普段あまり乗らないクルマに全自動バッテリー充電器(OP-BC02)が良さそう

普段あまり乗らなかったり、ちょい乗りが多いクルマはバッテリーの充電が不足ぎみ。
しかも寒い冬場はなおさらバッテリーの元気が無くなる。

そんな不健康なバッテリーを回復させる全自動バッテリー充電器(OP-BC02)を使ってみたのでその使用感など。

セルモーターの動きが渋い

最近、我が家のクルマ(旧型デリカD:5)の調子が悪い。

症状として、セルモーター(スターター)の回転に元気が無く、回転が一定でないような感じ。

まあ、もうじき14年になるクルマだ。何が起きても不思議ではない。

ちょうど点検時期だったためディーラーに聞いてみたところ、バッテリーかセルモーターの不調かもしれないとのこと。一応バッテリーは大丈夫そうとの話だった。

もしセルモーター交換になったら痛い出費になりそうだ。

やっぱりそろそろ買い替え時かな。(でも欲しいクルマは生産できず半年以上待ちだとか・・・泣)

とりあえずバッテリーを疑ってみる

ディーラーは大丈夫と言うものの、とりあえずバッテリーを疑ってみることにした。

なぜなら現在使用しているバッテリーは、2年近く前にオークションで入手した「リビルドバッテリー」
つまり、中古の再生品だ。

ラベルに貼られた形式は「55D23L」。ラベルを剥がすと本来は「75D23L」のバッテリーだった。

再生品だから性能低下分でグレードを下げて売っているのだろうか。

価格は送料込みで4000円だった。
価格はともかく、なにしろリビルド品だから、2年で寿命になるケースがあるのかもしれない。

バッテリー、交換してみるか・・・

いや、待て、最近はちょい乗りしかしていないし充電不足の可能性もあるな・・・

そう、最近は例のウイルスのこともあって、すっかり遠出をしなくなってしまった。
行くのは近くのスーパーマーケットか、ホームセンターぐらいなもの。

そんな具合だからバッテリーの電力が減っているのは明らかだった。

一般的にバッテリーを充電するには

セルモーターを回すと、バッテリーが失った分の電力を取り戻すために30分の走行が必要といわれる。

人によっては、充電するために、エンジンをかけて、しばらく放置(アイドリング状態)にすることがあるだろう。

やってる本人は、ちゃんと充電されてる感覚にとらわれるのだが、実はいちばん効率が悪く、結局はガソリンの無駄遣いでしかないらしい。

充電させるには、エンジン回転数を上げて、オルタネーター(発電機)をちゃんと回してやることが必要なのだ。だから、ちょい乗りではなく、しばらく走ることが必要になってくる。

しかし、ただバッテリーを充電するために走り回るのも、これまたガソリンの無駄遣いだろう。

最も効率良く、確実なのがバッテリー充電器で充電してやる方法である。

古いバッテリー充電器は能力不足だった

そんなわけで、古いバッテリー充電器を引っ張り出してくる。
恐らく15年ぐらいは経っているシロモノ。


(これは、以前の記事「寿命になったクルマ用バッテリーは甦るか?「デサルフェーター始動編」」でも使用していたもの。)

タイマー式で、目盛りを回す量(時間)によって充電量を変える方式。

これはこれで、充電できるが、バッテリーの状態を監視しつつ充電するわけではないので、目分量でしかない。

しかも、仕様を見ると、最大の電流値が5Ah。

搭載しているバッテリーは6Ah(5時間率)であることを考えると、ちょっと能力不足。
長い時間、充電器をつないでおかないといけない。

確かに説明書きには「50%放電で約7.5時間を要する。」と書いてある。
チマチマと流し込んでゆくパターンだね。

そこで、最新のバッテリー充電器の購入を検討することにした。

ネットで探ると、最近はいろいろな種類が出てくる。

巷の評価では、「エーシーデルコ 全自動バッテリー充電器 12V専用 AD-2002」が良いらしい。
価格はそこそこするが、今後のことを考えると、性能の良いものを持っておくのが良いのではないか。

更に調べてゆくと、「オメガ・プロ 全自動パルス(バッテリー充電器) 12V専用 マイコン制御 OP-BC02」というものもある。

外観はエーシーデルコ製のものと似ている。

それもそのはず、同じ物のようで、エーシーデルコ AD-2002のOEMがオメガ・プロ OP-BC02であるようだ。確かに仕様や説明書が瓜二つである。

バッテリー状態を監視しながら充電し、しかもパルス充電ができると書いてある。
何でも「Intec Power XT3 Technology」という技術を使っているということだ。
凄く頼もしそうな技術だね。

以前、高周波パルスを使用した回路によるサルフェーション除去の記事を書いた。
(事情で実験が頓挫したことを、あらためてお詫びします。)

この「パルス充電」という文言も非常に興味がそそられる。

というような訳で「オメガ・プロ OP-BC02」の方が少し安く販売されていたこともあり、これを入手した。


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現在のバッテリー状態を調べてみる

充電する前に、現在の状態を把握しておきたい。

バッテリテスター(BA101)を使って、今の状態を測定してみる。
安物テスターなので、どこまで本当の値を示しているかは疑問だが、一応目安にはなるだろう。
(これを使うとき、意外な注意点があるが、それはまた機会があれば書いてみたいと思う。)



