クルマのディーラーオプションを自分で取り付けたいと思う人もいるだろう。
今回、オプションのパーツ取付けをディーラーに依頼せず、パーツの状態で供給してもらえるか?を探ってみた。
この、”クセのある注文”にディーラーの対応は?、・・・それは店によって全く違っていた。
クルマDIY派の人に多少、参考になればと思う。
オプションをつける心理状態
新車を買おうとするとき、ほとんどの人はなにかのオプション品(アクセサリ)をチョイスすると思う。
カーナビやドライブレコーダー、照明などの電装品、フロアマットやドアバイザー、エアロなどの内外装・・・
ナンバープレートロックボルトやキー付ホイールナットの防犯用品を求める人も居るだろう。
うん百万円もする新車購入時は、気持ちが高揚し金銭感覚がマヒしているから、数万円もするオプション品が安く思えてしまう。
いや、数十万円するカーナビですら、それほど高いとは思えなくなる。
親バカ心みたいなもので、せっかくの新車なんだから少々高いけど、これは必要なものだ、と自分自身を納得させてしまうのだ。
最低限必要なものもあるだろうけど、それホントに要るの?と配偶者に釘をさされそうなものまで。
冷静に考えると、それほどいらないものだったりする。
気持ちが浮ついている状態で、担当営業も言葉巧みに、あれこれと勧めてくる。
特にボディーコーティングとメンテナンスパックはほぼ100%勧めてくるに違いない。
『えへへ、奥さん、ボディーコーティングをしておくと汚れが付かなくて手間がかかりませんぜ。』
『メンテナンスパックは点検、車検の時にすっごくお得です、入らないと損ですよ。今なら割引!』
とかね。
気づいたときは、オプション品だけでうん十万円になっていることも・・・
わしが個人的に思うに、メーカーやディーラーのオプションは、「ぼったくりの塊り」みたいなもので、パーツなどは100均ショップでも作れそうなプラ成形部品や金具、コネクタがついたただの電線がウン千円やウン万円もしたりする。
まあ、特別な仕様なものでもあるし、量産によるコストダウンもできず、開発費も回収しなければならないから、仕方がないといえば仕方ないのだろう。そもそも自分では作れないしね。
(下は純正カーナビ用の取付アタッチメント。金具と少々の保護部材が入っていて、これで約4千円也!)
工賃にびっくり
部品代はそれほどでもないオプションをあれこれ追加していった結果、見積もりを見ると、ものすごい金額になっていることがある。
それは取付け工賃がプラスされているから。
オプションパーツは人の手を介して、車両に取り付けられる。そのため工賃が発生する。
特に電装系の取付け工賃はだいたい高額になる。
なぜならば、配線を渡すために内装、外装の取外しの手間が必要になることや、カーナビなどは各種設定やカメラなどの調整(エーミング)が必要になる場合があるからだ。
ご存知かもしれないが、工賃というのは、「標準作業点数 × レバーレート」というものではじき出される。
「標準作業点数」は自動車整備振興会が定めている作業時間の目安値だ。
1点が1時間に相当し、ガーニッシュ(飾り)の貼り付けぐらいなら数分で済むだろうが、カーナビの取付なんかは数時間を要する場合もある。
よくオプションカタログに、0.1Hとか2.0Hとか小さく記載してあるが、これが作業時間だ。(下の黄色矢印)
出典:トヨタ自動車株式会社
「レバーレート」というのは時間あたりの単価である。
これは整備工場ごとに好きに決められるので、大規模な工場になるほど、設備や人件が必要なので高くなる傾向になる。
ちなみに大手ディーラーでは、だいたい1万円程度になっているようだ。
そんなわけで、ホイホイとオプションをくっつけると、工賃だけで10万円なんてことになり、ぎょっとする。
工賃を回避したい
さて、ここからが本題。
そんな高額な「工賃の落とし穴」を回避するにはどうしたらよいか?
そう、取り付けを自分でやってしまえばよいのである。
しかし、それなりの知識、スキル、環境、工具、図面、そして時間が必要になる。
但し、大概のものはどうにかなる。
問題なのは、デイーラーからオプションやアクセサリ類を、パーツとして入手できるかどうかだ。
ネットで購入するという選択肢も無くはない。ネットで購入した方が、ポイント還元を含め、ディーラーで入手するより安い場合が多い。
但し、ネットで購入する場合、大型のエアロなどは個人宅への配達が制限される場合がある。
近くのボディショップや板金屋と仲良しになって、受け取ってもらう手もあるが、それは面倒くさい。
できればデイーラーから一括して入手する方が手間はかからない。
それに、うまくいけば10%程度値引きしてくれる場合もある。
今回、オプションとして購入検討したのは、カーナビ、前後カメラ、ドアバイザー、エアロ(フロント、サイド、リア)である。
これらは、クルマ好きならごく普通に選ぶものだと思う。
(パーツの形で入手したエアロや電装品の一部)
ディーラーで商談・・・回答は?
