
ダッシュボードマットというものがある。
設置後2年が経過し、黒色だったものがずいぶん色褪せしてしまった。
今回はこの色褪せダッシュボードマットを再び黒く復活させてみた。
ダッシュボードマットって?
新車購入時にいっしょに購入したダッシュボードマット。
これはダッシュボードの上に敷く、布状の敷物だ。
主なる目的は、
日光がダッシュボードに当たることによる反射光がフロントガラスへ写り込まないようにするため。
それから、熱くなったダッシュボードに肌が触れ、やけどすることの防止。
真夏のダッシュボードは80℃ぐらいまで熱くなるんだそうだ。
そして、ちょっとおしゃれ感、なんちゃって高級感を出すためでもある。
車内温度を下げる効果があるように言う人が居るが、それは全く無い。
サンシェードのように光を車外へ反射するならともかく、そもそも黒い表面なのだから光を吸収して熱に変わってしまう。
もちろん白っぽいダッシュボードマットなら熱線を車外に反射する効果はあるだろうが、フロントガラスへ写り込みが激しく実用的ではないだろう。たまに見かけるけどね。
色褪せはしてしまうもの
高級なダッシュボードマットなら色褪せは少ないのかもしれないが、わしが使っているものは数千円で買ったお得品。
当然、色褪せすることは承知の上で購入したわけで、いつかは補修が必要になるだろうと思っていた。
退色は設置した日からじわじわと進んでゆくのだが、やがてその日が来というわけだ。
クルマから取り外してみると、全体的くすんだような色で、もう黒ではなく青っぽい灰色のような感じになってしまっている。

先端部分、つまりいちばんフロントガラスに近い部分の色褪せが最もひどい。
灰色でもはなく、色素が抜けて白っぽい色合いになっている。

下の画像のように、TPMS(タイヤの空気圧モニター)をずっと置いてあった場所は光が当たっていなかったため、この部分だけまだ黒々している。
これが本来の色に近いかも。

“色褪せ”してしまう理由
なぜ“色褪せ”してしまうのだろうか?
人間が色として見えているのは、分子が特定の光の色を反射、吸収するために起きる現象だ。
例えば、赤に見えるのは、赤色を反射し、他の色を吸収しているため。
白は全ての色を反射し、逆に黒は全ての色を吸収していることになる。
繊維や写真などで色褪せするのは、色素分子が太陽光に含まれる紫外線のエネルギーを吸収することによって、その分子の化学的結合が破壊され分子が再結合されるために起こる。
この破壊、再結合によって、色素分子は以前と同じような光の反射ができなくなる。
こうやって長い時間をかけて、分子はエネルギーを吸収しほとんどの色が変成して、最終的には白に近い色になってゆくわけだ。
街中で見かける色鮮やかなポスターが、次第に色を失い、青っぽくなりやがて白くかすんでしまうのを見たことがあると思う。
最後まで青が残るのは、青を表現している染料、顔料が紫外線に対して破壊されにくい分子構造のためだ。
余談だが、幼少時代に描いた絵を飾っておきたい場合、ラミネートしておくと色褪せしにくい。
これは酸化や湿度、紫外線などの影響を受けにくいためだと思う。
いかに外的影響を防ぐかが色を美しく保存するキモでもある。
【子供の描いた絵。15年以上窓際に飾ってあるが、未だにほぼ色が残っている】

修復するには?
では、どうやって修復するか?まずは修復方法をいろいろ探ってみた。
必要なことは、素材の感触を損なわず、色合いを黒々としたものに戻すことだ。
また、他のものに色写りせず、短期間に退色しない耐久性もほしい。
まず考えたのは、染料で染めること。
布用の染料を使ってみることだが、染料用の器とか準備も大変そうで、しかも染料そのものがそれほど安くない。これはちょっとハードルが高そうだ。
更にネットで調べてみると、布に使用できる「染めQ」というスプレーで塗装する方法があると知った。
これだったら、吹き付けるだけで染色ができる。
しかし、この染めQが意外と高い。70mLという小容量のものも売られているが、それではたぶん足りないだろう。大容量のものは二千円を超える。
このスプレー、普通の安いラッカースプレーとどう違うのだろう?
お安いラッカースプレーで試してみたい衝動にも駆られたが、いやいやちょっと待て、変なものを使って表面がバリバリにでもなったら困る。
そこで更に「布にも使えるスプレー」を探す。すると、「染めGORO」というものが見つかった。
【PROST’s そろそろ 染め GORO ブラック 300ml】

