テープカートリッジを収める部分のカバーを閉めていても「カバーを閉めてください」と言って動かないようになってしまったテプラ「SR828」。
「バイパス手術」を施し、再び蘇ったテプラのお話しです。
テプラ(SR828)が壊れてしまった
しばらく前からカバーを閉めても時々「開いてます」と表示され、調子悪いなとは思っていたのがついに逝ってしまった。
以前はカバー開を検出するスイッチを押すプラスチックの爪の部分が折れてしまって、どうにか接着して使っていたのだが・・・
カバーの開け閉めを繰り返すうち、内部の検出スイッチ自体もおかしくなってしまったようだ。
もうずいぶん前に買ったこのテプラ「SR828」。調べると1997年発売開始だそう。
発売されてすぐ買った記憶があるので、もう20年以上は使っていることになる。
このテプラ、36mm幅のテープカートリッジが使えるので重宝していたんですがね・・・
テプラとは
テプラ(Tepra)というのは「文字テープ自作装置」。あちら語で「ラベルプリンター」。
もう説明の必要が無いぐらい世の中に浸透した感じがするが、元々はブラザー工業が開発しキングジムが1988年から販売しているんだそう。
今はオフィスのどこかに当たり前のように転がってるんじゃないでしょうか。
テプラを使うまでは「ダイモ」というのをよく使ってましたね。
レバーを引くと選んだ文字がテープに白く浮き出てくるやつ・・・なんか懐かしい。
調べると、今でも販売してるそうだ。
ダイモって何?という方はこちらに詳しい説明がある。
有限会社クボタ文具店
修理する、というか・・・
さて、話をもとに戻して、この「カバー開」の呪いを解決すればまだまだ使えるはず。
つまり、カバー開の検出を殺して、閉まっていると認識させればよいわけだ。
ただし、メカ的なロック機構があるため、カバーを閉めないとテープは回りません。
そういった意味では安全です。
今回の修理は、修理というよりバイパス手術みたいなもんですな。当然のことですが改造は自己責任ですよ。
分解
では、分解開始。手当たり次第にネジを外してゆく。
こんなところも固定してあるので、見逃さぬように。
パックリ開けると、基板の上にメカが乗っている構造。
黄色〇がカバー開を検出する信号のコネクタ。この先にマイクロスイッチがある。
マイクロスイッチにたどり着くために、ネジやコネクタを外してメカ部分を分離する。
これがマイクロスイッチ。なーんか変な位置にあるね。
外してみるとスイッチが砕けてしまっていて、半分は金具に残った状態。
これではいくら、爪側を直してもダメなはずです。
スイッチのバイパス手術をする
では、マイクロスイッチを外して、リード線の先端を結んで、ハンダ付けしてしまいます。
これで、スイッチがオンと同じことになるわけ。つまりカバーが閉まっていると思ってくれるわけだ。
あとは、他の部分とショートしないように絶縁テープを巻いて元通りに。
これで、無事使えるようになった。
尚、先にも書いたがメカ的なロック機構があるため、カバーを閉めないと印刷(=テープが回転)できないようになっている。
また、今回の対策後は、テープ幅の違うカートリッジに入れ替えた場合、一度電源をオフオンする必要がある。
これはカバー開閉の信号でカートリッジの再認識をするためだ。
テプラには重大なセキュリティーホールがある!!
実はテプラ、と言うかこのテープカートリッジに重大なセキュリティホールがあるのだ。
例えば、何かのID,パスワードとか個人名、住所、電話番号などのテープを作ったとしよう。
そしていつかテープが無くなり、カートリッジはそのままゴミ箱へポイ・・・
そうすると・・・ひょっとすると情報漏洩するかも。
テプラカートリッジの中のインクテープがあるんですが、これは熱転写式なんですね。
そう、勘の良い方ならばお気づきだと思いますが、インクテープは印字した部分の文字が抜けた状態で内部で巻き取られてゆくのです。
つまり、印刷した”データ”がそのままインクテープ上に残っているわけ。
これ、ちょっとヤバくないですか?
これがインクテープの部分
テープカートリッジ内には(秘)データ?がいっぱい(笑)
磁気では消えないし、カートリッジを燃やすのも有害だろう、できれば分解して、インクテープの部分を取り出し裁断して捨てればいいのだが。
しかしテープカートリッジは結構頑丈にできていて、分解するのもひと苦労する。
捨てるときはちょっと方法を考えないといけませんね。
おわりに
さて、無事復活したテプラ「SR828」。
これからも、クルマ用のちょっとしたステッカーや家庭であれこれ活躍してくれるでしょう。
あと、テープカートリッジにはセキュリティーホールがあることもどうぞお忘れなく。
↓ こんな互換テープもある。配線にタグ付けるときなんかに使えそう。
(純正で売られている5mm幅より細いので、クルマの配線時とかのタグ付けに良いと思われ。)
コメント
>分解して、インクテープの部分を取り出し裁断して捨てればいいのだが。
分解なんてしなくても逆回転防止のロックを指で解除すれば印字窓部分からかんたんに引っ張り出せますよ
通りすがりさん、コメントありがとうございます。
早速試してみて、インクテープ部分を取り出すことができました。
これなら、面倒な分解をせず廃棄することができますね。
また記事にしたいと思います。
ノウハウありがとうございました。
こんにちは。母からテプラ修理を頼まれ、こちらに書かれた通りにしたら使える様になりました!!仕事とプライベートで使っていた機械だったので、とっても喜んでおりました。良いブログをありがとうございました⭐︎感謝致します。
コメント頂きありがとうございます。
少々、裏技的復活方法ではありますが、お役に立てて何よりです。
このようなコメントを頂くとブログ執筆甲斐があります。
またお役に立てる情報を載せていきたいと思います。
刑事コロンボでリボンに残ったあとで解決するのがありますね。
匿名さん、コメントありがとうございます。
刑事コロンボが、タイプライターのインクリボンに残った文書の印字痕で殺人犯のトリックを暴く、というストーリーですね。
テプラテープも「印字痕」ですが、はたしてコロンボさんの考えを持つ人はどれだけいるんでしょう。
今、流行りの言葉で言うなら、一種の「シャドーIT」というわけですか。
いろんなところに情報が刻まれて、しかも簡単に漏洩してしまう昨今、ちょっと怖い気がします。
社内にありましたテプラがいつの間にか同じ状態でした。ご説明通りにしたところ見事復活させることができました。感謝感謝です。ありがとうございました!
てるみんさん、コメントありがとうございます。
わたしも社内にあったテプラで、同じ場所が壊れて修理して使ってました。
会社では使用不能ですぐに捨てられてしまうところでしょう。もったいない話です。
テプラは、この”ツメ”の部分がウイークポイントですね。
リードスイッチに置き換えてしまうのも手かもしれません。
記事がお役に立てて幸いです。