ディスク管理ツール「MiniTool Partition Wizard」 を使ってみる

「MiniTool Partition Wizard」は、ディスクドライブ(HDD/SSD)のパーティション管理ソフトウエアだ。

パーティションのフォーマット・削除・移動・リサイズ・コピーといった定番機能はもとより、エラーブロックの有無を調べたり、紛失ファイルを探したりと何かと使える強力なツールである。
今回は「MiniTool Partition Wizard 無料版」を使用してみたのでその感想などを書いてみたい。

 ※今回は執筆時期の関係でのVer12.7とVer12.8の画像が混在しているが機能はほぼ同じである。
  アップデート情報

ディスク管理・パーティーション管理ツールとは

ディスクドライブの論理パーティーションを触る機会はそう多くないかもしれない。

しかし、新しいパソコンや新しいディスクドライブへデータを移行したいとか、パーティション構成を変更したい場合などはどうしてもツールが必要になってくる。

元々、Windowsには管理用ツールとして「ディスクの管理」(diskmgmt.msc) が備えられている。

新しいHDDやSSDを買ってきた場合など、パーティーションを作成したり、論理フォーマットやドライブレターの変更をするため割と使用頻度は高い。

【 Windows標準のディスクの管理 (diskmgmt.msc)の画面 】

しかし、このWindows標準の管理ツール、はっきり言ってショボい。

論理フォーマットやドライブレターの変更ぐらいならともかく、パーティションの入替えや、コピー、パーティーションの結合などにはとても手間がかかる。

愚痴を言わせてもらえば、どうでも良い”余計なお世話機能”は次から次へ搭載するくせに、こういったベーシックに必要とするツールは旧態依然のままだ。
どうもマイクロソフト社は、ユーザとは違う目線のところで仕事をしているようである。

そこで、サードパーティーのツールが必要となってくる。

そのひとつが 「MiniTool Partition Wizard」 だ。

幅広いディスク管理が可能なアプリケーションで、日本語で言うと「仕切りの魔術師」になる。

名前が”パーティション”となっているものの、その機能は多彩だ。
特に、HDD/SSDが物理的、論理的トラブルを起こした場合、とても有用なツールのひとつとして使える。

しかも、これだけの機能のものが無料で公開されているから、とてもありがたい。
もちろん有償版と違い制限もあるが。

今回は、パーティーションの作成、移動、サイズ変更などといった一般的な操作は他のブログやハウツー動画に委ねることとして(その方が親切、丁寧に解説されているだろうから。)、それ以外のディスクドライブに何らかのトラブルが発生した場合を例に、使える機能を紹介してゆこうと思う。

アプリケーションの入手とインストール

とは言うものの、アプリケーションの入手先とインストール程度は簡単に触れておく。

インストールファイルを探すため、”MiniTool Partition Wizard”で検索すると、”minitool partition wizard公式サイト” なんて~のがトップにヒットする。実はこれはニセモノ。
また、別のURLも有料版のショップのリンクだったりする。

正解は ”MT” と赤と黒のファビコンが表示されているのが正規サイトへのリンクだ。

リンクも載せておく。
https://www.partitionwizard.jp/
 もしくは https://jp.minitool.com/partition-manager/

下記で緑色のボタンをクリックする。

ページが変わり、”無料版をご利用いただき、ありがとうございます。”の表示と共にダウンロードファイルが表示されるので、そのファイルを適当なフォルダにダウンロードする。

あとは、ダウンロードしたファイルを実行してインストールをおこなう。
(※2023年8月15日以降、ファイル名は「pw-free-online.exe」でVer12.8がインストールされる。)

尚、実行によって必要ファイルをネットからダウンロードしてくるため、ネットワークへの接続は必須だ。

また、インストール時に「MiniTool ShadowMaker Free」というバックアップソフトウエアも合わせてインストールするかどうかの選択も表示される。
(既に「MiniTool ShadowMaker」がインストールされている場合は表示されない。)

これもバックアップ用の有用なツールなので、インストールすることをお勧めする。

以前「MiniTool ShadowMaker Free」について記事を書いているので、ご参考にされたい。
バックアップソフトウエア「MiniTool ShadowMaker」を使ってみる

