コールマン「502スポーツスター」シングルバーナーを修理する(清掃・組立て編)


燃焼の具合が悪くなってしまったシングルバーナー「コールマン502スポーツスター」。
今回はその修理最終回。
残りの部品の清掃と組み立てを行ったので様子などをお伝えしたいと思う。

以前の記事はこちら。
コールマン「502スポーツスター」シングルバーナーを修理する(分解編)
コールマン「502スポーツスター」シングルバーナーを修理する(サビ取り編)

残る部品のメンテナンス

さて、前回で燃料タンクのサビ取りとサビのひどい外装部品のサビ取りと耐熱塗装ができた。
あとは残りの部品の清掃だ。

清掃が必要な部分は、ジェネレータ、フューエルチューブ、バルブステム、チェックバルブ、ポンププランジャーなど。
名前を聞いただけでは何がどこだかピンと来ないけど、画像を見てもらえばわかると思う。

また、いつものお話しだけど、
「自己流分解メンテナンス」なので以下のメンテナンス方法が正しいかどうかは全く関知していない
ので、そのおつもりで。
但し、最後はちゃんと動作はしたのでご心配なく(笑)

ジェネレーター

これは消耗品でもあるのでホントは交換したいところ、しかしこの部品、ディスコンのため今や数千円はする価格になっている。
昔はホームセンターでも安く売っていたのにねぇ・・・(買いだめしとけばよかった?)

ジェネレーターの筒が少々曲がっているが、ニードルが正常であれば動作上は支障ないのでこのまま使用することにする。

とりあえず分解。
画像の黄色矢印のチューブ内にはジェネレータコイル(スプリング状のもの)も入っているのでそれも取り出して清掃してやる。

先端のナット(オリフィス)はインチレンチの5/32で外すことができる。(無ければモンキースパナでもOK。)
組み立てるときは、締めすぎないよう注意。相手が真鍮なので簡単になめてしまう。

「ニードル」にはカーボンがびっしりこびりついているので、傷つけないようカッターでカーボンをだいたい落とした後、1000番のペーパーで磨いてやる。

また、組み立てるときは、ニードルにジェネレータコイルを先に通しておけば、チューブに入れる際、先端の極細針があらぬ方向に行ってしまうのを防げる。

あとはそれぞれの部品の黒ずみを真鍮ブラシやコンパウンドで落としてやる。
(もっとピッカピカにしたい人は酢や重曹を使う方法もあるので、ググっていただきたい。)

あと、ネジ部分にはスレッドコンパウンドを塗っておいた。
スレッドコンパウンドは、サビや腐食、高温による焼付から保護してくれるグリス。

銅の微粒子が含まれており、茶色のドロッとした液状になっている。


これをネジ部分にうすく塗布してやる。
またいつの日か分解清掃が必要になるかもしれないので、その時のためのおまじないだ。

バルブアッセンブリー

分解するときは、黄色矢印の袋ナット(バルブステムナット)がどのあたりまで締めこまれているか覚えておくとよいだろう。
次に締めつけるときの目安になる。

このナットの内側には「グラファイトパッキン」が入っている。

グラファイトとは黒鉛のこと。
これでバルブステムのエアー漏れやガソリン漏れを防ぐパッキンの役目をする。
ゴム製のパッキンより熱やガソリンに強いため使われているらしい。

古いストーブではこれが劣化してボロボロになっていることがあるようで、できれば交換するのがよい。
今回も分解すると、見える部分が顆粒状になっていた。

新しいグラファイトパッキンはネットで調べれば入手できる。
型番は118B620,118B6201,242-620,242-6201等で、互換品としてひとつ300円~500円程。

グラファイトパッキンは叩いても出てこないので、小さなマイナスドライバとかで、ホジホジと崩しながら取り出す。
鉛筆の芯の親玉みたいなものだから、簡単に崩れてくれる。

ナット内部をきれいにしたら、新しいグラファイトパッキンを押し込んでやる。

次にナットを手で回せる限界まで締める。

次にバルブノブを取り付けて回してみる。
まだゆるゆるなはずなので、ノブが適度な固さで回るぐらいまでナットを締め付けたらOK。

チェックバルブ

チェックバルブの構造は下の画像のようになっている。
内部に小さな鉄球(ボールベアリング)が入っていて、振ってみるとカチカチと鉄球の動く音がする。
これで圧力の逆流を防いでいるわけだ。

 出典:コールマン メンテナンスブック

振ってみて音がしなければ汚れで鉄球がスムーズに動かなくなっている可能性があるので清掃をしてみる。

チェックバルブにはOリングのパッキンが使われている。これも消耗品なのでついでに交換してやる。

純正品はたぶん高いと思うので、ホームセンターで売っているOリングで代用。(4個入りで100円程)
内径サイズが9mm程度のものが使える。耐油性のものを選択しよう。

