京都 蹴上インクラインから哲学の道を歩く

今年も桜のシーズンが終わりを告げようとしている。

今年は花見というか桜見物に数回行くことができた。
そのなかで、京都市の蹴上インクラインから哲学の道を歩くコースがなかなか良かった。

但し、距離が少々長いので、健脚向けのコースかもしれない。

京都市地下鉄東西線 蹴上駅~蹴上インクライン

京都市の地下鉄東西線 蹴上駅を下車し地上に出ると目の前が蹴上インクラインだ。

朝早いにもかかわらず、観光客の姿が多い。しかも外国人が多い。
あちこちで写真を撮影していた。

インクラインというのは斜面や勾配のある場所で物を移動する装置のことだ。

その昔、琵琶湖疏水を水路として、大津と京都の間で船による物資輸送をおこなおうとした。
しかし、お互いの水位の落差が大きくてそのままでは船の行き来ができない。その落差は約36メートルでかなりの高低差がある。

【下は琵琶湖疏水の水路(山科付近)】

落差がある水路で船を通行させるには、3種類ほど方法があるそうなのだが、「蹴上インクライン」では名前のごとくインクライン方式が採用された。

これは勾配のある水路にレールを敷いて、その上を走る台車の上に船を載せ、ケーブルカーのようにケーブルで上下させる方法だ。


 出典:ウィキペディア

ケーブルを動かすためには動力が必要となる。さすがに人力では無理。そこで電気モーターを用いてケーブルの駆動をおこなった。

ちょうど疏水で水力発電することでその電力がまかなえる。

1891年(明治24)から運用されていたが、舟運の衰退と共に1948年(昭和23)年にその役割を終えた。

まだ残る線路沿いにはソメイヨシノやヤマザクラが植えられ、その数は約90本。文化財に指定され、すっかり観光施設となっている。

蹴上インクライン~哲学の道

蹴上インクラインから哲学の道へ向かうにはいくつかのルートがある。

今回は「疏水分線」沿いの細い遊歩道を行くことにした。
これは蹴上インクラインと南禅寺を結ぶハイキングルートでもある。ゆっくり歩いても20分ほどで南禅寺に着く。

道は狭いが、クルマが通らないため、静かで少し薄暗い雰囲気は気分を落ち着かせてくれる。

遊歩道へ行く手前には疏水関連の施設がいろいろあり、巨大構造物好き(自分も)にも楽しめる。

「疏水分線」というのは沿線各地へのかんがい用水、防火用水の供給を目的に作られた水路。

水の流れが早く、もちろんそんなことはできないが小さなボートでも浮かべればあっという間に南禅寺に着きそうだ。

しばらく歩くと「水路閣」に到着する。水路閣は疏水分線の水を通すためにつくられた高架水道橋。
京都御所で火災が起こった際の消火用水確保のためだったらしい。

延長約93メートル、幅約4メートル、高さ最大13メートルでレンガ造りの味わいのある建造物だ。

独特の雰囲気があり、構図が面白いのでここで写真を撮影する人が多い。秋には紅葉の名所でもある。

南禅寺はすぐ先にあり、平日だが多くの観光客でにぎわっていた。

お香を焚ける場所があり、ここも多くと人が訪れていた。

南禅寺を抜け、住宅地をしばらく歩くと、「哲学の道」に到着する。

まだ、早い時間帯のせいか、人の数はそれほど多くは無い。

「哲学の道」は銀閣寺と熊野若王子神社の間を結ぶ約2キロメートルの遊歩道。

20世紀初期の哲学者、京都大学教授の西田幾太郎が、この道を歩いて思想に耽っていたことにちなんで名付けられたという。

水路沿いの小道であり、この水路を流れるのも疏水の水である。
西側を流れる白川は北から南へ向かって流れるが、人工的に作られたこの水路は南から北へ流れているのが面白い。

桜の名所としても有名で、道沿いには日本画家の橋本関雪によって寄贈された関雪桜が並んでいる。
両脇に咲く桜景色は美しい。

しかし、時間が経つにつれ人通りが多くなってくる。
それもほぼ外国人。8割ぐらいは外国人で占めているのではなかろうか。

北上するに従い人の数も増えてくる。これではとても、思想に耽ることなんてできない(笑)

下は「哲学の道」のライブカメラの映像。

【LIVE】京都 哲学の道ライブカメラ(京都市観光協会公式)/The Philosopher’s Path, Kyoto Live camera

ちょっと疲れたので、どこかの店で休憩しようと思った。

良さそうな店を見つけたものの覗いてみるとお客さんがいっぱい。しかもほとんど外国人。オーマイガットである。

仕方が無いのでまたしばらく歩く。
すると、良さそうな店があったので、戸口から覗いてみる。
空いていそうだ、ここに入ることにした。

ホットコーヒーを注文し、ゆっくりと味わった。なかなか美味しい。

他の店は外国人ばかりで大盛況だが、この店はなぜか空いている。

しばらく休んだら元気が戻ったので、また北上を続ける。

人は多いが、この小径はずーっと桜並木が続いているのがいいね。

また、途中には神社やお寺もあり、これも楽しめる。

ほぼ哲学の道の終点あたりに到着。ここから先も桜並木が続くが、クルマが通ったり、住宅も多く、雰囲気はガラリと変わる。

人が多いのは近くに銀閣寺があるからだろう。駐車場にも観光バスがいっぱい並んでいた。

ここで折り返し、再び蹴上インクライン方面へ戻ることに。

蹴上疏水公園で、買ってあった総菜パンを頬張り、遅めの昼食を取り帰路についた。

蹴上インクラインの人混みはさらに多くなっていた。
平日でこれだけ多いけど、土日なったらもっと大変なことになっているんだろうね。

おわりに

朝は少し肌寒かったものの、日中は天候にも恵まれ、桜を存分に楽しむことができた。

しかし、もういい歳になってきたがまだまだ歩けるのはありがたい。

以前に比べれば疲れやすく、集中力が持続できなくなってきたのは確かなことだが、これをなんとか維持したいと思う。

また来年も同じようにここに来たいものだ。