エラーHDDの状態確認とデータのバックアップ

今回、テスト用に使用したのはブートできなくなってしまったWindows7のシステムディスク。
2.5インチのHDD、容量は500GBだ。

実は知り合いからの借用品。以前持っていた不良HDDを全て処分してしまったので今回お借りすることに。

当人曰く、「認識しなくなってしまい、何をしてもダメなのでそのまま放置していた。できればデータを確保したい。」ということだった。

早速、SATA-USB変換装置で外部ディスクとして接続してみる。
電源は入って円盤は回っているようだ。異音はしない。

しかし残念ながら、全く認識しない。
流石にOSから認識できないとなると、「MiniTool Partition Wizard」も出番が無い。

ダメもとで何度か電源をオフオンしてみる。するとあら不思議、認識するようになった。

人間あきらめも肝心だが、ひつこさも必要だなと思う瞬間である。

認識されると、ファイルシステムに異常があるからチェックをかけろ!とWindowsは言ってきた。
まあ、そりゃそうだろ。

chkdskの修復モード(fオプション)は、ひどい目に会うことがあるので、これは最後に行うことにする。

エクスプローラーで一応ファイルは見れるようだ。

SMARTの情報を見てみるとエラーが発生していることがわかる。

とりあえずハードウエアの状態がどうなのかを見ることにする。

つまり、不良セクターとかバッドスポットなどと言われる”物理的に読めない部分”の有無を探るのだ。

ここで、わしが良く使用している GMHDDSCAN というツールがあるのだが、なんとMiniTool Partition Wizardにも同様の機能がある。

「サーフェステスト」という機能で、全てのブロックをスキャンしてその状態をグラフィカル表示してくれる。

”サーフェス( もしくはサーフェイス)”というのは”表面”という意味だが、円盤表面をなめてゆくのでこの名がついているようだ。
(業界ではメインフレームの時代からこの言い方があり、昔はほんとにディスク円盤表面をIPAを使って手作業で清掃していた。)

メニューから ”サーフェステスト” を選ぶ。

実行すると、順にスキャンしてゆく様子が表示される。

ここで少しMiniTool Partition Wizardのメニュー操作についての説明しておくと、左ペインにあるメニューは対象部位によってメニュー項目が変わる。

たとえば、”ディスク”を選択した場合は下記のようになる。

”パーティション”を選択した場合は下記のように使用可能な項目が変化する。

またパーティションでもファイルシステムがFATとNTFSの場合では項目が少し異なる。

これは操作する上で分かりやすい。

できるなら、Pro版(有償版)と比べ機能制限されている項目はグレーアウトしてくれると良いのだが、あえて表示は変えていないのかもしれない。

それは制限されている機能を選ぶと「これを使いたいならPro版買ってね!」と購入を促すメッセージが表示されるようになっているからだ。うまい戦略だ。

メニューは左ペインだけでなく、ディスクやパーティションの部分で右クリックすることでも選ぶことができるので、これも使いやすい。

さて、話しを元に戻すと、サーフェステストの結果、一カ所でエラーブロックが見つかった。
一カ所というのはなかなか珍しいが、異常が起きているのは間違いない。

そこで、まず他のディスクドライブへデータを確保、つまりバックアップすることにする。
何をするにも、まずは最悪時を考えデータ保全は考えておいた方が良い。

いきなり、オリジナルのHDDに手を加えて、取り返しのつかない結果になることもある。(経験者)

ここで使用できるのが、コピー機能だ。

コピー先にコピー元の容量と同じか、それ以上の未割当のパーティションが存在するディスクが必要になる。

今回は要らない1TBのHDDがあったので、MiniTool Partition Wizardからパーティションを全て削除し、全体を未割当状態にすることにした。その様子が下記だ。

まず、”すべてのパーティーションを削除”を選ぶ。

確認のポップアップで”はい”。

MiniTool Partition Wizardで面白いのが、データー破壊するリスクのある操作の場合、行う操作が一旦待ちキュー(保留中の操作)に入れられるだけなのだ。
つまり、ディスクドライブの状態ははまるで実行されたかのような表示になっているが、実はこれは実行後はこうなりますよという仮の表示なのである。

左ペインの”保留中の操作”に入っただけで、「適用」をクリックすることで始めて実際の処理が開始される。

更にもう一度、確認ポップアップが表示される。

これはとても安全な機能であると思う。

人間は思い違いや勘違いでミスをする生き物だ。
もし誤って他のディスクドライブを選び重要なデータを消してしまったら大変。

手間は増えるが、わずか数クリックの違いである。その間にミスに気づけばラッキー。

当初はすぐに実行されないので、アレっ?と思うかもしれないが、慣れてしまえば、ありがたい安全機能だと思う。

ちなみにWindowsのディスク番号は0から始まるのに対し、MiniTool Partition Wizardでは1から始まるのでこれは留意願いたい。

バックアップ先ができたらコピーを実行する。

メニューから”コピー”を選ぶ。

コピー先の ”未割り当て” を選択して ”次へ” をクリック。

コピー元のパーティションを選択して ”完了” をクリック。

これも ”保留中の操作” に入れられるので、間違いがなければ ”適用” をクリック。

処理が開始される。

終了した。

エラーブロックがあったもののコピーは無事終了したようだ。
但し、HDDは、コピーする大きさにもよるが、かなりの時間を要するので、それは覚悟しておいた方が良い。(今回の場合、半日はかかった。)

オリジナルのHDDの復旧とデータの復旧

バックアップは確保した。さて、ここからどう料理するかだ。

まずは、エラーブロックのあるオリジナルHDDを修復することにした。
但し、今回は特別だ。もし修復できたとしても今後エラーが拡大する可能性があり、できれば使用を控えた方が良いだろう。

まず、標準フォーマット(クイックでは無いという意味)をかければ、ディスク全体をなめてくれるので、うまくゆけば交代ブロックをとってくれるはずだ。
(500GBの容量は標準フォーマットもかなり時間がかかるので、これも覚悟の上。)

