
7月下旬~8月初旬、長野県木曽郡木曽町にある「木曽駒冷水公園キャンプ場」へ行ってきた。
標高1200メートルの涼しさを期待して行ったもののそれはちょっと甘かった。
しかし三泊四日のキャンプで雄大な景色やおいしい水と食べ物など存分に楽しむことができた。
「木曽駒冷水公園キャンプ場」の概要
「木曽駒冷水公園キャンプ場」は長野県木曽郡木曽町にある山に囲まれたキャンプ場。
位置的に中部圏から近いが、高速道を使えば関東や関西からも利用しやすい。
場所は以下。
その理由のひとつが利用料が無料であること。何泊しても施設利用料、駐車料が要らない。
この規模と施設、環境で無料というのは神的キャンプ場である。
SNSでも多く紹介され、連休、週末は当然のごとく、平日でも訪れる人が多い。

”冷水公園”と名が付いているように、冷たい湧き水がとてもおいしい。

そして何よりも山の景色が美しい。

ホームページはこちら 木曽駒冷水公園
思いもよらない歴史
この冷水公園、のどかな風景とは裏腹に紆余曲折の歴史がある。
ここは元々ローカルなスキー場だった。その後開発業者によって規模が拡大され、新和木曽駒高原スキー場、その後親会社の撤退により木曽駒高原スキー場となった。
しかしスキーブームの終焉とともにスキー場は閉鎖される。それがおよそ20年前。
スキー場は閉鎖されたが、駒ケ岳の雪解け水にはシリカを含んでいたため、これに飲料水メーカーが目を付けた。
そして飲料水の工場が建設されるが、しばらくして負債を抱え倒産に追い込まれてしまった。

ここで重大な懸案が発生する。この水の使用権利が倒産した会社にあったのだが、その権利(駒ヶ岳雪解け水利権)を外資が狙っていたのである。
つまり、外国の企業がこの豊かな水源を独り占めする事態になろうとしていた。
外資の開発はろくなことにならないのは、最近の報道でもご存じの通り。特にあの国の方々は・・・である。
そこである人物が対抗手段をとった。ここを「木曽駒冷水公園」として整備してゆくプロジェクトを立ち上げたのだ。それが「井口智明」という人物である。
企業体として、建物と土地の賃貸の権利を購入し、外資の手に渡る前にその懸念を防いだわけである。
現在、この公園は地元やボランティアの人々により維持、運用がされており、必要な経費は寄付や売店による利益によってまかなわれている。
こういった志の高いキャンプ場ゆえ、マナーレベルの低いキャンパーが少ない理由なのかもしれない。
来場者数が増えれば行政による道路の整備やインフラなどの維持も行われ、地域の観光、飲食、名産物の販売により地域活性化にも役立つ。
また収益を確保することで水源の清掃や整備、登山道の整備による水源までのアクセスの確保など様々な活動が可能になるわけである。
「木曽駒冷水公園キャンプ場」の詳細
話しが少し飛んでしまったが、このキャンプ場について詳しく書いてみよう。
と言っても、最近はYouTubeなどで紹介されているので、現地の雰囲気、様子はそちらを見るのが良いと思う。
ただ、ひたすらメシを作って食べているシーンとか、キャンプギヤやクルマ自慢だったりとか、グダグダ動画も多いようなのでそのあたりは適当にすっ飛ばしながら。
しかし、現地へ来て始めてわかることもある。
この「木曽駒冷水公園キャンプ場」は標高約1,200メートル。
下界が40℃近い日々の中、さぞかし涼しいだろうと期待していたのだが全く当てが外れた。
それは立ち木が少なく太陽光が強いため。なので木陰に行けば随分涼しく感じられる。
だから夏場は遮光性の高いタープやそれに代わるものは必須である。
温度計を持参したが、暑いときは遮光タープの下でも37℃を示していた。

