今回はプロパンガスコンロの着火不良の修理に挑戦してみた。
一旦直ったように見えたが後日再発。修理は失敗に終わったようだ。
しかし、この記事が修理のヒントになれば幸い。
簡単に修理できそうだったが・・・
今回修理に挑戦したのはパロマの「PA-209B-L」という機種。
プロパンガス用の火口(バーナー)が2つのものだ。
出典:パロマ
10年以上使用しているため、かなり汚れている。
症状は着火不良。一旦点火すれば問題無いのだが、点火がしづらい状態。
見ると、火口にあるスパークプラグからの火花(放電)が弱い、もしくは火花が飛ばない場合がある。
特に左側の火口で放電が弱く、全く出ないときがある。
確かにこれでは着火しづらい。
(下は正常時の放電)
まず誰もが疑うのは電池の容量低下。このガスコンロは単一型電池2本を使用している。
新しい電池に交換してみたが症状は変わらず。
次に疑うのは何か?
高圧発生時のスイッチング音であるチチチチという音はいつもと変わりないように思える。
であるならば、回路の不良、イグナイター(点火プラグ)の異常等々、いろいろありそうだ。
原因を探るため清掃を兼ねて分解してゆくことにする。
分解は簡単で、左右の火口横にあるビス3本づつを外せば天板が外れる。
あとは外せそうなビスを手当たり次第に外してゆけばバラバラにできる。
この時注意しなければいけないのはビスの種類がいろいろあること。メモしてケースに分類しておくか、マーキングしておくとよいだろう。
とりあえず、汚れのある部分を清掃してゆく。
湿気の多い場合で使用していたためか、内部は赤さびや緑青でかなり腐食が進んでいた。
まずは基板や機構部をつなぐコネクタを確認してみる。
コントロール基板と高圧トランスは下図の位置にある。
(保護のため板金で覆われている。)
コネクタ自体の半抜けや腐食しているものはなさそうだ。
念のためコネクタを一旦抜き差ししておく。
次に電池ケースの接点も疑っていたので、腐食や変形が無いことを確認して接点を掃除しておいた。
一旦、仮組みして、放電の具合をチェックしてみる。
改善はしていないようだ。右側の火口に比べ左側の放電が弱く、火花が飛ばないこともある。
ならば、イグナイターの異常ではないかと疑ってみる。
下図のようにイグナイターの放電針がバーナーキャップとの間で放電する。
左側の火口での放電が弱いというのは、左側を多く使うため、炎に絶えず晒される放電針が摩耗しギャップが広くなっているのではないかと考えたのだ。
下図はバーナーキャップとイグナイター(点火プラグ))。矢印部分に放電する。
そこで、放電針とバーナーキャップとのギャップを狭めてみようと思った。
これはギャップを調整できるような構造にはなっていないため、強引にギャップをせばめることにした。
イグナイターの碍子部分を削って金具との位置関係を変えるわけである。
意外と碍子部分が柔らかく、簡単に削ることができた。
これで、いちおう火花が飛ぶようになった。やっぱりギャップが広すぎたのか?
まあ、気がかりなことはあったが、外観もきれいに掃除して元の場所に戻した。
何度もテストしてみたが点火も問題ないようである。
しかし再発
数日間は問題なく使えていたのだが、嫁さんからまた着火しなくなってきたとのこと。
う~ん、気がかりだったことが的中してしまった。
こうなると小手先の対策ではダメだろうということだ。
そこで考えてみる。
チチチチという動作音はしているのだから、回路は動作しているはず。
コネクタにも問題はなさそうだ。
そう考えると問題があるのは高圧部分だろうと推測。
回路図としては下図の黄色囲みの部分になる。
恐らく高圧トランスや高圧用ケーブルの途中で漏電してしまっているのではなかろうか。
そう考えると思い当たる節がある。内部のサビの状態だ。
このコンロ、使っている場所は風通しが悪く、そこで煮炊きを行うため絶えず湿度が高い状態になっている。
そしてこの街は、普段から湿度が高い地域でもある。
この環境によって腐食が進行し、高圧部分の絶縁不良が起きているのだろう。
もう一度分解して高圧トランス部分やイグナイター部分を確認しようと思ったが、今回は時間切れ。
次回来た時に再度修理を試みてみようと思う。
ちなみに高圧トランスやイグナイターなど補修用部品を探してみたが、見た限り見つけられなかった。
さて、どう修理するか、次回来れるのは数か月後になる。
もし、うまく修理できたら、また続きをお伝えしたいと思う。
おわりに
今回はプロパンガス ガスコンロの修理のため、機器の取り付け、取り外しに関し特に免許は不要だ。
しかし、都市ガス ビルトインタイプの機器については「ガス可とう管接続工事監督者」の免許が必要になる。(わしは取得済み)
くわしくはこちら。→ 一般財団法人 日本ガス機器検査協会 ガス可とう管接続工事監督者
また免許が不要な機器であっても、機器やホースの取り外し、取り付けに際しガス漏れ等発生させないよう十分に注意して頂きたい。
ちょっとした不注意が事故になることはよくあることだ。