フォーマットが終わり、サーフェステストをかけてみるとエラーブロックが解消されていた。

次にバックアップからデータを書き戻す。(今回は借用品なので返却するため。)

書き戻せたら、バックアップはそのまま保存しておいて、オリジナルディスクに対して、ファイルシステムのチェックを行う。

ファイルシステムのチェックはchkdskを使用するが、この機能もMiniTool Partition Wizardから使用することができる。

メニューから「ファイルシステムチェック」を選ぶ。

ポップアップのメニューから ”チェックのみ” と ”チェックして検出したエラーを修正する” を選ぶことができる。

まず、チェックのみを行うと、エラーを検出し読み取り専用モードでは修復できないと表示された。

そこで、修正を選び実行してみる。

いくつかのインデックスエントリーが削除され、ファイルシステムの整合性がとれたようである。

中を見るといくつかのfound.xxxのフォルダが存在していた。

タイムスタンプを見るとどれも古い日付なので、持ち主があれこれ操作したのだろうと思われる。
今回の作業ではfound.016が新たに作成されていた。

found.xxxフォルダとは破損チェーンファイルを格納するフォルダだ。
つまりファイルシステムとしてのつなぎ先は見つからないが、ファイルとして確保できたものをchkdskが格納する場所だ。

もし、必要なファイルが消えていたなら、これらのフォルダーの中に存在しているかもしれない。

この無料版のメニューには ”データ復元” の表示がある。しかし、この機能、無料版ではスキャン(探し出し)の機能だけが使用できる。
紛失したファイルの保存機能はPro版でしか使用できないのだ。
(スキャンの結果はファイルとして保存することはできる。)

操作は、上ペインの「データ復元」をクリックする。

論理ドライブ(パーティション)かデバイス(ドライブ)のどちらに実行するかを選べる。

こちらは ”論理ドライブ”、つまりパーティーション。

こちらは ”デバイス”。つまりドライブ。

今回は ”デバイス” を指定。
実行するデバイスを選択し、右端の「スキャン」をクリックすることで、実行が始まる。

例によって時間がかかるので、お茶でもすすりながらゆっくり待つ。

終了すると、紛失したファイルが表示される。

展開すると以下のようになる

無料版ではここまでだ。
右下の「保存」をクリックしても、残念ながらPro版購入のお知らせ画面が表示されるまで。

ヘルプを見るとわかるが、「MiniTool Power Data Recovery」の機能を搭載しているようだ。
しかし、スキャンだけでも、異常を起こしたディスクドライブで何のファイルが削除されたのかを探るためには役立つと思う。

以上のようにトラブルの発生したディスクに対して、一元的にデータの確保を行うことができた。
このMiniTool Partition Wizardが無ければ、他のいろいろなツールを駆使することになることだろう。

ディスクドライブのベンチマーク

MiniTool Partition Wizardではディスクドライブのパフォーマンスも測定することもできる。

以下が操作手順。
ドライブを選択して、”開始” をクリック。

実行中。

結果。

HDDに対して行う場合、遅いHDDのベンチマークをとってどうするのというツッコみもあるかもしれないが、場合によっては、HDDの異常を発見できるかもしれない。

特にエラーにはなっておらず、読み取りにくいブロックがある場合は内部のリトライ動作によって見かけ上の動作速度が低下するからだ。

また、ヘッドが載っているアクチュエーターに異常がある場合でも速度に影響してくる。

但し、テスト時間が短いため、異常を判断できるかどうかは微妙なところかもしれない。

アプリが動いていないのに動作が遅く、やたらHDDがカリカリ動いているようなパソコンでは実行してみる価値はあると思う。

おわりに

今回はパーティションの管理ツールについて、ディスクドライブのトラブル時の角度から使用感を探ってみた。

ちょっとダラダラと書いてしまったようだが、「MiniTool Partition Wizard 無料版」は、機能は制限されているものの、かなり有用なディスク管理ツールであることがわかった。

ディスクドライブのトラブルには遭遇しないに越したことは無いが、しょせん機械、半導体であるから、神のみぞ知るミクロの世界から異常が発生することもあるだろう。

そしてディスクドライブのトラブルというのは奥が深い。なぜならば千差万別の壊れ方をするからである。
温度が上がると調子が悪いとか、やたらスピードが遅いとか、突然死という壊れ方をすることもある。

USBで外付けしたHDDで、やたらファイルの異常を検出するため、調べたらパソコン側USB3.0のポートに異常があったなんてケースもある。
(特に、安い自作用パソコンケースを使用している場合は注意!)

たとえRAIDを組んでいたとしても、複数個のドライブに異常が起きればデータはあっさり失ってしまうこともあるのだ。(意外とそういった事故は多い。なぜ起きるかは人間側の要因が大。)

ディスクドライブがおかしいと思ったら、Windowsのイベントログ(システム)でエラーの発生有無を確認してみること。SMART情報も有効だ。

もしエラーが発生しているようなら、紹介したようなツールを使ってできるだけ早くデータバックアップを確保しておくことだ。

バックアップさえあれば後はどうにかなる。