以前、全自動バッテリー充電器 オメガ・プロ OP-BC02 を紹介した。
今回はこの充電器をプチ改造して使いやすくしてみよう。
尚、お約束のことながら、改造で故障保証は無くなるし、ヘタをすればぶっ壊れてしまうかもしれないので、もし改造をしてみたいなら自己責任で。
改造は3つ
この「全自動バッテリー充電器(OP-BC02)」、なかなか使いやすい充電器だと思う。
前回記事:
普段あまり乗らないクルマに全自動バッテリー充電器(OP-BC02)が良さそう
機能的には十分だが、少しばかり不満な点もある。
そこで少し改造して使いやすくしてやろうというのが今回の企てだ。
改造するのは、以下の3つ。
- 商用電源スイッチの追加と、入力パイロットランプの追加
- デジタル電圧計の追加
- リレー動作ランプの追加(おまけで冷却ファン動作ランプも追加)
まず、1つ目、「商用電源スイッチの追加と、入力パイロットランプの追加」。
本器の電源オン/オフは、パネルの電源オン/オフボタンで行う。
これは単なるタクトスイッチになっていて、商用電源(AC入力)を切断しているわけではない。
だから、オフの時にも内部回路には通電している状態になっていて、表示部には”OFF”と表示している。
これが、どうも気持ち悪い。
なにかの拍子にパネルに手が触れて、簡単に電源が入ってしまいそうなのだ。
特に大電流を扱う機器なので、誤操作は防ぎたい。
また、何かの異常が発生した場合、商用電源を即切断したいというのもある。
しかし商用電源を断つには、コンセントを抜く必要がある。
これは、即応性がないし、通常使う時でも煩雑である。
できれば物理的に商用入力を遮断するスイッチを設けたいところ。
そこで、商用電源側に入力スイッチを設けることにした。
また、コンセントに接続されて、入力が来ていることがわかるようにパイロットランプを設ける。
2つ目はデジタル電圧計の追加。
装置自体にも、電圧を表示する機能は備えているが、スイッチによって充電量と電圧を切り替える方式になっているため、双方を同時に見ることができない。
そこで別に電圧計を追加して、常時モニターできるようにする。
3つ目はリレー動作ランプの追加。
メンテナンスモードを使用した場合、動作中は7セグ表示に[-] → [二] → [三]の表示を繰り返すが、[三]で停止したままの場合、取扱説明書に以下の記述がある。
■ [三]が常時点灯で本体内部よりリレー音(カチカチ音)がしない場合: バッテリー電圧が基準電圧に達したため機能停止、または36時間の時間制限超過で機能停止。
■ [三]が常時点灯で本体内部よりリレー音(カチカチ音)がする場合 : バッテリーの活性化を促進するメンテナンス動作(正常動作)である。
どちらも7セグ表示は同じであるが、片や終了状態であり、もう一方は動作継続中である。
どちらかは、「リレー音(カチカチ音)」がする、しないで判断せよ、と書いてある。
しかしながらこの内蔵するミニチュアリレーの動作する音は、うるさい屋外では恐らく聞き取ることはできないだろう。いや、屋内でも注意しないと聞き取れないかもしれない。
(下は内蔵されているミニチュアリレー。動作音はかなり小さい)
そこで、リレーのソレノイド電源ラインにランプを追加し、リレー動作中をモニターできるようにする。
おまけで、内蔵する冷却ファンの動作中ランプも追加することにした。これはあまり意味がないけれど。
使用する部品と改造方法
使う部品は何でも良いが、100Vをオンオフできるスイッチ(3A以上流せるものであれば良い。)と100V用のパイロットランプ(ネオンランプ)。
見映えを考えて今回は角型のロッカースイッチを使用したが、穴あけが面倒くさい。
穴あけの手間を考えるなら、丸穴で取り付けられるスイッチを使った方がよいかもしれない。
※注意:サイズがいろいろあるので、注意して購入して頂きたい。
そして小型のデジタル電圧計。
これは2本線で、電圧計に入力された電圧をそのまま表示する。(改造で3線式にすることもできる。)
あとは、5mmLED(今回はリレー動作表示に赤、ファン動作表示に青を使用)と電流制限用の抵抗1kΩと3.3kΩが2つ。
