耕うん機のオイルを10年ぶりに交換してみた

近所の小さな畑で使っているミニ耕うん機。
10年以上もオイルを交換していなかったので、オイル交換がてらメンテナンスしてみた。

「耕うん機」と「管理機」

耕うん機のことを管理機という言い方をすることもある。
最初に聞いた時は「?」で、何を管理するんだ?と思ったものだ。

農業をしていない人に「管理機」と言っても、多分イミフになるだろうけど、「耕うん機」といえば通じるだろう。

どちらも畑の耕しや畝立てに使える小型農業用機械であるが、実は「管理機」と「耕うん機」とは違いがある。

「耕うん機」とは、耕うん・畝立て作業に特化した機械で、テーラー(本来の英語読みではティラー)とも呼ばれるらしい。

「管理機」はこれに加え、アタッチメントを装着すれば、除草、播種、マルチ張り、農薬散布など、いろいろな農作業に使える。

つまり一台で多くの作業に対応できる仕組みを持っているもの、それが管理機。

ただ現在は明確な定義分けは無くなってきて、メーカーも管理機と耕うん機を区別していないようである。

まあ、どうでも良い話しではあるが、農業ではそういった農機具を独特の言い方をすることがある。

例えば草刈り機を刈払い機と言ったり、まあ、業界用語みたいなものか。

オイル交換は必須

さて、そんな耕うん機もガソリンエンジンとギア(ミッション)で動く代物。
当然、内部には専用のオイルで潤滑や冷却をおこなっている。

自動車ほどシビアな環境で動くことはないが、それでもオイル交換の基準(稼働時間)が決められていて、交換は必要になる。

今回オイル交換したのはヤンマー製のMRT450RZという機種。(既に生産終了)
愛称”ポチ”と呼ばれる小型の耕うん機だ。

購入が2013年なので、既に10年以上経過してはいるが使用頻度は多くはない。
しかしこの間オイル交換はしていなかった。

これはちょっとヤバい気がする。自動車でそれをやったら、恐らくオイルがゲル状や塊状になっているだろう。

オイルゲージを見てみる。
さぞかしドロドロになっているだろうと思いきや、意外とサラサラしている。しかしやはり真っ黒。

トラクタやコンバインなどの大型農機は、契約があれば業者がメンテナンス作業をしてくれるが、こういった小型工具のような機械は出張で作業してもらうか持ち込むしかない。

しかし、それなりの工賃や出張費も請求されるだろうから高額になることは間違いない。
ならば自分でオイル交換&メンテナンスしてやるのが正解では。

幸い、取扱説明書が残っていたため、交換手順や使用するオイル、量が分かった。
交換も難しくなさそうだ。
(取扱説明書を紛失したとしてもメーカーからダウンロードすることができる。)

必要なオイル、その他工具

オイルはエンジンオイルとギア・ミッションオイルの2種類を交換する。

オイルは純正品を注文しても良いが、ホームセンターでも入手できる。

エンジンオイルは、一般自動車用のものでも良い。
今回は農機用と表示されているものがあったのでこれを購入。グレードは10W-30。
4サイクルの小型エンジンなので0.5Lで済むため1Lのボトルを購入した。

ギア・ミッションオイルは4L必要。
これも農業機械用というものが安く出ていたのでこれを購入した。

そしてオイルジョッキ(2L用)も購入した。
これが無いと多分入れられない。


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あとは作業手袋、12mmレンチ、ニトリル手袋、廃オイル受け皿(今回は洗面器で代用)、新聞紙、トイレットペーパーやボロ布、5cm厚の板、パーツクリーナーなど。

オイル交換

エンジンオイル

説明書を見ると、オイル交換する場合は厚さ5cmの板を敷いて、耕うん機の角度を変えてやる必要がある。
通常位置だとオイルを入れる際、給油口から溢れてしまうから。

今回は適当な木板を重ねて5cmを確保するようにした。
板をタイヤの下に敷き、耕うん機の前側が持ち上がるようにする。

下の画像が古いオイルを出すドレンプラグと油量を計る検油ゲージ。新しいエンジンオイルはこの検油ゲージの穴から入れる。

廃オイルの受け皿は古い洗面器を使用した。

ドレンプラグは12mmのレンチを使用する。
始めての交換なので、プラグが固く締まっている。
ゆるんだ拍子に勢いで手をぶつけてケガをすることがあるので作業用手袋をした方が良い。

検油ゲージも外して、最後まで出し切る。

オイル量は0.5Lなので、洗面器でも十分事足りる。

オイルを出し切ったら、ドレンプラグを取る付けて、新しいオイルを入れる。オイル量は1.5Lだ。

検油ゲージでオイル量が正常であることを確認。

木板を外し、耕うん機を通常位置にし、確認のためエンジンを始動させてみてOKだった。

ギア・ミッションオイル

ギア・ミッションオイルは4Lも入っているので、洗面器ではギリギリ。
また洗面器では高さがあるので、耕うん機の下への出し入れがしずらい。

専用のオイル受け(オイルドレンパン)か4L以上入る平ぺったい容器を使うほうがよい。
(わしはギア・ミッションオイルも洗面器へ排出したが、ちょっとやりづらかった。)