メンテナンスできたら、チェックバルブレンチで燃料タンクへ元通り取り付ける。

ポンププランジャー

ポンプカップも傷んでいれば交換。
今回は特に汚れていなかったので、古いオイルをふき取り、リュブリカントオイルをたっぷりとつけて、タンクへ収めてやった。

カラー

この際だから、カラー(襟という意味)も汚れを落とし、メタルポリッシュで磨いておくと見映えが良くなる。

メンテナンスが終わった各パーツ。

前回、サビ取りと耐熱塗装が終わった各パーツ。

組立てと動作テスト

次に圧力テスト(エアー漏れの確認)ができるところまで組み立ててやる。

バルブアッセンブリーはかなりの力で締め込むことになるので注意して取り付ける。
今回は特にエアー漏れ防止のためのシール処置をせず、そのまま取り付けたがエアー漏れはしなかった。
心配ならシール材を使うのも良いかもしれない。(液状のものをホームセンターで売っている。)

バルブは、まずは手で締められるところまで回して、あとは工具でゆっくりと締めてゆく。
わしの場合はパイプレンチを使用した。
キズ防止のため、厚手のダンボールを適当な大きさに切って、それで挟んでやるとよい。

バルブの位置だが、後でレギュレータと接続する必要があるため、下画像の位置(角度)ぐらいまで締め込んでおく。
(バルブの管の部分はある程度曲げられるが動かしすぎると根元からポッキリ折れるので注意。)

圧力テスト(エアー漏れの確認)

次にエアー漏れの有無をチェック。
わしの場合、圧力計があるのでそれでチェックを行ったが、エアー漏れ、燃料漏れの確認方法はいくつかあるのでネットでググってみてほしい。

ちなみに圧力計を自作したので、その作り方はこちら。
コールマンバーナー用圧力計を作る

テストの手順は以下。
燃料は入れず、燃料キャップを取り付けて、バルブノブを「閉」にする。
ポンピングして、圧力を加える。

0.2MPa以上までポンピングして、圧力低下の具合を見る。

15分放置して低下が0.02MPa以内で安定していれば大丈夫だと思う。
どんどん下がり続けるようであれば、どこかでエアー漏れが起きている。

わしの場合、下がり続けたが、バルブステムのバルブステムナットの締め付けが甘かったようで、増し締めしてやったら安定した。

組立て

エアー漏れが無ければ、最終組み立てだ。
ちゃんと燃焼するか不安でもあるが、楽しい時間だね。

分解の逆の手順で組み立ててゆく。

バーナー部分の組立て。

インナーバーナーカップをねじ込むときはスレッドコンパウンドを塗っておくと良いと思う。

ジェネレータの取り付け。

バーナーサポートとバルブステムアセンブリーとのギャップはこれくらい空いている。
(水色矢印部分)

バルブステムアセンブリーとレギュレーターアセンブリーとを接続する。

燃焼テスト

グレート(鍋、やかんを置く格子金具)を付ける前に燃焼テストをしてみよう。

燃料を入れて、再度ポンピング。
炎をなるべく上げず、短時間で青い燃焼にもってゆくのは、十分にポンピング(0.2MPaぐらい)するのがコツだ。
よく炎上状態になっているのを見かけるが、これはポンピング不足。

バルブを開けて、点火。
安定して燃焼するようだ。久しぶりに青い炎を目にすることができた。

しばらく燃焼させて正常ならグレートを取り付けて修理完了だ。

工具

今回使用した工具類など。

画像にないもので、プラス、マイナスドライバも必要。
1000番程度の紙ヤスリもあると良し。
インチスパナセットを持っておくとコールマンメンテナンスに何かと役に立つ。

おわりに

結局、今回の燃焼不良の原因は燃料の供給系統の目詰まりだったと思う。
タンク内のサビの破片が供給系統に入り込んだのかもしれないし、ジェネレータにも結構カーボンが溜まっていたのでそれが原因していたのかも知れない。

詳細に原因を特定することはできなかったが、少なくとも供給系統をきれいにしてやれば再び動き出す可能性は高い。
単純な構造ゆえ修理もしやすいわけだ。

これからもちゃんとメンテナンスしてやればまだまだ使えそう。
しかし交換用の部品が枯渇してゆくのが悲しい。
部品が壊れてしまった場合はかなり困るだろう。

まだまだオールドコールマンを愛用している人も多いはず。
いろいろ大人の事情もあるだろうが部品の供給をしてくれたらとても助かるんだけどなぁ・・・

さて、次回は番外編ということで、バルブノブやタンク本体のラベルの裏技的?再生を行ってみようと思う。