さて、前回はブレッドボートに部品を組んでみてヘッドライト回路がちゃんと動作することを確認した。
ライトモニターを作ってみた ヴェゼル(RV系前期)【設計編】
今回は、回路を基板に組み、パネルを製作し、光センサーをヘッドライトへ埋め込んでみる。
製作
まず、光センサーモジュールをちょっと加工する。
光センサーモジュールについている光センサーはヘッドライトの光を検出させるため延長する必要がある。
そのためため基板から外してしまう。
スルーホール基板なので外すのがちょっと厄介だが、ハンダ吸い取り式のハンダごてなどを使うと簡単に外すことができる。
次に回路図を元に回路をユニバーサル基板(蛇の目基板とも呼ばれる)に組む。
下図は実体配線の例だ。これは大きい基板のサンプルなので余白を削ってもっと小さくするとよい。
わしはコンパクトにするため回路基板と光センサーモジュールを亀の子構造にした。
このため、光センサーモジュールのヘッダーピンは逆向きにハンダ付けし直してある。
これを小さなケースに収める。
ケースはタカチ電機工業の「SW-40」というプラスチックケースだ。
大きさはW30 x H20 x D40。
外から光センサーの感度調整ができるよう、ボリュームの部分は穴を開けた。
パネル製作
次にLED表示パネルを製作する。
ステアリング右側にあるガーニッシュ部分が殺風景なので、ここにLEDを設置することにした。
合皮が貼ってある部分なので、きれいに穴を開けようとしてもうまくいかないことは目に見えている。
そこで、この部分に大きな穴を開けて、上からスモークアクリルを貼ることで見栄えを良くすることにした。
大きな穴を開けるのは、今後デジタル電圧計とか別の表示器を組み込もうと思っているからだ。
まずガーニッシュの形に合わせて3ミリ厚のスモークアクリル板を切り出す。
アクリル板に熱を加えて、ガーニッシュの湾曲に沿うように曲げる。
エッジは削って丸くしてやった。
とりあえずビス止めしてみて雰囲気を見てみる。
まあ、イメージ通り。
次にガーニッシュに穴を開ける。
下は穴をあけた後、LEDをハンダ付けするユニバーサル基板を取りつけた状態だ。
基板表面は艶消しブラックで塗装して目立たないようにした。
基板にLEDをハンダ付けし、仮で点灯させて、明るさや光り具合を見てみる。
今回は小さい四角いLEDが手元に有ったので2つづつハンダ付けした。
明るさは使うLEDによって違うので、抵抗値は増減してやる。
外が明るいときはちゃんと見えて、暗いときは明るすぎないことだ。夜間に煌々と明るいのは目に痛い。
ちなみに、赤がブレーキライト、白がヘッドライト、オレンジがスモールライトだ。
点灯テスト1
パネルと回路基板ができたら、お互いをつないで、テストをしてみる。
尚、パネルと回路基板は10Pのフラットケーブルにコネクタをつけて基板側のピンヘッダと接続するようにした。これで分離可能となる。
こんな時、+12Vが出力できる電源があると重宝する。
高価なものはいらないので、ハードオフとかの中古屋さんで12VのACアダプタを買ってきて、先端にミノムシクリップを付けるとよい。
なるべくスイッチングタイプのACアダプタを探すこと。昔のACアダプタは12V出力となっていても異常に高電圧のものがある。
ACアダプタの電流容量はそう大きくないが、ちょっとしたテストには使える。
(改造してミノムシクリップ、電源スイッチとランプをつけた12VのACアダプタ)
テストとしては、
ブレーキのラインに+12Vをつないで、ブレーキLEDが点灯すること。
スモールのラインに+12Vをつないで、スモールLEDが点灯すること。
スモールLEDが点灯している状態で、光センサーラインに光センサーをつなぐか、560Ω程度の抵抗をつないで、ヘッドライトLEDが点灯、消灯できること。
(検出レベルは光センサーモジュールのボリュームで調整する。)
各ライトの電源ラインをつなぐ
ここまで完成したら、次にブレーキとスモールライトの電源ラインと接続する。
ブレーキライトとスモールライトの電源ラインは助手席の足元左にあるC141カプラに来ている。
