エキパイフィニッシャーを耐熱塗装する

先日、安い中華製エキパイフィニッシャーを購入した。

今回は、チタン焼きの退色防止とサビに強くなるよう耐熱塗装をおこない高寿命化を図ることにした。

エキパイフィニッシャーって何よ?

”エキパイフィニッシャー”と言われてもピンと来ない人のために・・・

別称”マフラーカッター”とも言うが、よくわからない部品のひとつ。

エキパイというのは、エキゾーストパイプ(排気管)のこと。
略して”エキパイ”。駅で売っているアップルパイのことではない。

それにくっつける末端(フィニッシュ)の部品なので、合わせて”エキパイフィニッシャー”なのである。

要は、排気マフラーの先端にくっつける、是見がしのお飾り。
まあ、体のいい言い方をすればドレスアップアイテム。

走行性能にはなんら寄与しない?(冷却効果とか多少は排気音が変わったりするとかしないとか・・・)けど、見映えの良さは断然アップする。

昔は、トラックなどで甲高い音を鳴らすようなものもあったようだが、最近はすっかり見かけなくなったね。

安いエキパイフィニッシャーを買う

さて、このエキパイフィニッシャー、ディーラーで買うとめちゃめちゃ高い。
もちろんそれなりの品質、仕上げの良さはあるんだろうけれど、貧乏人には勿体ない。

下はホンダ 純正アクセサリーのエキパイフィニッシャー


 出典 Honda Motor Co., Ltd.

そこで、いつもの如くアマゾンで探る。
すると車種別から汎用品まで玉石混交いろいろ出てくる。まさにピンキリとはこのこと。

価格の高いものは表面処理とか、溶着とかがちゃんとされているんだろう、と信じたい。

今回入手したのは、2連型で、チタン焼き風のもの。

(届いた新型ヴェゼル用のエキパイフィニッシャー)

あまり期待していなかったが、作りもしっかりしていて、チタン焼きの風合いも予想に反しなかなか美しいものだった。

内側は軽く表面処理してある様子だが、いつかは錆びてくるだろうという感じはする。

ご存知のようにマフラーからはかなりの水蒸気が排出される。
エキパイフィニッシャー部分には水が溜まることが多い。

いずれ錆びゆく宿命を持っている部品だ。
で、あるならばいつまでもきれいで、長持ちするようにしておきたい。

それにはまだ新しいうちに処置しておくのがベターだろう。

耐熱塗装を塗る

サビや表面のくすみを防ぐには塗装するのがひとつの方法だと思う。

しかし、このマフラー部分は結構熱くなる部分だ。高速道や山道を走ったあとなどは結構熱くなっている。

一般の塗料ではなく、やはり耐熱塗料を使うべき部分だろう。

今回は、内側を銀色、外側はクリアー(透明)の耐熱塗料を使用しすることにした。

銀色や黒の耐熱塗料はホムセンでも売っていて比較的入手しやすいが、クリアーのものは見かけないのでネットで購入。

(KURE 耐熱ペイントコート)

(ヤマハ耐熱クリアー(透明))

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では塗装。今回は特に足付けせず、脱脂のみ行った。

まず内側に銀色を塗る。スプレーでそのまま吹くと外側にまで塗料が飛び散り面倒なことになりそうだ。

それに外側をマスキングするのも面倒なので、スプレーから塗料を取り出し、ハケ塗りすることにした。

塗料の受け皿として、プッチンプリンの空きカップなどを使うと良い。これにノズルから塗料を吹き溜めれば作業しやすい。

ハケ塗りでも数回に分けて塗り重ねれば、特にムラにもならずきれいに塗ることができた。

次に外側にクリアーを塗る。
これは当然、スプレーの方がムラ無く仕上がるだろうから、素直にスプレーで塗る。

このとき、対象物を置いてスプレーするよりも、なにか針金など結びつけて持ち手を作り、向きを変えられるようにした方が良いと思う。
こういった複雑な形状のものは、その方がムラ無く塗れると思う。

クリアーの耐熱塗料はネットで調べてみると、白濁したり、艶が無くなるという情報もあった。

確かに、塗った直後は白濁した状態になるものの、次第に透明となってゆく。

少しずつ塗り重ね、3回塗りをした。

耐熱塗装には適切な「膜厚」があるようで、過剰な重ね塗りはしてはいけないそうだ。

厚い塗膜だと高温時、中に含まれる成分からガスが発生して膨れ上がり、見映えの悪さや被膜の劣化の原因となるとのこと。

まあ、そう言われても良くわからないので、垂れない程度に厚塗りをしてやった。

塗膜から溶剤が完全に抜けるようにするため、数日乾燥させてやる。

キレイに塗れたし、軽く触っても大丈夫だから、すぐに焼付しようなんて思わない方が良い。
塗膜の中にはまだ水分や溶剤が残っており、未乾燥のまま焼き付けすると、気泡が発生したり剥げたりしてしまう。

禿げるのは頭だけで十分だ。いや、そうではないか・・・

乾燥したかどうかは、ニオイを嗅いでやればよい。溶剤の臭いがしなければ桶。

(カーペットといっしょに日干し中)

乾燥させても、しっとりとしたつやのある表面を保っている。

焼き付け

先ほども書いたが、耐熱ペイントというのは塗りっぱなしではだめで、熱を加えて塗料を焼き付けしなければならない。
加熱される事により塗膜に重合反応が起こり、緻密な塗膜が形成されるのだそうだ。

焼き付けの温度、時間が足りないと性能の落ちた塗膜になるとのこと。

まあ、いずれにしても焼き付けは必要なのだ。

注意として、いきなり高温度で熱しすぎないこと。
「150℃~180℃で15分」などの指定があるのは、徐々に水分などを蒸発させるためなのだそうだ。

基本はメーカーの指定する方法で焼付けを行えばいちばん良いのだが。

(スプレー缶の背面には焼き付け方が簡単に書いてある。)

が、一般中流家庭にそんな理想的な焼き付け設備は無い。オーブントースターには入らない。

そこで一般に手に入るガスバーナーで焼き付けすることにした。

カセットガスカートリッジを使うガスバーナーだが、これでも火力はかなりある。

いきなり高温の炎を当てるのは問題が発生するだろうから、様子を観ながら徐々に熱してゆく。

また、表面に炎を直接当てるのも、失敗の原因になりそうだ。内側から徐々に熱を加えてゆく作戦とした。

下記画像の矢印部分(開口部分)から順繰りに何度も炎を入れてやる。

できるだけ満遍なく全体が熱せられるように。

炎はかなり弱い目にして、揺らしながら加熱してゆく。

しばらくすると塗膜から煙が出始め、やがて煙が出なくなる。

更に時間をかけて十分に加熱してやった。

(焼き付けが終わった状態)

表面は塗装時と変わりなく、気泡ができたり剥がれたりくすんだりすることもなかった。
無事成功と言えるだろう。

おわりに

今回の作業で、耐熱クリアーも一般のクリアーと変わらずきれいに塗れるものだとわかった。

どれほどの耐久性があるかはまだわからないが、何もしないよりはマシになったのではないだろうか。

安い部品でも(構造的な不具合がなければ)ちょっとひと手間かければ十分に実用的なモノに変えることができるのではないか。

そのために余計な出費や時間が必要にはなるが、完成の喜びとノウハウは確実に身に付くのだ。