パソコンの電源ユニットのファンを交換する

2021年に組み立てたデスクトップパソコンから時々異常な音がするようになった。
発生元は電源ユニット内の冷却ファンの音だった。

今回は、この電源ユニットのファンを交換した話。

異常音発生

静かなはずのデスクトップパソコンがある日、唸り声を上げるようになってきた。
最初は時々だったが、次第に頻度が高くなってきた。かなり耳障りな音。

ギーというか、ゴーというか、とにかく回転物からの音であることは間違いない。

昔のパソコンはHDDを使っていたため、このHDDのスピンドルがおかしくなって異常音が起きることもあった。しかし、今やSSD全盛の時代。
考えられるのはCPUか筐体のファンもしくはグラフィックボードのファンだろう。

最近のファンは、昔から比べると性能も良くなりかなり静かになった。
よほど重負荷をかけない限りファンたちは静かに回り続けてくれる。

しかしデスクトップパソコンには冷却性能を高めるため、いまだに数多くの冷却ファンが取りつけられている。むしろ以前より多くなっているかもしれない。

どのファンがおかしいの?

時々しか発生しないというのは、どのファンが異常なのかを見極めるのがなかなか難しい。
よくやる手段としては、電源がオフの状態でブレード(羽根)を手で回してみることだ。

だいたい異常音というのは軸のボールベアリングがやられているケースが多いから、手で回してやると回転がなめらかでなかったり、妙にガラガラ感があったりする。

しかし、最近は流体軸受を使っていたりするため、手で回しただけでは判別しにくいかもしれない。
また、グラフィックボードなどはフレーム構造の中にファンが組み込まれているから、手を入れにくいこともある。

【グラフィックボード RTX3060 このGPUはファンの回転も分かりやすい】

そこで、別の手を使う。PCケースの蓋を開けた状態で、異常音が出るまで待つ。
異常音が出たら、すかさず耳を近づけ、どのファンから音がしているかを見極める。

この野郎から音がしているな、と目星をつけたら、無理やりファンを止めてやる。
高速で回転しているファンに指を入れるというのは危険極まりないが、指がちぎれて飛んで行くわけではない。

徐々にブレード(羽根)に触ってゆけばやがて回転がゆっくりになり止まる。
ここで、割り箸なんかを突っ込んだりしたら、ブレードが折れて使い物にならなくなるので、それは止めた方がよい。

目ぼしいものを止めてもまだ異常音がするなら、それ以外のファンということになる。

こうやって切り分けてゆくと、どうやら電源の内蔵ファンから異常音を発していることがわかった。

これはちょっと厄介かもしれない。というのはこういった内蔵品には特殊な仕様のファンが使われていることがあるからだ。

電源ユニットを分解

使用している電源ユニットは玄人志向の850W電源「KRPW-GA850W/90+」。

このPCを組んだのは今から4年半前だが、いまだにこの電源ユニットが販売されているのは人気があるのだろう。容量850W(80PLUS GOLD認証)の割に価格が安い。

【玄人志向 80PLUS GOLD ゲーミングPC向け ATX電源 850W ブラックカラー KRPW-GA850W/90+】
https://www.kuroutoshikou.com/product/detail/krpw-ga850w-90-.htmlKRPW-GA850W/90+


この電源の使いやすいところは、出力がコネクタ式であること。
必要な分だけ接続してやれば、ケース内がケーブルでごっちゃごちゃにならずに済む。

まずは分解してみることにしよう。

ノートPCや専用電源アダプタと違い、こういったデスクトップ用電源ユニットは構造がシンプルで分解しやすい。
とりあえず、表面に見えているビスを外してゆけば素直に分解することができる。

