我が家のクルマ(旧型デリカD:5)で後部ブレーキ引きずりが発生した。
そろそろ耐用年数寿命に近づいてきてるなとは思っていたものの、こういう形で故障が起きるとは・・・
今回は、意外と気づかない「ブレーキの引きずり」について書いてみようと思う。
ブレーキの引きずりとは
乗り始めてそろそろ13年、距離も約13万キロ近く走ってきた我が家のクルマ(旧型デリカD:5)で後部ブレーキの引きずりが発生した。
これまで、大きな故障も無かったが、故障するとしたらサスペンションやトランスミッションあたりだろうと予想していたが外れた。
”ブレーキの引きずり” というのは、ブレーキペダルを踏んでいないにもかかわらず、ブレーキが効いてしまっている状態。
もう少し詳しく言うと、ブレーキパッドがブレーキローターに絶えず押し付けられている状態のことだ。
つまり、ブレーキが掛かりっぱなしの状態で走っているわけで、摩擦熱が発生し、ブレーキ周辺が高温になり、ホイールやタイヤまでも熱くなってくる。
当然、無理して走っているわけなので、燃費も悪くなるし、部品も劣化してしまう。
今回、少し遠出した帰り道でそれがわかったのだが、それまで全然気づいていなかった。
しかし、走れないほど致命的ではなかったため、どうにか無事帰宅することができたが、翌日は即修理となった。
何か変
ブレーキ引きずりに気づくまで、いくつかの兆候があったのは確かだ。
最初に気づいたのは異臭だった。部品が熱せられて焼ける薬臭いようなにおい。
このブレーキ部分、昨年の12月に点検で部品を交換していた。
そのため新しい部品がなじむ前に熱せられて、その臭いが発生しているのだろうと勝手に思い込みをしていた。
実はこれがブレーキローターにブレーキパッドが当たりっぱなしの状態のため摩擦熱でお互いが焼けて発生した臭いだった。
(熱により、ブレーキーロータがおかしな色に変色している。)
次に、停止から動き出すときに、「ガッ」という軽い異音がしていたこと。
これも同じで、ブレーキが掛ったままの状態で無理に回そうとするからこの音がしていたのだ。
そして、クリープ現象(オートマティック車でアクセルを踏んでいなくてもブレーキから足を離すと車両がゆっくり動く現象のこと)が少ない。
また、停止しようとするとき、ブレーキを踏んでいないにもかかわらず惰性で走行する距離が短いというのもあった。
さらにホイールの汚れ。
しばらく洗車をしてないせいか思っていたが、実はローターやパッドの削れくずが付着した汚れだった。
正常なホイールと比べると、明らかに汚れ方が激しかった。
これらのいくつかの兆候が発生していたにもかかわらず、ちゃんと確認しなかった自分の甘さにつくづく反省するわけである。
人間というのは、自分にとって都合の悪い情報を無視したり、過小評価したりしてしまう思考の節約が生じる。
異常なのだが「だいじょうぶだぁ~」と考えてしまうわけである。俗に言う「正常性バイアス」というやつだ。
客観的に物事を見ず、勝手に解釈してしまう、それが今回働いてしまった。
そして、帰り道、ついに、これはあきらかにおかしい!!という事態が発生する。
TPMSの異常アラーム
このクルマには、TPMS(タイヤの空気圧とホイール温度のモニター)を取り付けているのだが、あるとき後ろタイヤの左右の値が変になった。
TPMSは高圧、低圧共アラーム値を設定しておくと、その値を逸脱した場合、アラームブザーを鳴らしてくれるのだが、帰り道にこれが鳴ったのだ。
何事か!!とびっくりすると、タイヤの空気圧が異常に高いのだ。そして温度も高い値を表示していた。
これは変!!と、クルマを道路わきに停めてホイールに触ってみると、熱々の状態になっていた。
摩擦熱によって、タイヤが温められ、空気圧が高くなったのだ。
ここでやっと、これはブレーキ引きずりというやつだなと気づいた。
ずっとブレーキを引きずりながら走っていたわけで、思うとクルマにとてもかわいそうなことをしてきたわけだ。
なぜ、もっと早く気づくことができなかったのか悔やまれる。
なぜブレーキ引きずりが発生したか?
今回は後ろブレーキの左右とも同様の異常となったため、当初、共通部分の油圧系統やメカ機構を疑った。
しかし、工場修理で調べてもらうと、たまたま左右共、サビによるものであることがわかった。
ブレーキパッドを押すブレーキピストンがサビにより正常に戻らなくなったのだ。
(ディスクブレーキの構造)
出典:曙ブレーキ工業株式会社
(錆びたキャリパー(シリンダーボディ)とピストン部)
経年によるサビの発生であるのだが、そのサビを増殖させた理由に思い当たることがあった。
実は年末から年始にかけて、帰省のため高速道路の中国道と九州道を往復およそ2000Kmを走行した。
雪の心配はなかったのだが、年明けに寒波が日本列島を襲った。
比較的雪の降らない九州道でさえ積雪による通行止めが発生したのである。
帰る日を数日ずらして、どうにか通行止めは解除になった。
しかし、規制解除直後の道には、あの悪名高い「塩化カルシウム(融雪剤)」がたっぷりまかれ、残っていたのだ。
いわば、高速道路は「塩の道」と化していたわけである。
長時間にわたり、溶けた融雪剤をまき上げつつ走ったわけだから、当然ブレーキ部分にも多くの「塩」が付着しただろう。
今思えば、帰宅してすぐに洗浄すればよかった。そのまま放置したのがマズかったのだろう。
腐食が一気に進んで、今回の異常につながったと思う。
修理工場の人も、やはり洗浄はしておくべきと言っていた。横着、放置、無関心はいけません。
結局、後輪左右のブレーキ部一式の交換が必要となり、しばしの工場入院となった。
高額になった部品交換
交換した部品の画像は下記のものだ。
ブレーキローター(周りが茶色っぽく変色している。)
ブレーキパッド(異常な摩耗が起きて変色してしまっている。昨年末に交換したばっかり(泣)
キャリパーなど(サビがひどい。)
交換後の様子。
部品&工賃で11万円超の出費になった。痛い出費ではあるが、仕方がない。
もっと早く気づいていれば、これほどの出費にはならなかっただろう。
ブレーキパッドは昨年末に交換したばかりだった。
おわりに
これまでいくつものクルマを乗り継ぎ、乗車年数も同じようなものが多かったが、ブレーキの引きずりは初めてのことだった。
このブレーキ引きずりは意外と気づかないので注意が必要だ。
以下の事象が発生している場合は、要注意である。(既に手遅れの場合も・・・)
・ホイールやブレーキキャリパーが異常に熱い
・他のホイールに比べ汚れが多い
・走りがなんとなく重い(発進、停止時にスムースさが無い)
・停止状態から走り出すとき、ガッと音がする
・焼けるような異臭がする
年数が経過したクルマは特に気にしておくことが必要だろう。
融雪剤のまかれた道を走ったあとは、なるべく早く下回りを洗浄しておくべきだと痛感した。