こちらの製品は「染めQ」より少し安い。それでも一般的なスプレー塗料よりは割高ではあるが。
用途は、布、合皮、金属、プラスチックなど、と書いてある

成分は合成樹脂、有機溶剤、顔料となっている。

この「染めGORO」、気になる点がひとつある。
それは、この「ブラック」がグロス(つや有り)という点だ。
塗って、表面がてかてか、つやつやになってしまったらどうしようと思う。
反射を防ぐにはマット(つや消し)であることが必要だ。
探してみたがつや消しブラックは販売されていないようである。
え~い、ままよ、やってみなければわからない。とりあえず、この「染めGORO」をAmazonに注文した。
作業開始
修復にあたって、ダッシュボードマットを洗うべきか迷ったが、そもそもそれほど汚れるような場所ではなく、ほこりを払うぐらいでよいだろうと考えた。
そこで、エチケットブラシを使って、ホコリを落とすと共に毛並みを揃えるようにした。
毛並みを揃えるのは塗装時の塗りムラを分かり易くするためだ。
【100均で売っているエチケットブラシで十分】

では、テストで少しだけスプレーしてみる。
この日の気温は約30℃、湿度は50パーセント程度。気温は高いが湿度が低めなので塗装には良い日だ。

普通のスプレー缶と同じ吹き出し。やはり一回では染まらないため、何度か塗り重ねで濃くしていくようだ。
また、シンナー臭もかなりするため、窓開けているこの時期は、ご近所にも配慮する必要があるだろう。
そして本格的に「染め」の作業を開始。染めと言ってもただの顔料スプレーだから塗装と同じ要領で塗ってゆく。
全体を均一に塗ってゆくというよりも、まずは色褪せのひどい部分を重点的に塗ってゆく。
だからかなりノズルを近づけた状態でスプレーした。
下は途中の様子。色褪せ部分はほぼ解消できたが、一部ムラが残っている。

最終的にムラになっている部分を補修するかたちで色を重ねてゆく。
ただ、多少ムラが残っていたとしても、ダッシュボードに乗せてしまえばまったく気にならないので完璧を目指す必要は無い。

今回使用したスプレー缶は300mLのものだが、全体を塗るのに四分の三程度使用した。
全てを使い切っても良かったが、これ以上に塗っても大きな違いはないだろうということで、ある程度きれいになったところで止めた。
塗り終わったら30分程放置して乾燥させる。
【染め終わった状態】

乾燥後触ってみる。
以前の触り心地とほぼ変わらず、見た目も以前の風合いに近いようだ。
もっと硬くバリバリになるのかと思っていたのに意外だった。
そして、心配していた、てかてか、つやつやになってしまうこともなくひと安心。

シンナー臭も抜け、いやな臭いもしない。
手で強くこすってみたが、剥げたり手に色が付くことは無い。

これはなかなか優秀だ。さすが布用を謳っているだけはある。顔料の粒子が細かいのだろうか。どこかの商品説明に特殊顔料とか書いてあったが。
これでダッシュボードマットはまだまだ使えそうだ。耐久性、つまり経年による退色についてはまだわからないが、また数年後に検証してみるとしよう。
おわりに
色褪せが気になっていたダッシュボードが予想以上に修復することができてよかった。
布用スプレー塗料は優秀なんだね。
新しいものと交換するのもありだろうが、こうやって「修理」できるものはなるべくそうしたいものだ。
人間も歳と共に色褪せてゆくが、できればこんなスプレーのように復活できたら良いのだけれど(笑)


