燃焼の具合が悪くなってしまったシングルバーナー「コールマン502スポーツスター」。
前回のコールマン「502スポーツスター」シングルバーナーを修理する(分解編)に続き、今回は「サビ取り編」として、タンク内部のサビ取りと、外側の部品のサビ取り、耐熱塗装を行った。
タンク内部のサビ取り
前回で分解ができたので、今回は燃料タンク内部のサビ取りと、外部パーツのサビ取り、耐熱塗装を行ってみた。
尚、いつものお約束事ですが、
これはわたくし個人が行った実験的修理であり、動作の改善を保証するものではなく、場合によっては、機器の更なる不具合、損傷が発生するかも。
もし作業される場合、各人の自己責任として注意しながら行っていただきたい。
ということでよろしくです。
さてサビの発生したタンクの内部はこんな具合だ。
安物のファイバーカメラで撮影したので、画質がイマイチだが、結構サビている状態が分かっていただけるだろうか。
このサビを取るにはどうすればよいか?
構造的にはバイクの燃料タンクと同じようなものだから市販の燃料タンク内部のサビ取り剤が使えそうだ。
使用したのは「AZ バイク用燃料タンククリーナー 中性 1L」。
名前にあるように、本来はバイクなどの燃料タンク内部のサビ取り剤。
液剤のボトル背面に使用方法が書いてあるが、502用にアレンジした手順をざっと書いておこう。
①タンク内部を中性洗剤で洗う
②タンクのサビ取り剤を入れる穴以外を塞ぐ(サビ取り剤の漏れ出し防止のため)
③サビ取り剤の準備(以降これを薬剤と呼ぶことにする)
④薬剤をタンク内に注入
⑤6~12時間程度放置(サビの具合によって調整)
⑥タンク内の薬剤を排出し、水でタンク内を洗浄
⑦水洗い後速やかに③で余った薬剤を投入し、タンク全体に行き渡らせる(サビ止めの役割)
⑧水洗いをせず、そのまま乾燥させる
以下でそれぞれをくわしく見ていこう。
タンク内部を中性洗剤で洗う
これはタンク内部の油分を除去しサビ取り剤の反応を良くするため。
普通の家庭用中性洗剤でOK。
タンクのサビ取り剤を入れる穴以外を塞ぐ
薬剤を入れても、それが漏れ出すと、タンク上部にまでそれが行き渡らなくなる。
そこで、漏れないよう薬剤を流し入れる穴以外を塞いでしまう。
今回は十分でなく、薬剤が漏れて上部のサビが十分に取れなかった。
作業する場合は漏れ出さないよう厳重に塞ぐことをお勧めする。
黄色矢印の部分を厳重に塞ぐ。赤い矢印から薬剤を注ぎ入れる。
青い矢印はネジ穴だが、タンク内には貫通していないので塞ぐ必要はない。
サビ取り剤のの準備
サビ取り剤原液を60℃程度のお湯で10倍程度に希釈したものを作る。
作る量は、タンク内が満たされるぐらいの量より100cc程多めに。
余る分は最後に使用するので残しておく。
容器は100均などで売っているタッパーなど適当なもので良し。
(今回は手元にあったCD収納ケースを流用。)
薬剤の原液は手に付くとぬるぬるするので、気になる人はゴム手袋を使用すると良い。
薬剤をタンクへ注入
希釈した液剤をタンク内に注ぎ入れる。やや熱いので注意。
タンク上部まで浸かるように、溢れるぎりぎりのところまで入れる。
そしてこのまま6~12時間程放置する。
サビの程度によって漬け置きの時間は変わるようだが、そのあたりは適当。
尚、24時間以上は放置しないほうが良いらしい。
(この画像では薬剤が漏れ出して水位が少し下がってしまっている。)
タンク内の薬剤を排出し、水でタンク内を洗浄する
水で洗う。(ベアリングのボールなどを入れて撹拌するのも良いかもしれない。)
排出した薬剤に思ったほどの汚れは無かった。ただし底にサビの破片が沈んでいた。
余った薬剤を注入
水洗い後、速やかに余った薬剤を投入し、タンクを振って全体に行き渡らせる。
これでサビ止めのトリートメントの役割を果たすらしい。
タンクを乾燥
このあと、水洗いはせず、乾燥させる。ドライヤーなどで、温風を吹き入れれば早く乾かすことができる。
タンク自体を温めてもよいかも。
処置後のタンク内部を覗いてみると、こんな具合。サビが取れているのがわかる。
しかし、タンク上部は薬剤がうまく行き渡らなかったようでサビが除去できていない部分もあった。
薬剤をタンク天井部までうまく漬けてやることがミソでしょう。
その他部品のサビ取りと耐熱塗装
次に行うのがサビがひどい部品のサビ取りと耐熱塗装。
ひどいのはバーナーボール、バーナーサポートとブンゼンだ。
サビ落とし後、耐久性向上のため耐熱塗装を施すことにした。
しかし塗装によって、「ビンテージもの」という風合いは損なわれてしまうだろう。
「錆」もまたビンテージ風味と思うならば塗装はしない方が良いかもしれない。
ただし、道具というのは使ってこそ価値のあるもの。今後もガシガシ使うのであれば耐久性向上の点から塗装は有用と思う。
ワイヤーブラシや紙ヤスリで、ある程度サビを落としておくと、薬剤の効果が発揮しやすいと思う。
部品を薬剤に漬け込む
タンク用薬剤と同じ要領で希釈した薬剤を作る。
部品がしっかり漬かる程度の量を作る。
その中に部品を漬け込む。
サビがひどいので14時間程漬けておいた。
取り出したら、水洗いし、スチールたわしやキッチンクレンザーなどを使って、できるだけ磨いておく。
サビが取れて、サビ痕が灰色になっているが、表面もサビで腐食されているのがわかる。
耐熱塗装
次に耐熱塗装を行う。
塗料は、どこでも売られている呉工業の「耐熱ペイントコート」のスプレー。色はシルバーを使用した。
この塗料は、耐熱性シリコーン樹脂塗料で、硬化後の耐熱温度は600℃あるという。
塗料が飛び散らないよう、ダンボールの箱に入れて、塗料を薄く吹き付ける。厚塗りは禁物だ。
厚く塗りすぎると、次の焼き付けの時、塗膜が剥がれてしまうことがある。
2回程吹いたら、塗り忘れの場所がないことを確認して数日間放置して乾かす。
焼き付け
耐熱塗料は焼付作業が必要になる。焼き付けることで強い塗装被膜が生成される。
200℃で1時間熱を加えて硬化させる必要があるとのこと。
方法はいろいろあると思うが、小さい部品なのでカセットコンロのガス火であぶってやった。
手で部品を持ちながら熱するのは無理なので、部品に金属ワイヤーなどをつないでガス火に近づけるとよいだろう。
やけど防止で軍手もはめた方が良い。
ワイヤーは100均で売っていた4mmのアルミワイヤーを使用した。
ワイヤーを部品に取り付け、弱火にして、やや離しつつ、熱の加えすぎに注意しながらムラにならないようにあぶってゆく。
「200℃で1時間熱を加えて硬化」とあるが、30分程度でも特に問題なさそうだ。
焼き付けが終わった部品たち。腐食の痕は消すことができなかったが、ほぼ満足の出来。
今回はここまで。次回は残る部品の清掃と組み立ての様子をお伝えする予定だ。
続く