今回は、カーナビとアンテナを接続するコネクタ、VR1というタイプをGT13Sというタイプに交換してみた話し。
メーカーによってコネクタが違う
カーナビで地デジテレビやラジオを見聞きするにはアンテナの接続が必要になる。
そしてカーナビとアンテナ線は小さなコネクタで接続される。
(カーナビ背面のアンテナ接続端子)
新車を買ったときは、メーカーやディーラーでアンテナの接続をしてくれるから、ほとんどの人はこの部分を意識することは無いだろう。
しかし、カーナビを自分で取り付けたり、カーナビの載せ替え、もしくはアンテナを増設する人はコネクタ相違の問題に出くわすかもしれない。
というのは、アンテナコネクタがカーナビメーカーによって異なっているから。
コネクタには型番がついていて、GT13、GT16、VR1、HF201などの種類があり、同じメーカーでも複数の種類を採用していたりする。
困ったことにこのコネクタ、それぞれ互換性がない。
どういった理由でこのように多種類が存在するのか不明だが、とにかくDIY派にとっては厄介なことではある。
50Ωインピーダンスの細い同軸線(同軸ケーブル)をつなぐだけなのにね。
メーカごとのコネクタは大きく分けて、以下のようになる。
(全て調べきれていないし、これ以外のものがあるかもしれない。ゴメンナサイ。)
【GT13】
Clarion
ALPINE
Panasonic
KENWOOD
Carrozzeria
【VR1】
Panasonic
KENWOOD
ECLIPSE
【HF201S】
KENWOOD
Carrozzeria
【GT16】
Carrozzeria
コネクタは交換できるのか?
さて、今回なぜコネクタを取り替える必要が生じたか?
それは、カーナビアンテナを増設するにあたり、コネクタ形状の違うものを誤って購入してしまったから。
ネットでの購入で、GT13Sタイプのものをクリックしたつもりが、VR1タイプを誤って選んでしまった。
気づいて連絡を入れたものの、すでに発送された後だった。
(誤って購入したコネクタがVR1のフィルムアンテナ。本当はGT13Sがほしかった。)
このメーカーのフィルムアンテナは3つのタイプが販売されている。
商品の交換ができるか聞いてみたものの無理との返事。こちらのミスだし返品も送料がかかる。
え~い、ままよ、どうにかなるわい!!
で、どうにかしてしまったのが今回の話だ。
ちなみに「アンテナ増設」とは、標準2チャンネルのアンテナを4チャンネル化するということ。
(カーナビが4チューナ仕様のものが対象。)
標準の2チャンネルは、元々クルマについているアンテナに接続される。
最近のクルマでは“シャークアンテナ”とか“ドルフィンアンテナ”と呼ばれる形状のもので、その名の通りサメやイルカの背ビレのような形をしているアレである。
で、4チャネル化すると何が嬉しいかというと、中継局のバックグラウンドサーチができるようになり、受信がより途切れにくくなるというわけなのだ。
まあ、しかしコネクタが違っていてはどうしようもない。
でもあきらめることはない。世の中には便利なものがあるもので、VR1コネクタをGT13Sコネクタへ変換するケーブルが売られているのである。
これを、使えば、何の苦労もせず簡単にカーナビに接続できる。
ところが、これが結構お高い。1本1500円以上する。2本で3千円・・・う~ん、なんだかねぇ・・・
やっぱりこれは却下だ。接続構造として美しくないしね。
当ブログの方向性としては、やはりコネクタを付け替え、シンプルに接続するということにこだわりたい。
方向は決まった。早速、ネットでGT13Sコネクタを探してみる。
同コネクタはヒロセ電機から出ており、本来ならこれを使用して交換すべきところ。
しかし、これもそこそこのお値段がするし、2個売りとかはできなさそう。
確実な接続をするために、専用の工具も必要になる。
これはもう中古品再生方式で行くしかない。
中古品をオークションサイトで探す。
ジャンク品として同軸線を途中でぶった切ったGT13Sコネクタが安く出品されていた。
これだ!!、早速落札。
(今でも1本100円とか150円(送料別で)で出品されているので、探してみると良い。)
またハードオフとかでも探せば見つかるかもしれない。
ではこの中古品と付け替えることにする。
GT13Sコネクタの分解
中古品のコネクタ部分を流用するためには、まず分解が必要だ。
以下はその手順。
最初に、はめ込まれているリテーナを外す。
ハウジングのロック部分を細いマイナスドライバーなどで持ち上げれば簡単に外すことができる。
次にターミナル(同軸線をかしめている金属部分)をハウジング奥のロックを押し上げて抜き出す。
(黄色矢印の奥にロックの爪がある。)
ターミナルを抜き出した状態。
長い虫ピンやピン抜き工具を使うと良いだろう。YouTubeやみんカラに外し方のコツがあるので参考にすると良い。
次にかしめ部分を広げる。
カッターナイフの刃先でこじり、とっかかりができたらラジオペンチを使って徐々に広げてゆけば良い。
細かい作業になるが難しくはない。
芯線が接続されている部分を前へ押し出して抜く。
全体の分解図はこうなる。
GT13Sコネクタの取付け
では、誤って入手してしまったVR1コネクタの同軸線を根本でぶった切る。
次に同軸線の外側の被覆を剥く。剥く長さは、古いGT13Sコネクタの接続状態を参考に。
外側被覆を剥いた状態。
芯線を剥くために、外側の編線をカッターナイフでゴリゴリと切る。
(芯線まで切らないよう慎重に。)
編線を切ると芯線のシールドが巻いてある。(同軸によっては無いものもある。)
巻いてあるシールドを取る。(ピンボケすいません。)
シールドを取ると、芯線を包む内側の透明な被覆が見える。(またまたピンボケすいません。)
透明の被覆を剥いて芯線を出す。
あとは、芯線のハンダ付けと編線のかしめをすれば良いのだが、その前にターミナルを先に入れておくのを忘れないように。
芯線をハンダ付けする。
次に、2ヵ所(矢印)をラジオペンチなどでかしめてやる。
(接触不良が心配な人はハンダを少し盛ってやってもよいかも。)
念のために、テスターで編線とコネクタ金属部分の導通があること、芯線、コネクタ間がショートしていないことを確認しておくとよい。
完成したターミナルをハウジングへ差し込む。カチッと音がしてロックがかかるはず。
あとはリテーナーを差し込めば完成だ。
VR1コネクタの分解方法
ついでにVR1タイプの分解方法も載せておく。
矢印のツメを広げながら白色のリテーナを外す。
ハウジングの左右のツメを広げながら、中のコネクタを引き出す。
かしめ部分をカッターナイフの刃先で広げ、とっかかりができたらラジオペンチで広げる。
これで芯線がつながっている部分を押し出すことができる。
全体の分解図。
おわりに
今回のコネクタを取り替える方法は、とってもとってもイレギュラーな方法で力技的最終手段でもある。
(メーカーからすれば、いちばんやってはいけない方法でもあるだろうけど。)
性能が出ない可能性もあるし、経年変化で接触不良が起きるかもしれない。
もしかすると、予想しないような悪い結果を生む可能性もゼロではないだろう。
リスクがあるわけだから、素直にまともな製品を買うべきなことは言わずもがな。
やるからには自己責任で、というのはいつものお約束。
しかし、うまくいけばかなり安く上げる方法ではある。
リスクは承知の上、これでもいいや、という人はやってみる価値はあると思う。
ちなみに、同軸線にはカーナビから8Vの電圧が供給されており、先端のRFアンプを働かせているのでショートには十分注意されたい。