モードは「Quick Test」、電流値は「50Ah」を指定した。


測定結果は以下のようになった。

表にしてみると、

SOH(%) SOC(%) 測定CCA(A) 電圧(V) 内部抵抗(mΩ) 想定CCA(A) 状態
72 55 340 12.33 8.78 400 GOOD-RECHARGE

■SOHは「State of Health」の略。健全度や劣化状態を表す指標。 初期の満充電容量(Ah)を100%としたとき、劣化時の満充電容量(Ah)の割合。
■SOCは「State Of Charge」の略。充電率または充電状態を表す指標。
■CCAは「Cold Cranking Ampere」の略。温度-18℃下において、SOCが100%から定電流で放電した場合の30秒目の電圧が7.2V以上を保てる限界の電流値。
■内部抵抗はバッテリー内部の抵抗値。

う~ん、やはり充電率が55%と低い。
状態も「良い」ではあるが、「要充電」となっている。

では、「オメガ・プロ OP-BC02」を使ってみよう。
さて、結果はどうなるか?

「オメガ・プロ OP-BC02」の使い心地

「OP-BC02」は意外と軽い。
昔のようなデカいトランスとかは入っていないからだ。

接続クリップのついた出力ケーブルは、長さが1.8mほどで十分な長さだと思う。
しかし、電源ケーブルは1.5m程なので、屋内で使うならともかく駐車場での使用は延長コードが必要になるだろう。

説明書には各種操作方法が詳しく書かれているので、迷うことはなかった。
メンテナンスモードリフレッシュ充電モードがあるが、充電不足の場合は通常の充電モードを選べば良い。

充電器はエンジンカバーの上に置いたが、滑って落ちそうなので、100均で売っている滑り止めシートを敷いた。

念のためバッテリーから水素ガスを逃すよう、補水キャップを緩めておいた。

バッテリーの端子に充電器のクリップを取り付ける。
(マイナス側は車体のどこかにつなぐのがセオリーだけど、パルス充電ということでバッテリー端子に直接つないだ。)

充電器のコンセントをつなぎ、Powerボタンを押すと、10回ブザーが鳴り待機状態となる。

次に電流選択ボタンで「6A」(バッテリーの仕様から判断する。)を選ぶ。
電流選択ボタンを押すのをやめた1秒後に充電動作が開始され、青い「充電中」ランプが点灯する。

8セグの表示器に電圧と充電量が表示される。(電圧/充電量ボタンで交互に表示できる。)


あとは8セグ表示器に「FUL」と表示されるまで放っておけば良い。

約2時間半で「FUL」表示となった。早い。

状態を安定させるため、約1時間放置後バッテリーテスターで測定してみた。

充電前の数値

SOH(%) SOC(%) 測定CCA(A) 電圧(V) 内部抵抗(mΩ) 想定CCA(A) 状態
72 55 340 12.33 8.78 400 GOOD-RECHARGE

充電後

SOH(%) SOC(%) 測定CCA(A) 電圧(V) 内部抵抗(mΩ) 想定CCA(A) 状態
90 98 380 12.93 7.87 400 GOOD BATTERY

いずれの値も改善されていることがわかる。状態も「良いバッテリー」となった。

早速、エンジンをかけてみると、セルモーターの回転が良くなった。

更に1日置いて測定してみても、少々値は低下したものの良い状態を保っているようだ。

単純に(パルスではなく)充電のみで回復したのかもしれないが、お手軽に、しかも短時間で充電することができた。

これは期待通り、なかなか優秀だと思う。

「オメガ・プロ OP-BC02」の電圧波形と内部構造

では、「パルス充電」と唄う充電波形はどんなものかを調べてみる。

下がその波形だが、「Intec Power XT3 Technology」の説明にあった波形と同じようだ。

13Vから14Vぐらいの電流にパルスが重畳されている。
(棒状の不定期なパルスは、充電器が発しているノイズ。)

パルスの電圧は200mV(0.2V)、パルス間は約10msになっている。

パルスの電圧は意外と低いが、電流値が高いためサルフェーション除去の効果はあるのではないか。

実際、プラス極側の線にフェライトコアをかましてみると、ジージーとコアが大きな音を立てるのが確認できた。

次に、分解してみる。
基板は2枚に分かれていて、左がパルスと電力供給、右が操作パネルの基板。

この操作パネルの基板にマイクロプロセッサが入っている。

基板を外してみると分かるが、ケースはプラスチック樹脂のままで何のシールドも施されていない。
これではノイズ出放題なのも頷ける。

まあ、見た感じ、高価な部品は使用していないので、開発費、宣伝費は別として、数千円で作れそうといった感じ。
ちょっとチープな感じはする。

ケースの内部には空きスペースが多いため、いろいろ組み込めそうだ。
とりあえず、電圧を常時モニターできるようにデジタルの電圧計を組み込むのも面白いかもしれない。

おわりに

今回のクルマの不調はバッテリーの充電不足が原因だった。
よく考えずバッテリーを買わなくて良かったと思う。

「全自動バッテリー充電器」は多少疑いの気持ちもあったが、使用してみると十分効果があり使えるものだった。

後日、メンテナンスモードも試してみたいと思う。

残念ながらブーストモード(バッテリーが上がってしまったときに大電流をバッテリーに供給し、緊急的にセルモーターを始動させる)が無いが、普段バッテリーの充電が少ないなぁと感じている御仁にはお勧めの一台である。

この「オメガ・プロ OP-BC02」は近日、入力電源スイッチとデジタル電圧計を追加する改造を行ってみたいと思う。