抵抗は、LEDをどれくらいの明るさで光らせるかによって、1kΩ~10kΩで調整すればよい。
ちなみにリレーの動作電圧は6V、ファンの動作電圧は12Vである。
それから配線材が少々、LEDを取り付ける蛇の目基板や基板スペーサー、絶縁用の熱収縮チューブなど。
今回は、基板と分離しやすいようにコネクタも使用した。(無くても可。)
どれも安く入手できると思う。
但し、ネットでの購入は複数個入りの販売が多いため、どうしても余ってしまう。これは仕方ない。
それぞれを取り付ける場所は、下の①か②の部分。
好みでどこでもよいが、①の部分にデジタル電圧計とモニターLED、②の部分に電源スイッチとパイロットランプを配置することにした。
①の部分にはメーカーのロゴシールが貼られているので、まずこれを取り除く。
ロゴシールを剥がしても、粘着剤が残ってしまう。これを取るのに梱包用粘着テープを使用すると良い。
スクレパーや溶剤などを使うと、キズがついたり溶剤の痕が残ってしまうのでお勧めの方法だ。
残った粘着剤に粘着テープを貼り付け、こするようにずらしてゆくと簡単に粘着剤が取れてゆく。
下のようにきれいに取り除ける。
この方法は、古くなったテプラテープを剥がしたときに残ってしまう色フィルムの除去にも応用できるのでお試しあれ。
では、パーツの取り付け用穴を開けるため分解する。
ケース側4本、ハンドル部分2本のビスを取り外せば、ケースを開けることができる。
ケースの4本はゴム足を剥がした奥にある。
基板へのハンダ付けをおこなうので、パワー側基板とケーブル、冷却ファンは取り外してしまう。
次にスイッチや電圧計を取り付けるための穴を開ける。
デジタル電圧計は接着剤でケースに直接取り付けた。
電源スイッチとパイロットランプを取り付ける。
デジタル電圧計部分は見映えを良くするため、スモークアクリルを切り出し、はめ込むことにした。
電圧計の横にあるスイッチはLED電圧計の表示をオフするためのもの。
あれば便利かなと思い、つけてみた。
デジタル電圧計、各LEDの配線の取り出し部分は以下のごとくになる。
電圧計は出力コードのプラスとマイナスから、リレー動作LEDはサージ対策用ダイオードの両端から、ファン動作LEDはファン端子から。
基板のハンダ面の接続位置。
製作途中、ちょっと予想外のことがあった。
ファンが回転しているにもかかわらず、ファン動作LEDが点灯しないのだ。
ファンのリード線の色でプラス、マイナスを判断していたのだが、実はこれが違っていた。
通常、プラスが赤色、マイナスが黒色の線を使うのだが、なんとこれが逆だった。
何の間違いでこうなったのかわからないが、なにしろ赤色がマイナス側なのである。
これにはアッと驚くタメゴローだった。
電源スイッチについては、基板に直接ハンダ付けされているコードの途中をカットし、電源スイッチを割り込ませた。
パイロットランプは入力表示用なので、コンセントに挿すだけで点灯するように配線。
今回は分離できるようにコネクタを使用したが、直接スイッチにハンダ付けしてしまうほうが楽だと思う。
いずれも、100Vが加わるラインなので、ショートや接触不良などしないよう確実な結線と絶縁が必要だ。
各LEDは基板に取り付けて、スペーサーをかまして、取り付けた。
(取り付けで試行錯誤したので、基板はボロボロだ。)
基板をケースに取り付けるためのスペーサー。
ナットをかませて高さを調整した。
内部配線の様子。
動作させてみて、正常か確認する。
赤いLEDがリレー動作中の表示、青はファン動作中の表示だ。
出力電圧をテスターで測り、デジタル電圧計とずれている場合は電圧計裏にあるトリマーで調整してやる。
おわりに
説明で分かりにくいところが多いと思うが、やり易い形で工作すればよいと思う。
電源スイッチ、電圧計だけを追加しても、使用感は良くなると思う。
くれぐれも誤配線やショートなどしないようにお気をつけあれ。
また、本記事に誤りがあるかもしれないし、製品ロットによっては部品位置や基板パターンが変更になっている場合も有りうる。
もし工作されるなら、よく確認して頂きたい。
燃えても当局は一切関知しませんぞ、フェルプス君。