンゴムであるため、硬化後は温めても柔らかくならず、温めての再殻割りは不可能になる。

また、使用してはいけないものは、シリコンシーラント。これもホームセンターで売っており値段も安い。

しかし使用するとレンズ内面が曇ることがある。
これはシリコンシーラントが硬化するとき発生するガスがレンズ内面を曇らせてしまうのだ。
一度曇ってしまうと、研磨しないと落とすことができなくなる。

あと、殻割り後の注意点を書いておこう。

リフレクター(光を反射しビーム化する部分)は非常に繊細で、やわらかい布でこすってもキズが入るくらいなので、絶対触らないよう注意しよう。
もし汚れたら、多少キズが入るのは覚悟の上でやわらかい布でふき取るしかない。

このとき溶剤(エタノールなど)を使うと、蒸着メッキがあっという間にはがれてしまうので使用は厳禁だ。
ホコリぐらいなら、エアーダスターで吹き飛ばすのが良いだろう。

ヘッドライト殻割りの手順

殻割りの流れは以下のようになる。

1.養生テープでヘッドライトを保護
2.クリアランスランプ(ポジジュンランプ)とデイランプのコネクタ、ウインカーランプの取り外し
3.ハウジングとレンズを固定しているスクリュー(ビス)の取り外し
4.ガスケット部分の温めとガスケットの端を外へつまみ出す
5.ガスケットをすべて巻き取る
6.ハウジングとレンズの分離

ではそれぞれの詳細を追って行こう。

1.養生テープでヘッドライトを保護
まず、養生テープでレンズ表面を保護してやる。
できれば、コネクタなど穴の開いている部分も余計なゴミなどが入らないように塞いでおくのが吉。

2.クリアランスランプ(ポジジュンランプ)とデイランプのコネクタ、ウインカーランプの取り外し
クリアランスランプ(ポジジュンランプ)のコネクタを外してLEDランプを外す。
LEDランプは左に回せばロックが外れて取り出すことができる。

デイランプのコネクタを外す。
コネクタのつめをつかんで引き抜く。

ウインカーランプを外す。
コネクタごと左に回して外したら、ウインカーランプ(電球)を取り外す。

3.ハウジングとレンズを固定しているスクリュー(ビス)の取り外し
固定しているスクリュー8本を取りはずす。
このうち1本はトルクススクリュー(赤色矢印)を使用しているので例のトルクスドライバーT20で外す。

4.ガスケット部分の温めとガスケットの端を外へつまみ出す
まずガスケット部分をドライヤーで温める。
範囲は10cmから20cmぐらいの幅。場所はどこからでもよいと思うが、ユニットの端からやるのがやり易いと思う。

温めたら、近辺のつめの勘合をはずしつつ、クリッププライヤーなどを使ってハウジングとレンズ隙間を広げてやる。
尚、つめは広げ過ぎると割れることがあるので注意しよう。

ちなみにつめは以下の画像のように10ヶ所ある。

つめの拡大画像。

隙間ができたら、溝の中からガスケットの端っこを引きずり出す。
修理書にはガスケットにタイラップの先端を突き刺し、引き出すと書いてあるが、なんでもよいのでガスケットのとっかかりを引き出せればOK。

取り出したガスケットの端をすかさずモデラに巻き付ける。

5.ガスケットをすべて巻き取る
次に引き出したガスケットを切らないようにゆっくりとモデラの軸も使って巻き取ってゆく。
ガスケットは強く引っ張っても意外と切れないのでグイグイ行ける。

ガスケットの取り出しイメージ。

巻き取りにくくなったら、ドライヤーで温めつつ、クリッププライヤーで隙間を広げ巻き取ってゆく。
この時、巻取り中のガスケットを温めると柔らかくなって切れてしまうので、埋まっているガスケットを温めるようにしよう。

また、巻取り中にガスケットが切れてしまうことがあるが、最初と同じようにガスケットの端をつまみ出して巻き取ってゆく。

慣れてくるとだんだん速く巻き取れるようになってきて楽しくなってくる。

モデラで巻き取った量が増えてくると作業がしづらくなるので、モデラからガスケットを時々はぎ取ってから続きを行う。
ガスケットは素直にはがすことができる。

スクリューの受け部分やつめの部分はクリッププライヤーで隙間を広げつつかわしてゆく。

6.ハウジングとレンズの分離
ガスケットを一周巻き取ったら(多少残っていてもよい)レンズをまっすぐ持ち上げハウジングと分離する。

簡単に外れるはずだが、まだ外れにくいようならガスケットが下の画像のように残っていると思われる。
これもモデラで巻き取ればよい。

無事、壊すことなく分離ができた。

ところどころにガスケットの残りたちが居るのできれいに取り除いてやろう。

巻き取ったガスケットはこれだけの量。
そりゃぁ、これだけ入っていたら簡単に分離できるわけがありませんぜ、旦那。

あとは改造し放題(笑)
(但しやりすぎには注意。ディーラーからもう来ないでと言われますよ)

おわりに

殻割りは最初はわけがわからずとても苦戦するが、一度やってみるとそのコツがわかる。
コツがわかればそれほど難しくないことがわかった。

ヘッドランプユニットはとても高価だし、もし壊したら、と思うとなかなか手が出せない人も多いだろう。

いきなり実車の殻割りをするのはやはりリスクは高い。
最初の経験が最悪の経験になりかねないわけだからできれば練習素材がほしいところ。

ヤフオクとかで時々ジャンク扱いで安く出ていることもあるので、それを購入するのも一つの手だろう。

またもぎ取りセンターなんてーのが京都の八幡にあるので、そこへ行くというのもひとつの手段。
(しかし希望の車種があるかどうかは不明)

尚、先にも書いたが、今回はまだ復元作業をしていないので、改造が完了して復元できたら、また記事にしたいと思う。
どう改造するかはヒ・ミ・ツ・・・とりあえずブルーアイ化?(笑)

ここでちょっと噂話。
現在、RAV4のアドベンチャーモデルに白色が無い。
しかし、10月に白(スーパーホワイトⅡ)が特別仕様車として発売されるらしい。

海外モデルに白があるのに国内版には無いため、涙を飲んだ人も多かったのではないか。
しかしようやく願いが叶いそうだ。

まあ、あくまでもウワサなのでスケジュールが変更になったりする場合があるだろうが期待して待っていてもよいと思う。

やっぱRAV4の白はプラモデルっぽくてカワユイなぁ・・・

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