2019年のゴールデンウイーク中、石川県能登半島にある「能登赤崎モビレージ」というキャンプ場に行ってきた。
普通のキャンプ場とはちょっと違う?このキャンプ場。予想に反してとても居心地の良いキャンプ場だったのでその様子をお伝えしよう。
※令和6年(2024年)能登半島地震によって被害を受けていると思われるが、情報が全く無く、ポータルサイトでも通常の予約受付しか書かれていない。もしご利用されるのであれば、現地へ直接問い合わせて頂きたい。
予約を入れるが・・・
この「能登赤崎モビレージ」、初めて行くので調べてみたが、情報があまりなく、あってもその内容はあまり芳しいものではなかった。
場所はこのあたり、石川県の能登半島の北東部、能登町に位置する。
このキャンプ場、周辺の他のキャンプ場は予約いっぱいなのに、なぜかここだけはあっさり予約がとれたという不思議。
しかも、予約の電話をした際に、ここより別のキャンプ場へ行った方がいいよ・・・と、別のキャンプ場を勧められる始末。
あまり来てほしくないのだろうか?、この不可解さ。(この理由はあとでお話しする。)
「大丈夫なの?」嫁さんが心配そうに言う。何しろ遠方だし今回は3泊の予定だからだ。
まぁ、行ってみて気に入らなかったら早めに引き上げればいいだけだし・・・しかし予約はできたもののちょっと不安はある。
出発してみるも・・・
予約した当日、古すぎて地図更新のできなくなったカーナビの情報では6時間(京都北部 → 能登町)を要すと言うので、連休中の渋滞も予想して朝4時半に出発。
高速道路では、寒冷前線、低気圧の影響で雨が降ったりやんだり、途中は土砂降りも。風も強くどんよりした空に全くテンションは上がらない。
これは不吉なキャンプを暗示するものなのだろうか・・・。
でも「のと里山海道」という無料で神のような自動車道はとても快適だった。
道路も全く混んでいない。
(途中で「千里浜なぎさドライブウェイ」も走ってみた。)
予定よりも早く到着しそうだったので、途中で管理人さんに電話を入れてみる。
すると「早く入ってもらっていいよ」との返事。
到着、そして・・・
しばらくして現地付近に到着。
雨は小降りになってきたが、相変わらず風が強い状態。
キャンプ場入口には案内看板も無く、油断すると見過ごして通り過ぎてしまいそうだった。
グーグルの写真には看板があるから、以前の台風で吹っ飛んでしまったのかもしれない。
さて中に入ると、噂に聞いていたとおりの散らかり具合。
入り口付近は古い車や、いろいろ物が置かれ、管理棟まわりもごちゃごちゃ・・・
管理棟には誰もおらず、近くで男の人が作業していたので声をかける。
その人は管理人さんではなく、場内の作業をしていた方で、別の建物から管理人さんを呼んできてくれた。
管理人さんは、ちょっと理屈っぽいクセのある人なのでは?と勝手に想像していたが、会ってみると全くそんなことは無かった。
素朴で気さくな人で、正直、安心した。
(滞在中にしいたけやタケノコをもらいました。)
案内されて狭い林間の道を奥へ車を進めると、やや狭いけど自然味あふれる林間のサイトがあった。
入り口付近のようなごちゃごちゃした物は無く、「う~ん、これはなかなかいいぞ!!」という第一印象。
第一印象のいいキャンプサイトはだいたい楽しくて快適だ。
今回は(も?)わしら一組しか予約がないので、どこでも好きな場所を使ってもらってよいとの事。
ただし雨は止んだものの相変わらず風は強い。すぐ横が断崖でその下が海なので海風が強いのだ。
ちょっと断崖から離れた所にテントを張ろうかと考えたが、天気図を見ると低気圧は夕方には過ぎて行きそうだし、風の中、テントを張ることにする。
テントが飛ばされそうになるのを必死にで押さえつつ、ペグを速攻で打ってどうにか設営ができた。
(下の写真は天気の回復した2日目)
近くの銭湯へ
あまりに寒いので、暖をとるため火をおこし、しばし焚き火をすることに。
多少は温まったものの、やはり身体を温めるには風呂に入るのがいちばん。
ちょっと遠い温泉に行こうとしたら、管理人さんが近くの温泉を教えてくれた。
そこは温泉なのだが作りが銭湯。昭和のレトロ感たっぷりの番台式だ。
広くはないがとてものんびり浸かっていられるところだった。とてもほっこりできた。
温まって夕方帰ってくるころには風もおさまり、静かになっていた。
天気が回復して小鳥のさえずりも聞こえる。
急いで晩飯の準備をする。今日は定番のBBQ。外飯と、風呂上りのビールは最高。
ゆっくりと一日が暮れてゆく。ここは海側に沈む夕日を見ることができる。
暗くなってきたのでランタンに火を入れる。何しろここは屋外灯が無いため、夜は真っ暗になる。
キャンプ場を起点にあちこちへ
翌朝、朝ご飯を食べて、近くの散策する。
このキャンプ場は人家に近いが、全くそれを感じさせない。道路もクルマはほぼ通らない。
近くの海岸が赤崎海岸だ。ゴツゴツした赤っぽい岩の海岸で暖かい時期は磯遊びができる。
それに流れ着いた木々が焚き火用の薪に使えるところがいい。
近くでいちご狩りもできる。
散策後は、昼ごはんを兼ねて近くの観光地へ出かけた。
能登半島はちょっと足を伸ばせば見どころがいっぱいある。そして海産物がおいしい。
ちなみに、すぐ近くにおいしいラーメン屋さんもあった。
帰ってきて晩飯を作り、焚き火を囲み、酒を飲みながら星空を眺める。
キャンプ三日間はあっという間に過ぎて行った。
予約の時なぜ、不可解だったか?