しかし、夜間、朝方は冷えることが多いのでそれなりの準備をしていった方が良い。
朝、6時の気温が12℃のこともあった。寒暖差による体調不良にも注意だ。
予約、受付は無い
このキャンプ場は受付が無いため、24時間出入り自由となっている。
しかも区画割りが無いため、テントが張れる場所であれば、どこでもサイト設営が可能だ。
ただし、車両や人の通り道を塞ぐような場所への設営はヒンシュクものだ。そのあたりはその人の常識が試される。
場内マップ
公園マップは以下のイラストがホームページで公開されている。しかし、これは少々わかりにくい。
そこで、Google Mapの航空写真に補足を入れてみた。
キャンプサイトの敷地は大きく3つに分かれており、キャンプサイト下段、中段、上段として、それぞれ色分けで囲んでみた。
キャンプサイト下段はゲストセンターに近く、トイレや水場、薪や食料品の購入にも便利。
魚のつかみ取りや水遊びもできる。どちらかというとファミリー向け。
しかし、その分混みあうので、連休中などはサイト設営の場所が無くなるほど。
ウッドデッキならば、専用ペグの使用での設営が可能だろう。
キャンプサイト中段は、落ち着いた雰囲気で、ソロや、カップル、グループ向け。
木陰も多いように思う。但しトイレや水場が遠いのが難点。
地面が舗装されている場所があり、そこでのテント、タープの設営には工夫が必要。
キャンプサイト上段は斜面を整備した形で、キャンプサイトが点在する感じ。
斜面が多いので、テントの設営は工夫が必要。
ソロや、カップル向け。水場、トイレが近くに新設されたので便利。
ゲストセンターからいちばん遠いので、ゲストセンターの便利さにはあやかりにくい。
尚、キャンプサイトはこれ以外にも設営できる場所があるため、混んでいる時でもマメに探してみるとよい。
ほとんどの場所にはウッドチップが敷かれているため、直に物を置いても汚れにくく、歩いても音を立てにくいのが良い。
ゲストセンター
ゲストセンターには諸々の物品が販売されている。






支払はセルフレジでおこなう。クレジットカードや電子決済にも対応している。こんな場所でもPayPayが使えるのはありがたい。

また、土、日になるとゲストセンター前に出店があり、野菜などが販売される。
料理、バーベキューの足しになる。


トイレ・水場
場内のトイレはどこも新しくきれいだ。ちょっと散らかす人が居るのが残念。
【ゲストセンター内のトイレ】


水場もきれいだ。同じ湧き水を使用しているようで、ここで汲んでも冷たくおいしい。
【キャンプサイト上段近くの水場】

風呂・入浴
5月1日から9月30日まではペンション アルパインのお風呂を利用できる。
現在のところ9時から23時まで利用可能。

有料で一人500円だが、24時間有効。その間何回でも利用できる。
浴槽にお湯が入ってないときは自分で入れるセルフ方式。
シャンプーとリンスは常備。ボディソープ、石鹸は置いていない。
24時間利用について特にチェックはしていないので、その人の良心と大人の常識による。



バスタオルや、フェイスタオル、石鹸なども販売されている。

ここも電子決済が利用可能だ。

また、ゲストセンター前には貸切風呂があり、1時間1000円で利用できる。
予約制でグループや家族で入れば、入浴料金を抑えることができる。
たまには嫁さんといっしょに入ってみる?


サイト設営について
地面には先に書いたように、ウッドチップ(木片に粉砕したもの)が敷き詰められている。

今回、わしたちが利用したのはキャンプサイト上段の更にいちばん上だ。
人やクルマもほとんど通らないし、景色も良い。

ゲストセンターからは遠いが食料品、飲料は持参しクーラーボックスで保存していた。
こういう暑い夏の日は高性能なクーラーボックスが役に立つ。
ペグ打ちは楽そうに見えるが、ウッドチップの下は砂利になっているようで、打ち込みに少し苦労する。
丈夫なペグを持ち込んだほうがよさそうだ。
【100均のペグだけど意外と丈夫】