そして、近所の某ディーラーへ伺ってみることにした。
まずH社のディーラーA店。
商談予約ということで、クルマ購入を考えている旨を伝え、あらかじめ電話での予約を入れておいた。
その方が、相手も商談モードに入りやすいと考えたからだ。
まず、試乗を済ませ、雑談と共に商談に入る。
新車購入を前提に、「オプション品は自分で取り付けたいので、パーツとして売ってほしい・・・」と切り出す。
担当営業は「オプション品パーツ販売は可能と思う。」との回答を得る。
しかし、本日は店長不在のため、はっきりしたことはわからず、後日店長に聞いてみる、という。
この日は見積もりをもらい、一旦引き上げ。後日、またうかがうこととした。
そして後日再訪。話しの続きを聞いてみると、「電装系パーツの販売は不可」だという。
ちょっと手のひらを返された感じだ。担当営業が店長に確認したところ、店の方針としてできないらしい。
理由は、
①電装系オプション品の取付けはクルマに異常を発生させる可能性がある。
②取り付けたオプション品の製品保証ができない。
(ディーラーにて取付けることにより、保証がつけられる。)
③取付けにあたり、わからないところがあっても、図面を出すことはできない。
なのだそうだ。
つまり、素人がクルマをいじるのは、故障の原因にもなりうるし責任が持てない。
もちろん保証も付けられないし、サポートもできない。おとなしくディーラーに任せておいた方が身のためだよ。
ということだ。
おっしゃることは、ごもっとも。
最近のクルマは走るコンピューターみたいなもの。
ましてやハイブリッドシステムなど高電圧で繊細な制御の部分もある。
昔の感覚でクルマをいじることはできない世界になりつつある。
出典:NTT DATA
まあ、工賃が入らないというのも裏の理由としてはあるんだろうけれど(笑)
エアロやガーニッシュなどの電装系でないものは供給可能とのこと。
但し、一筆書いてくれればという前提だ。
一筆とは、「取付けは自己責任でおこない、取付け後の不具合発生についても自己責任で」という内容になるだろう。
そしてエアロは、純正品のパーツ供給なので値引き対象にはならないとのこと。
つまり、見積書の「オプション・付属品明細」の部分には記載できない、とのことだ。
だから、エアロはパーツ販売として別紙で一覧表を渡された。
一旦退散することにした。
次に、同じH社だが別系列のディーラーB店に伺う。
ここも同様に電話で商談を予約しておいた。
まあ、同じ回答かもしれないが、単刀直入に「オプション品は自分でつけたいので、パーツで売ってもらうことは可能?」と聞いてみる。
すると、なんと答えはイエスだったのだ。
しかも、取付けでわからないところがあれば、サポートするし、図面も出してくれるという。
更に、見積書の「オプション、付属品明細欄」にも記載できるため、割引も可能だという。
まあ、なんてことでしょう!
あまりの展開の違いに、一瞬唖然とさせられた。先ほどの店とは180度違うではないか!!
同じメーカーでも、ディーラーによってこうも違うものなのか・・・
どうも、この担当営業はそういったDIYが好きそうな感じで、話しているうちに同じ肌感覚を感じ取ってくれたのかもしれない。
あきらめず、違う系列のディーラーをあたるが吉
ということで、パーツとしての供給可否はディーラーによって異なるというのが結論。
もし、パーツでの供給を希望しても断られてしまった場合、別のディーラーをあたってみることだ。
同じ系列の販売店では、恐らく同一の対応をすると思うので、違う系列の販売店へ行くのが良い。
しかも、ターゲットとしている車種がひとつであれば、違う系列店で「相見積もり」を取り、値引き交渉の材料に使うことができる。
ちなみに系列が同じかどうかは、系列の本社の代表者名を調べて同じかどうかで判断できる。
おわりに
いろいろ書いてきたが、決してディーラー、販売店を目の敵にしているわけではない。
彼らも日々生活のために努力をして収益を得ているわけだから。
オプションを自分で取り付けようと思ったのは、工賃を節約するためでもあるが、ただそれだけではない。
実は、各機構の取付構造やカプラ、配線の具合を知りたいし、興味があるからだ。
それは、今後のクルマいじりや改造(違法改造じゃありませんよ。)に大いに役に立つ。
14年乗ってる現在のクルマ(デリカD:5)もカーナビやカメラは自分で取付け、エアロの一部は自分で塗装、取付けをおこなった。
苦労すると、その分知識が増える。
取付け方法を調べると、今も昔もその方法に大きな違いはなさそうだ。
(現在のカーナビのカメラ調整は画像認識で行うものもあるため、専用ツールが必要となる場合がある。)
そんなわけで、部屋いっぱいのパーツを買い込み、プチ改造も含め、あれこれ考えながら取り付けてゆくのも楽しいではないか。
まだ先になるが、自分でいろいろ取り付けた時の顛末を投稿できればと思っている。