3つのカプラが縦に並んでいて、中央がC141カプラになる。
このカプラーの6番がブレーキライト、3番がスモールライトの電源ラインだ。
線色でいうと、ブレーキはうす緑、スモールは緑だ。
どちらも2本線で束ねてあるが、どちらの線でも良い。
配線をする場合は、必ず0Vであることを確認しておく。活線状態でグランドとショートすると車体側フューズが飛ぶ。
心配ならバッテリーのマイナス側を外しておくのが良いだろう。
また回路図にあるように、必ず配線の途中に1A程度のフューズを入れるようにしよう。ブレーキライト、スモールライト(尾灯)はクルマの保安部品である。
回路不良、配線不良で万が一短絡した場合、クルマ本体のフューズではなく、このフューズが切れてくれる。
いちおうカプラーのピンアサインを載せておく。
点灯テスト2
回路基板とつないだら、ちゃんとLEDが点灯することを確認する。
ブレーキLEDはブレーキペダルを踏む。スモールLEDはライトスイッチをスモール点灯にして点灯すればOK。
光センサーの設置
さて最後の難関は光センサーの設置だ。
光センサーの設置場所については、ヘッドライトユニットの外側にこっそり接着する方法を考えていたが、これはちょっと美しさに欠ける。
外側では雨風に晒され、外れたり劣化も早くなるだろう。それに車検時何か指摘されるかもしれない。
やはり、ヘッドライトユニットの内部へ入れてしまうのが理想だ。
先日、ヘッドライトの殻割りを行ったとき、良いアイデアを思いついた。
ちょうど、ヘッドライトの正面部分の上部に四角い切り欠き部分があるのだ。
ハウジングカバーのこの位置に穴をあけ、光センサーを挿し込んで灯火が当たるようにすればよい。。
それなら、ヘッドライトユニットの殻割りのような面倒なことをしなくても済む。
考えたのは細いアルミパイプを差し込んで、ヘッドライトの灯りが先端の光センサーが当たる位置までアルミパイプを下げてやる方法。
そこで、まずヘッドライト点灯時の灯りを検出する光センサーの工作をおこなう。
まず外しておいた光センサーにリード線をハンダ付けする。
光によって抵抗値が変化する素子なので極性は無い。接続部分は短絡しないようヒシチューブなどで絶縁しておく。
次に直径6mmのアルミパイプを55mmの長さに切り出す。
切り出したアルミパイプの先端を加工して、光センサーが横向きに取り付けられるようにする。
光センサーは接着剤でくっつける。
アルミパイプのリード線出口も防塵防水のため、同様に接着剤で固めておく。
お勧めの接着剤は「ボンド ウルトラ多用途SU ブラック」だ。固まるまでに時間がかかるが、柔軟性があり耐候性が高い。
「アルミパイプ光センサー」をイラスト化したものが下図。
光センサーはこの方法で行くことにしたが他にも方法はある。
例えばアクリル棒を切り出して、それをアルミパイプと同様に挿し入れて光を取り出す方法。これは最初に考えた方法だ。
こちらでもうまくいくと思う。それにこちらの方がなんとなく美しいような気がする。
(アクリル棒は光が入るように先端を斜めにカットしてある)
さて、内蔵するにあたり、いきなりヘッドライトユニットに穴を開けるのは気が引けるので、まずは仮に設置してみて正しく動作するかテストしてみる。
そのためには、室内からエンジンルームまで配線を通す必要がある。
これにはフロントカメラ用の穴を流用するのが良い。
この穴は左前のタイヤハウス内にあり、タイヤハウス内のカバーを外すと見える。
フロントカメラが無い場合は穴にキャップがはめられているが、フロントカメラが設置されている場合は下のようにケーブルが通っているはずだ。
いずれの場合もこの穴を利用してエンジンルームまで配線を通せば良い。
配線が通せたら、回路基板と接続し、先に作成したアルミパイプ光センサーを接続する。
後でまた整線するので余長を残したままでよい。
アルミパイプ光センサーをヘッドライトのなるべく隅っこの灯りが当たる部分に貼り付ける。
なるべく灯火の邪魔にならないように気を付けることだ。減光は整備不良と見なされる。