予約の時の不可解さを知りたかったので管理人さんにいろいろ話を聞いてみた。
この「能登赤崎モビレージ」は能登のキャンプ場の中で最も古く、昭和47年に開業したとのこと。
その時代、まだ「キャンプ」という趣味がめずらしい時代で、能登でいくつかできたキャンプ場でも、ここはキャンプサイトに自動車が横付けできるという、今で言うところのオートキャンプ場の形態をとっていた。
広いキャンプ場ではないが、最盛期は場内満杯になるほど盛況だったそうだ。
時は流れ、元々は町営だったが、その後今の管理人さんに引き継がれたとのこと。
アウトドアブームが訪れ、次々と新しく便利で高規格なキャンプ場が周辺にもでき、次第に人気がなくなっていったのかもしれない。
そして古いキャンプ場は淘汰され、このキャンプ場が最も古いところとして残ったわけだ。
さて、最初に書いた「なぜここだけはすぐに予約ができたか?」という理由。
それは、積極的には集客しないキャンプ場なのだ。
それはなぜか?、それは人手不足で手が回らず整備が思うようにできないのが理由らしい。
(ホントはきっと整備、整理するのがめんどくさいんでしょう。全然商売っ気がないんだね。)
こちらが予約で電話した際にも別のキャンプ場を勧められたし(笑)
しかし、私は昔からキャンプをやっていて、不便さを楽しみに行くんだ、みたいな話をすると、納得してくれたようで予約がとれたわけだ。
ログ造りのケビンもあるが、ここも連泊してくれるお客さんでないと予約を受けないらしい。
なぜならば、中の清掃をチェックアウトの10時からチェックインの13時までにしなければならない。
一泊のお客さんだと一泊ごとにそれをしなければならないから手がかかる。
連泊であればその間は清掃する必要がないからという理由。なるほどね。
それと、私が思うには、人が大勢来るとなにかと問題が起こるのではないか。
炊事場での残飯の垂れ流しや放置、ごみは分別もせずそのまま捨てる。
炭は火のついたまま捨てる。大声で夜遅くまで騒ぐ。ラジオや音楽を流す。
最近、マナー知らずのキャンパーを度々目にしてきた。悲しい時代になったものだと思う。
自分が管理人だったら、やんわり「もう来なくていいよ!!」と言うだろうね。掃除も大変だし。
それに古いキャンプ場だから、設備は最低限。AC電源なんてもちろん無い。炊事棟も屋内外にひとつづつあるだけ。
そばに水道がないから、いちいち炊事棟まで水タンクを持って汲みにいかなければならない。
中には、それに不満を示すお客さんもいるのだろう。何しろAC電源なしではスマホも充電できないしね。
もちろん人それぞれ、それなりの価値観、楽しみ方、事情もあるだろう。
しかし時間があるのに電気炊飯器で飯を炊き、豪華な家具セットのようなあつらえをするのは、ちょっと違うんじゃねーのと思う。
そんなお客さんには来てもらう必要はない。今の風潮にアンチテーゼ的なところもあるのかもしれない。
考えるに「キャンプ」の楽しみというのは極力自然に近い状態で、不便さを味わいに行くところではないかと思うのだ。
もちろんキリモミ式で火をおこせとは言わないが、ファイヤースターターで火をおこし、飯盒や鍋で飯を炊き、焚き火でコーヒーを沸かす。
これこそが面白いと思うんですがね。
ここは、整備されたきれいなキャンプ場を想像して行くと愕然とするかもしれない。
屋外灯が全くないので、夜はホントに真っ暗。暗闇に恐怖を感じる人には向いてない。
トイレに行くときもランタン、懐中電灯持参は必須だ。
ちなみに設備の様子はこな具合。
トイレはこんな具合。水洗できれいです。
ただ、シャワー室はちょっとね・・・
これまで、多くのキャンプ場を利用してきたが、ここはとても居心地がよかった。
関西からは少し遠いのが難点だが、また是非来ようというキャンプ場のひとつになった。
「わかってる人」は一度行ってみてはどうだろう。
p.s. googleマップで、全く違う場所が「能登赤崎モビレージ」になっていたのでgoogleに連絡して修正してもらいました。