この最上段のサイトへは下の画像で砂利道を進んで右へ大きくカーブすることで行くことができる。
左手は登山客専用駐車場。朝早くからクルマがやってくる。右手の黒い建物はトイレと水場。
このトイレの手前の道を右へ登って行っても最上段へ行くことはできるが、やや急な砂利の斜面なので、二駆のクルマでは少々難儀するかもしれない。

夏でも寒さ対策を
日中の気温は30℃台で日なたは暑い。木陰へ逃げれば快適に過ごせる。
しかし、夏でも夜間、朝方はかなり冷え込むこともある。
長ズボンや靴下、寒さ除けのパーカー類を持参することをお勧めする。
【この日の朝は12℃台まで下がった。】

【冷えたときは焚き火が一番】

また朝露も多いので、寝る前にキャンプギア類はタープの下に移動しておくのが良いだろう。
【クルマも毎日朝露だらけになる】

近くの見どころ
近くには見どころがいっぱいある。
【木曽馬の里】 木曽馬の里


馬はかわいいね。

【御嶽山を望む展望台】 ※展望台は国道361号線沿いに数か所あり


【尾の島の滝】 水しぶきがめちゃ気持ちいい


この辺りはそばの産地。夏はキリっと冷えたざるそばがお勧めだ。

【奈良井の宿】 奈良井宿観光協会
奈良井川に沿ってつづく約1kmの宿場町。俗化され過ぎていない昔ながらの雰囲気はなかなかグー。


他にも見どころやおいしいものがいっぱいあるので、あれこれ探してみて頂きたい。
評価
いつもの通り、今回のキャンプ場の独断と偏見に満ちた5段階評価表を作ってみた。
| ※ 評価の★マークはめたばが独断と偏見で判定したもの | ||
| 項目 | 評価 | コメント |
|---|---|---|
| 料金 | ★★★★★ | 無料。予約不要。ゲストセンターで寄付可能 |
| 施設・設備 | ★★★★☆ |
・水場:やや少ない。きれい ・トイレ: きれい。洋式。トイレットペーパー有り ・夜間照明: ほぼ無し。携帯電灯等要 |
| 野趣 | ★★★★★ | キャンプサイトの木立は少ないが山々がきれいに望める |
| 静けさ | ★★★★★ | 静か。但し24時間出入り可能なので夜中や早朝に来る人も |
| 眺望 | ★★★★★ | 抜群。夜は天の川が見える |
| サイト設営 | ★★★★☆ | 地面はウッドチップ敷き。場所により斜面。クルマの横付け可能 場所により小石が埋まっているので丈夫なペグ推奨 日陰が少ないのでタープ推奨 |
| 入浴 | ★★★★★ | ペンション アルパインに浴場。ゲストセンター横に貸切風呂あり 少し足をのばせば温泉もいくつかある |
| 食料調達 | ★★★★☆ | ゲストセンターにある程度の食料品あり。野菜類は無い 土日は野菜販売の出店も 国道まで出れば道の駅あり 生鮮品が必要なら少し遠いがイオンあり(店規模は小さい) |
| 周辺観光 | ★★★★★ | 見どころ多数 |
| その他 | 虫はアブ、蜂、バッタ類が飛んでくる。人に危害を加えるものは少ないようだ 湧き水がとてもおいしい |
|
| おすすめ度 | ★★★★★ | また行きたいキャンプ場 |
おわりに
我が家からはやや遠いが、お気に入りのキャンプ場となった。
今回は水曜日に訪れ、土曜日の朝に撤収したが、夏休み中の土曜日ということで、朝から続々とキャンパーが訪れていた。人気のキャンプ場のため連休、週末は混みあうようだ。
【土曜日は早々とこんな感じ】

予定が許せば、また秋にでも来ようかと考えている。
多くの魅力があるこのキャンプ場、まだまだいろいろな改善、改装構想があるようなので今後どう変わってゆくかも楽しみだ。
無料ゆえ、なおさら丁寧に利用し、このキャンプ場がいつまでも存続できることを望みたい。



