ピカピカレインプレミアム施工(後編) 塗りむら解消とCPCペイントシーラントを重ね施工

前回の ピカピカレインプレミアム施工(前編) しかし塗りむらが!! の後編。

ピカピカレインプレミアムの塗りむらが「CPCペイントシーラント」で除去できることがわかった。

その詳細について書いてみようと思う。

ガラスコーティングの塗りむらは修正がやっかい

前回、赤い塗色のクルマにピカピカレインプレミアムを施工したものの、あちこちに塗りむら(すじ状のくすみ)が発生してしまった。

(下は使用したピカピカレインプレミアム。手前の四角いものは塗布用のスポンジ。)

濃色車は、塗りむらが目立ちやすい。見る角度によってかなり目立つ。

日差しの強い日よりも曇りの日のほうが顕著に確認できるようだ。

(指で差した部分にすじ状の塗りむらが見える。)

塗りむらが発生した原因は、残ったコンパウンドの清掃不足と思われる。
すじ状になったのは拭き上げクロスで広げたためと推定。

ボディの研磨後、コンパウンドの拭き取りが甘く、ピカピカレインプレミアムのスポンジにコンパウンド(黒色)を巻き込んでしまったらしい。

(塗布用スポンジ表面が黒くなっていたことでそれがわかった。)

つまり、汚れた状態でコーティング作業をおこなってしまったわけだ。
これではむらになって当たり前だろう。

(ピカピカレインプレミアムは専用スポンジで施工する。)

ピカピカレインプレミアムはガラスコーティング剤だが、一旦硬化してしまうと、その修正はやっかいだ。

硬いだけあって簡単にコーティング層が除去できなくなってしまう。
(塗布後、塗りむらに気づいたときは、すぐに薬剤をつけて塗り広げれば修正は可能。)

硬化してしまうと、ファイバークロスで強くこすっても取れるものではない。

コーティング被膜を研磨し除去してから再施工すれば良いのだろうけれど、それは手間と時間の大幅なムダになる。

ではどうするか?、ちょっと悩む。

ピカピカレインプレミアムは2週間待てば完全硬化するとのことなので、とりあえずそれを待つことに。

修正はそれから考えることにした。

「CPCペイントシーラント」で塗りむらが・・・

そして、2週間が経過し、ふと、ある考えを試してみることにした。

むらの部分を「CPCペイントシーラント」の薬剤でこすってみたらどうなるのだろう?

これは、当初からピカピカレインプレミアム施工後に「CPCペイントシーラント」という別のコーティングを重ねてみようと思っていたからだ。

「CPCペイントシーラント」というのは、後ほど詳述するが、昔からあるコーティングのひとつ。

試してみると、むらが解消されてゆくではないか。

むらの部分に「CPCペイントシーラント」の薬剤でこすることを繰り返すとむらがきれいに消えてくれる。

少し分かりづらいが、黄色の囲みにすじ状のむら(くすみ)がわかる。

「CPCペイントシーラント」を塗って軽くこすってみる。

すると、まだ少し残っているものの、ほぼ消すことができた。(左側はしていない。)

別の場所。指で差す部分に同様のむらがある。

ここも「CPCペイントシーラント」を塗って軽くこする。

きれいになくなった。

これは、なぜだろう?

「CPCペイントシーラント」の液体には、石油系物質である「ナフサ」が入っており、研磨剤である珪藻土も含まれている。

塗りむらというのは塗膜の濃淡や不純物の混入(今回の場合)であるから、ナフサや珪藻土がこれを溶かすか削っているのではないだろうか。

ピカピカレインプレミアムは硬度9Hを誇っているので、表面の不純物(コンパウンドの残り)が削られて目立たなくなっていると思うのだ。

「CPCペイントシーラント」の上塗り施工をしようと思ったのはなぜか?

それでは、なぜ「ピカピカレインプレミアム」の上に「CPCペイントシーラント」を施そうと思ったか?

それは以下の理由だ。

「ピカピカレインプレミアム」はガラスコーティング。
つまりシリカ、ポリシラザンなど無機質な成分を主体としている。

無機質のコーティングは、耐紫外線、耐熱性、硬度が高く、効果寿命も長い(酸化しにくい)という特長がある。

そして有機質の汚れ(虫の死骸、油、花粉など)が付着しづらくなり、簡単な水洗いでも除去しやすくなる。

しかし、長所ばかりのように思えるが、実は無機質同士はくっつきやすいという性質を持つ。

普段洗車する水道水には多くの無機質成分(ミネラル分)が含まれている。
(水道水をガラス板の上などにかけ、乾燥させると、白く残る跡がそれだ。)

ということは、水道水で洗車し、水分を十分に拭き取らないとミネラル成分が残り、放置すればコーティングを浸食してゆくのだ。

水道水はTDSメーターで溶け込んでいるミネラル(無機イオンの含有値)を測定することができる。
ミネラル分は場所によって違う。

ここの田舎では湧水が多い川から取水しているため65ppmという軟水(溶け込んでいる不純物が少ない)の値となった。
(都市部では不純物が多く、かなり高い値を示すことがある。)

下は、別のクルマのボディに水道水をかけて乾かした画像。ミネラル成分が点状に残っている。

また、無機質成分(細かい砂などのカルシウム、マグネシウム、塩分、鉄粉)がボディについた状態で雨に濡れると、それが集まり、やがてコーティングを浸食してゆく。
(雨も空気中の塵埃を取り込んで汚れているが、実はミネラル分はほとんど含まれていない。)

ガラスコーティングを施工したものの、シミができたり、それがとれなくなったりして、ディーラーにクレームが入るのはこれが原因。

だから、知ってる人はイオン交換樹脂などを使った「純水器」を使用するのである。

(下はYoutubeを参考に自作した純水器。構造は簡単だが、水漏れ対策がなかなか大変。
 先ほどのTDSメーターで測定するとほぼゼロを示す。)

もちろん、このガラスコーティングによってその下にある塗装面を守ってくれているのだから、ガラスコーティングを責めてはいけない。

では、無機質コーティングであるガラスコーティングを更に保護するにはどうしたらよいだろうか?