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今度は木板を耕うん機前部の下に敷く。

ドレンプラグは地面に近い位置にあるため、オイル受けに平たい容器を必要とするのはこのためだ。
ドレンプラグは12mmレンチを使用する。

給油口は少し上の位置にあり、OILと書かれたキャップがはめられている。

ドレンプラグをゆるめるとオイルが流れ出す。更に給油口キャップを外せば一気に流れ出す。

最初はきれいな色だったが、だんだんとドブの色のようになってきた。
4Lも入っているので、出し切るには少し時間がかかる。

洗面器のような深い容器を使うと、排出口がオイルに浸かってしまい、余計に時間がかかってしまった。

排出したギア・ミッションオイル。なんともいえない色をしている。臭いも独特な臭い。

新しいギア・ミッションオイルをオイルジョッキに移す。

新しいオイルはきれいな琥珀色をしている。

ドレンプラグを締め、オイルを注入する。4Lなので数回に分けて入れることになる。

入れ終わったらオイルキャップを取りつける。

木板を外し、耕うん機を通常位置にしてエンジン始動し、前後に走行してみて異常がないことを確認した。

エアークリーナー

次にエアークリーナー部分のメンテナンス。

容器の下にオイルが溜まっているため、まるでオイルリザーブタンクのように思えるがそうではない。

これは「オイルバス式エアークリーナー」といって、土や埃の舞う屋外で効率よく異物を除去するための方式だ。

構造は下の画像のようになっている。

下のような方法で空気中の汚れや水滴を除去している。

クリーナー上部からに吸い込まれた空気は下部のオイルの溜まった液面に吹き付けられる。

すると空気よりも密度の高い異物(塵埃、水滴など)は慣性によってオイル内に取り込まれ除去される。
更にエアーフィルターを通過することでオイルで捉えきれなかった異物を除去し清浄な空気がエンジンに送られるという仕組みだ。

これによりエアーフィルターの汚れも軽減でき清掃頻度を少なくする効果も期待できる。

メンテナンスは、まずロックを外してオイルケースを外す。

オイル自体はそれほど汚れていない。

しかし、ふたを外すとオイルの底に汚れが沈んでいることがわかる。

オイルを捨て、沈んで固まっていたものを除去する。

新しいオイルをオイルケースの外側に記されている “OIL LEVEL” の線まで入れる。
オイルはエンジンオイルと同じ物で良い。

次にエアーフィルター。

エアーフィルターは、はめ込まれているだけなので簡単に引っ張り出すことができる。

オイルまみれになってはいるものの、型崩れもなく正常のように見える。
ところが、スポンジ部分はボロボロに劣化していて、指で触っただけでも崩れてしまう状態だった。

これはダメだ。下手をするとエンジンへ吸い込まれてしまう。

もし劣化していなかったら、2Lのペットボトルなどを切って、灯油を入れ、その中で洗浄すれば良い。

今回のエアーフィルターは使い物にならないので新しいものを取りつけることにする。

ヤンマー販売店に聞いたところ、取り寄せは可能だが、かなりの高額。これは予想していた。
農機を扱うホームセンターでも取り寄せできるが、送料が加算されるので更に高くなるようだ。

そこで代用品を探す。要は、空気中の微細な汚れを取り去ることができればよいのだ。
できれば経年劣化が少ないものが理想ではある。

ホームセンター内をうろついていると、良さげなものが目に付いた。
「シャイネックス サンドパット 荒目(120)」というもの。

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早速購入して、フィルターのついていたホルダーに合わせてみると、厚みはピッタリ。

これをホルダーに合わせて円形に切り出すことにする。

まずはホルダーをペンでなぞり、形を写しとる。

形が写しとれたら、切り出してゆく。
このとき、少し大きめに切り出してゆくとよい。

今回は、形を整えてゆくうち、少し小さくなってしまったようだ。
ホルダーより小さくなると、十分にフィルターの機能を果たさなくなるので注意だ。

ホルダーにはめてみる。まあ見栄えは良くないが、機能はするでしょう。

あとは、エアークリーナーにはめ込む。

そして、オイルの入ったオイルケースを取付ける。

エンジンを始動して異常がないことを確認した。

その他注油や清掃

注油については画像を撮影し忘れたが、取扱説明書に記載されているとおりにおこなった。
アクセルワイヤーや回転部分など。余ったエンジンオイルを油さしに入れて注油をおこなった。

またスパークプラグも外して清掃や確認などの点検をすればよかったが、エンジンも一発でかかるため今回はそのままとした。

使用済みオイルの処分は?

さて、使用済みのオイルをどう処分するかだが、ホームセンターによっては引き取ってくれることもあるらしい。
しかし、今回購入した店で聞いてみたところは不可とのこと。

ならばと近くのガソリンスタンドに聞いてみると、引き取りOKだった。
このガソリンスタンドは整備もおこなっており、オイルの処理もできるからだろう。
後日、軽トラのガソリン給油ついでに引き取ってもらった。

整備作業をおこなっているガソリンスタンドなら引き取ってくれる可能性は高い。
事前に電話なりして確認しておくと良いだろう。

おわりに

無事オイル交換+メンテナンスをおこなうことができた。

手間がかかるし手も汚れるが、メンテナンスすることで愛着も沸き機械の調子も判る。
この耕うん機、まだまだ活躍してくれそうだ。