まあ、こんな具合にシリアルナンバーのシールの下にしれっとビスが隠されていることもあるけれど。

冷却ファンと電源の基板部は2本の配線がつながれている。2本というのは回転数は見ていないようだ。

仮にファンが故障で停止したとしても、アラーム表示することはなく、内部が高温になりサーマルが働いて出力カットになって初めて分かるのだろう。

+5Vスタンバイ電源が出ている場合はマザーボードがアラームで知らせてくれるかもしれない。

ちょいと話しは逸れるが、電源ユニットが正しく電圧を出力しているかどうかを測る便利なツールがある。

【PC電源 簡易テスター パソコン電源用電圧チェッカー】

まあ、安価なものでもあるし、ひとつ手に入れておくとよいかもしれない。
電圧の異常でパソコンの挙動がおかしくなることもまれではあるが、あることはある。

また、ATX電源のテストについて、詳しい話が下記サイトにあるのでご参考までに。

 Corsair カスタマーサービス「電源ユニットのテスト」
https://help.corsair.com/hc/ja/articles/360025085372-電源ユニットのテスト

暫定処置を施してみる

さて、分解したところ、ファンは一般的な13.5cmの角ファンを使っていた。


先に書いたが、異常音は内部のボールベアリングの摩耗や油膜切れなどが原因であることが多い。
これまでもそんなケースに何度か遭遇し、ある解決策を施してきた。

その解決策とはシリコンオイルの注入だ。へたったベアリング部分にオイルを入れてやると、あ~ら不思議、見事に音が止むのである。かなり力技的ではあるが、意外とこれが効くのである。

まずファン中央部のラベルを剥がてみる。が、見えるはずのシャフトがない。

これはどうもFDB(流体軸受)ファンであるためらしい。
ベアリングを使用しているならシャフトの軸が見えるはずだ。

何か嫌な予感がする。

仕方がないので、周りの隙間からシリコンオイルスプレーを吹き付ける。

全てを組み直し、電源オンしてみる・・・ん?直った?・・・しかし、しばらくすると再発。ダメか。

やはり流体軸受というのは密閉構造であるがゆえに、そんな生ぬるい方法では解決できなさそうだ。

下図はボールベアリングとFDB(流体軸受)の構造の違いだ。

【ボールベアリングとFDB(流体軸受)の構造(※メーカーによって構造は異なる)】

● ボールベアリング

● FDB(流体軸受)

 【出典】ARCTIC

ファンを交換する

発生は不規則で、時間が経つと発生するとか、温まると発生するとかでもなさそうだ。

ならば、最終手段であるファン交換だ。

ファン単体が手に入るかどうかわからないが、使えそうなファンを探してみる。

ファンの型名はラベルから分かるから、それでネットを検索してみる。

アマゾンで、ファンの型番 ”PY-13525M12S” や ”12V 0.38A ファン” などで検索してみると、いくつか使えそうな商品がヒットする。

この中で13.5cmの角ファンは数点あったが、いちばん安価なものを注文した。


発送はいつものことながら大陸なので、到着までしばらくかかる。
まあ、その間、音は発生するが、動作上は支障ないので我慢。

しばらくして、ファンが届いた。いつもの如く簡易な包装だ。よくもまあ途中で破損しないものだと思う。
日本ならまずこんな送り方はしないでしょう。

ブレードの数は少ないものの、大きさ、エアフローの向きも同じなので、取り付けには問題なさそうだ。

ちなみに、製品ラベルを剥ぐってみると、シャフトが見える。このファンはボールベアリングタイプのようだ。

しかし、基板への接続コネクタの形状が異なる。これはどうにか付け替えるしかない。

まずオリジナルのファンから配線を取り外す。

そして、購入したファンの配線を途中で切りつないでやる。接続部分は絶縁のため、熱収縮チューブで保護する。

大きさや取り付けビスの穴の位置も同じなので、特に問題なくケースに収めることができた。

おわりに

交換後、ファンの音が以前より大きくなるかなと心配したものの、依然と変わらず。それよりも高負荷時のグラボのファンの方がよっぽどうるさい。

そして、実はこのファンを交換したのは数年前のできごとなのだが、夏の猛暑(室温35℃)にも異常無く、現在も元気よく動いてくれている。

今回のようなことが起きた場合、ほとんどの人は電源ユニットを買い替えることと思う。
しかし、このような単純なトラブルであれば、ちょっとだけ努力と工夫があれば、大きな節約が期待できるわけだ。