それは、その上に有機質コーティングを施せばよいのである。

有機質のコーティングとは、油脂や樹脂を成分としたもの。フッ素、シリコンやアクリルなども有機質だ。

有機成分は無機成分に比べ、無機質成分とは結びつきにくい性質を持つ。

有機質のコーティングを重ねることによって、有機質コーティング部分を犠牲にしてガラスコーティングを守ることができるわけだ。

艶は有機質コーティングのものになってしまうが、それでも十分な艶だ。

従って、水道水を使用しても、ざっと拭き取るだけでよい。

但し注意が必要で、有機質コーティングは耐久性が低いため、時々コーティング層の汚れ落としとコーティング成分の補充が必要になる。
これが俗に「メンテナンスクリーナー」とか「メンテナンスキット」と呼ばれるもので、軽い研磨剤とコーティングの補充成分が入っている。

問題は、ガラスコーティングの上に、ちゃんと有機質コーティングが乗るかどうかという話し。
これは実験してみるしかない。

今回は、有機質コーティングとして、以前から実績のある「CPCペイントシーラント」を使用した。

「CPCペイントシーラント」は、簡単に言えば、テフロン系のコーティング剤である。
テフロンはあの、くっつかないフライパンでお馴染みの物質。フッ素と炭素の結合体の有機化合物になる。

「CPCペイントシーラント」はフッ素系ポリマーなので、もちろんフライパンのような完全なテフロンコートではない。
そんなことができたら、かなり高価になるだろうけれど。

ここでは、無機質、有機質コーティングと分けて書いたが、実際には両方の成分が入れられたハイブリットのものや、多種多様なコーティング剤が市販されている。
このため簡単には区別できないものの、大まかな分け方として「無機質系」「有機質系」と表現したのでご了承願いたい。

「CPCペイントシーラント」の施工は良好

さて、始めに登場したクルマに戻ると、6月のはじめ頃、「ピカピカレインプレミアム」を施工し、6月のおわり頃に「CPCペイントシーラント」を施工した。

「CPCペイントシーラント」は定期的なメンテナンスが必要であるため、先日、専用メンテナンスクリーナーを使用して初めてクリーニングをおこなった。

「ピカピカレインプレミアム」の塗りむらの見逃しがあったため、このメンテナンスクリーナーを使用してみたところ、これでも塗りむらを除去することができた。

メンテナンスクリーナーは「CPCペイントシーラント」の成分と同様に、石油成分と珪藻土が含まれているため、これで除去できたものと思う。
(メンテナンスクリーナーはフッ素補充の役目もある。)

現在は11月中旬であるが、コーティングに問題は生じていない。

今後も継続して状態を観察してゆくことにする。

【実験】硬化後の「ピカピカレインプレミアム」は溶剤に溶けるか?

もうひとつ実験をおこなってみた。

硬化した「ピカピカレインプレミアム」がIPA(イソプロピルアルコール)に溶けるかどうかを試してみた。

「ピカピカレインプレミアム」はやや黄味がかった透明の液体だが、無機成分がIPAに溶けた状態となっている。
ならば、硬化した「ピカピカレインプレミアム」をIPAに漬け込んだら、再び溶けるのではないかと思ったからだ。

もし、溶けるのならば、むらが発生したときの除去やリカバリする手段のひとつに成り得る。

透明の小さなガラス瓶に「ピカピカレインプレミアム」を少し入れ、約3か月ほど放置した。

3か月後。液体は完全に硬化し、瓶の底に透明な塊りとなっていた。

ここにIPAを投入。5日ほど放置してみる。

つまようじでツンツンしたら割れてしまった。

取り出してみると、小さなひび割れがいっぱい入っているが、軟化していることもなく、溶けている様子もない。

やはり、一旦硬化すると、かなり強固な被膜になることは間違いなさそうだ。

※ 現在、ラッカーシンナーに浸してどうなるかを実験中。

おわりに

濃色系のクルマへのガラスコーティングの施工は、下地作りが大切であることはもちろん、コーティング施工前の、汚れ、不純物の除去が大切だなと思った。

また、失敗してもリカバリができることがわかった。

来年3月下旬ごろには、別の赤系塗色のクルマに施工する予定なので、ノウハウの蓄積をすることができたと思う。

まだまだ勉強、経験不足で、初めて解ることも多いが、これがDIYの醍醐味なのだ。

たとえ塗りむらができたとしても、言われなければわからない程度なのだから、それほど気にしなくてもよいのである。

だから、コストカット、自分が納得するまでやってみたい等々、理由はいろいろあるだろうけど、是非挑戦してみることをお勧めする。

最後に「ピカピカレインプレミアム」+「CPCペイントシーラント」を施工するという、ある意味、実験的な作業を承諾していただいた当車両オーナーに感謝したい。

今後もコーティング状態をチェックしてゆくつもりだ。