やわらかいオイルランタンの明かり
キャンプで夕食も終わり、長い夜をゆっくりと過ごしたい時は「照明」ではなくほんのりした「明かり」がほしい。
そんなときにおすすめなのが非加圧式のオイルランタンだ。
ハリケーンランタンとも呼ばれるこのランタン、キャンプで実に良い雰囲気を醸し出してくれる。
オイルランタンの種類
オイルランタンは加圧式(圧力式)、非加圧式(非圧力式)とがある。
燃料の灯油、ガソリンを圧力と熱でガス化させ燃焼させる「加圧式」。
加圧せず灯芯に染みた燃料(灯油やパラフィン)を燃焼させる「非加圧式」である。
ざっくり言えば、加圧式は強制燃焼、非加圧式は自然燃焼だろうか。
それぞれ一長一短がある。
■加圧式(圧力式)
- とにかく明るい。真っ暗闇のキャンプ場での作業にはほぼ必需品
- デザインがいかにもキャンプやってるねぇ~的シンボル(笑)
- 「コーーー」という燃焼時の音。燃料バルブを絞れば静かだが、バルブ開度(明るさ)に合わせて意外と大きな音がする
- 燃料タンクに加圧(ポンピング)する必要がある。まあそれが楽しみでもあるのだが・・・
- 最初にマントル(発光体)の設定(取付け、空焼き)が必要
- 燃費は良くはない(ただし、数日のキャンプなら一回の給油で十分持つだろう)
- 構造が複雑なのでお値段もそれなりにお高い
■非加圧式(非圧力式)
- 圧力式ランタンにくらべるとはるかに暗い。でも本ぐらいは十分読める
- デザインがアンティークで雰囲気がある
- しかも塗色がポップなものから渋いものまで豊富
- 音が全くしない。静かな夜を楽しむならこれだね
- 燃費に優れている。一度給油すれば数十時間燃焼する
- 横倒しにするとオイルが漏れる
- 灯芯を出し過ぎていると点火直後にすすが出る(パラフィンオイルならすすは出にくい)
- 燃料が無くなると灯芯自身が燃えてしまう(燃えないカーボンフェルトに交換するという手がある)
- 比較的安価(例外もあるが)
非加圧式オイルランタンの話
このランタンは良くできていて、下図のように燃焼によって熱せられた空気は上昇し、この時ランタン上部の空隙から外部の空気を取り込む。
この新鮮な空気が両脇のパイプ形状のフレーム部分を下って燃焼部分に送られる。
この空気の循環によって、寒い冬場でも燃焼が安定し明るくなるわけである。
最初はただロウソクのように燃えているのだろうと思っていたのだが、そういう仕組みがあることを知って驚いた。
両脇のハンドル部分は伊達に付いているわけではないのだ。
この方式は1833年に出された特許で「Hot and Cold Blast テクノロジー」と言うのだそうだ。へぇ~。
ランタンを購入
さて、最近新しいランタンを購入した。
画像左側の大きい方がそうだが、DIETZ(デイツ)のAIR PILOT No.A8というモデル。
ネットではいろいろな種類のオイルランタンが販売されていて、しかも数千円で買えるものが多い。
キャンプの明かり取りとして大小2つぐらいを購入して使うのが良いかもしれない。
右にあるのはDIETZのJUNIOR No.20というモデル。
購入して30年以上経つが、いまだ現役だ。しかしさすがにあちこち錆も浮いていて古さを感じさせる。
灯油も入れっぱなしだし・・・
DEITZのAIR PILOT No.A8は比較的大型のモデル。
横に置いた2リットルのペットボトルと比べるとその大きさがわかるだろう。
灯芯の幅には2分芯(6mm)~7分芯(21mm)まであり、白熱電球に換算した明るさは、2分芯で4W相当、7分芯で15W相当なのだそうだ。
15Wあれば読書には十分だ。このA8君は7分芯(21mm)なのでかなり明るい。
販売店の画像をお借りすると下のような性能差になる。
せっかく新品を購入したのだから、燃料にもこだわってパラフィンオイルも購入した。
灯油のように石油臭さがなく、引火点も低いため安全性も高い。ただしお値段は灯油の数十倍する。
また揮発性が低いので、手や物に付着すると、いつまでもヌルヌルしている。
(灯油は臭いけど比較的短時間で揮発してゆく。)
ほぼ無臭で透明の液体だ。間違って飲まないように!!
使い始めのノウハウ
では、最初の点火のための儀式を始めよう。
まず作業をしやすくするためにホヤ(ガラス)を外し、バーナーを取り出す。
次に灯芯を山切りカットする。これで炎が安定したきれいな三角形になる。
次に燃料をランタンのタンクに給油する。100均で売っている、ロートを使うとこぼさず楽に入れられる。
次に、灯芯に燃料を浸み込ませるわけだが、お急ぎの人は以下の方法を使うとよい。
まず、ノブを回しバーナーから灯芯をこれでもかというぐらい長く引き出す。
バーナーを逆さまにして灯芯をタンク内の燃料に浸らせしばらく放置(1分ぐらい)する。
燃料が灯芯に十分しみ込んでいそうなのを確認したら、バーナーを正しく取り付ける。
ホヤをもとに戻したら、灯心を短く出して点火してやればよい。
灯油を使う場合は灯芯を長く出し過ぎると、点火直後すすが出て、ホヤ内を汚してしまうので、灯芯をできるだけ短く出して点火するのがコツだ。
慣れれば、コツがつかめてくる。
しばらくすると空気の循環が行われ炎が安定してくる。
当然のことながらランタン上部は熱くなるので不用意に触らないよう注意が必要だ。
ちなみに灯油の場合は石油ストーブが燃焼するときと同じニオイがするが、パラフィンオイルの場合はほぼニオイがしない。
おわりに
最近はキャンプの明かりにLEDが幅を利かせているようだが(炎のようにゆらめくLEDランタンもある)、やはり実際の炎には味わいがある。
キャンプでは不便さと共に、いかに非日常を楽しむかという目的もあるように思う。
自宅ではまず使うことのないオイルランタンをキャンピングテーブルの上で灯すのが楽しみのひとつだ。