(仮止めした光センサー。あまりに不格好だったので、この後透明の両面テープに変更した)
点灯テスト3
これでヘッドライトのオンオフを繰り返したり、実際に走行してみて、ヘッドライトLEDが正しく点灯、消灯するか確認する。
光センサーモジュールの感度ボリュームの調整は、まずヘッドライトを点灯させ、LEDが点灯するところまで適当にボリュームを回しておく。
次はLEDが消灯するところまでに回す。そして、再び点灯するところまで戻し、もう少しだけ戻してやる。
わしの場合、左に回し切った状態から40度~45度ぐらいの位置だった。
光センサーを埋め込む
問題がなければ、ヘッドライト内部へ「アルミパイプ光センサー」を埋め込む。
「アルミパイプ光センサー」は外から目立たず、かつ確実に光を拾う場所に先端の光センサーを設置するのが肝だ。
イメージとしては下図のようになる。
ヘッドライトユニットに穴を開けるためドリル、2.5mm程度の細いドリル刃、6mmのドリル刃を準備する。
仮止め用のテープも準備。できればピンセット、細いアルミワイヤー、両面テープがあると良い。理由は後ほど。
まず、穴をあける場所は以下の部分だ。
左側にヘッドライトハウジングの篏合用の爪が隠れているが、その中央から15mmの位置になる。
白ペイントペンなどで印をつけておくと良いだろう。
穴をあける場合、ガーニッシュが少々邪魔なので、少し丸く削り取る。
次に細い2.5mm程度の刃で予備穴をあける。ゆっくり慎重に。
次に本命の6mmの穴をあける。勢いあまって貫通し過ぎると、ヘッドライト内部を傷つけたり、大量の切りくずが入ってしまうので慎重に。
深く入りすぎないようにドリル刃先端にマスキングテープを巻いておくのがよいだろう。
穴が開いた。切りくずが出るので、中に入ってしまわないようピンセットで慎重に取り除く。
もし、切りくずがヘッドライト内に入ってしまったら、百均で売っているアルミ針金の先端に粘着テープを貼り、それを挿し込んでそっと拾い上げればよい。
アルミパイプ光センサーの上下位置は、ヘッドライトを点灯させ、センサーを下げて行ってLEDが点灯した部分で止め、気持ちやや下げてやるとよい。
これでヘッドライトの下側から覗いてもやっと先端が見えるくらいの位置になる。
(矢印部分が光センサー先端。言われればやっと見えるぐらいの位置になっている。灯火の邪魔はしない)
検出が不安定なら、調整ボリュームでやや感度を上げるとよい。
とりあえず、テープで固定して位置が変わらないようにして、試験走行を何度かしてやる。
問題が無ければ、位置固定と防水、防塵のため接着剤で固める。
これも「ボンド ウルトラ多用途SU ブラック」を使用した。固まるまで数時間動かさないようにする。
書き忘れていたが、新型ヴェゼルには自動もしくは手動のヘッドライトレベライザーが搭載されている。
これは乗車人員や荷物重量により、車両の前後の傾きが変わるためヘッドランプの上下照射位置を適正位置に調整するものだ。
ヘッドライトユニットに付けられたモーターによりヘッドライト内部を物理的に動かしている。
今回設置した光センサーはこのレベライザーとは干渉しない場所なのでご心配は無用だ。
これでライトモニターは完成した。
プラスチックケースに収めた回路基板は下図の位置にマジックテープで固定した。
そのため周辺を削ったが、強度的には問題なさそう。これで必要時は感度の調整ができるようになる。
おわりに
設置後しばらく経つが、問題なく動作しているようである。
設置後気づいたことだが、スモールライト点灯とパネルイルミネーションが点灯(ナビも夜間表示になる)するタイミングが同じではないということだ。
パネルイルミネーションは随分あとに点灯するのだけど不思議だね。
新型ヴェゼルのZグレードは外光を2か所のセンサーで検出しているみたいなのだが、その関係かな?
この謎はまた調べてみることにしよう。
インジケーターLEDが点いたり消えたりするのはやっぱり楽しいのでついニンマリしてしまう。嫁さんに教えると「ふ~ん」だった。ま、興味ないわな。