「鉄粉取り粘土」の効果はいかほど?


先日、クルマのボディコーティングをする機会があり、ついでに気になっていた「鉄粉取り粘土」の効果を検証してみた。

鉄粉取りとは?

鉄粉取りとはボディ塗装面に付着した微細な鉄粉や異物を取り除く作業。

鉄粉はクルマのブレーキパッド、ブレーキディスクの摩滅や列車が走ることで発生する線路の摩滅などが主な発生源。

浮遊する鉄粉はボディに付着するが、すぐに洗い流せば落とすことができる。
しかし、放置することによって、鉄粉はしだいに酸化し塗装面に固着、侵食してしまう。

特に塗装が淡色のクルマでは黒や茶色の点々が発生しだんだんと目立つようになってくる。

こうなると洗車したぐらいでは落とせなくなってしまう。
そこで「鉄粉クリーナ」や「鉄粉取り粘土」を使い落とすことになるわけだ。

鉄粉除去のツール

まず「鉄粉クリーナー」。
スプレーボトルや液状で販売されていて、酸化鉄と化学反応させ鉄粉を除去しようというもの。

主成分は「チオグリコール酸アンモニウム」。
化学反応によって酸化鉄を水に流せる物質に変化させる。

薬剤を塗ると紫色に変化する部分が現れるが、これが酸化鉄と薬剤が反応した部分。(鉄イオンとの化合物)

このクリーナー、配合成分によるものか甘い香りがする。しいていえばぶどうジュースの香り?
人によっては皮膚炎を起こすことがあるので、直接触らないようにするかゴム手袋をするとよい。

尚、注意書きが書いてあるが、イエロー(黄色)塗色のボディには使用できない。
理由はイエローの塗料には酸化鉄が使用されているため、薬剤が塗料そのものに反応してしまうため。
誤って使用すると研磨しても復元は不可能で、再塗装しないと元には戻らないとのことだ。

代わって「鉄粉取り粘土」。
「粘土クリーナー」や「トラップ粘土」とも呼ばれていて、塗装表面の異物や鉄粉を物理的に絡めとってしまう方法。

粘土といっても油ねんどのようなものではなく、チュウイングガムの噛みカスを大量に集めたようなもの、と表現したらわかりやすいかも。
(ひょっとするとホントに噛みカスでも応用できるかもしれないな・・・)

水をかけながら、ボディ表面をこすることで、異物(鉄粉等)を粘土内に取り込む。
当然、異物といっしょにボディをこする状態の時があるので、ボディに傷がつくことは否めない。

しかし、マメに粘土を織り込んで、絶えず新しい面で行えば、傷つきは抑えることができるだろう。

検証方法

では「鉄粉取り粘土」がどれほどの効果があるのか検証してみる。

今回は上記の「車まるごと鉄粉クリーナー 500mL」と「鉄粉取り粘土 細目 200g」を使用した。

どうやって検証するかというと、ドア2枚に対して、片側は鉄粉取り粘土を使い、もう一枚は何もしない。
そして、両ドアに鉄粉クリーナーを同じように塗布する。

これで、先ほどの紫色反応がどう違うか、すなわち鉄粉がどれほど残っているか分かるはずである。

ちなみにこのクルマ、約一年半、一度も洗車したことがありません(仰天)

検証の前に、まず洗車してボディ表面に付いている汚れを洗い流す。

そして、後ドア(赤の囲み)のみ鉄粉取り粘土を使用する。前ドア(青の囲み)には何もしない。

鉄粉取り粘土はゴシゴシこすらず、水をかけながら、撫でるようにボディ表面上を滑らせてゆく。
時々ひっかかる感じがするが、それが異物。数回こするとひっかかり感が無くなってゆく。
尚、今回使用した「鉄粉取り粘土」は半分に切って使用した。

数回こすると粘土に異物が取り込まれているのがわかる。

鉄粉取り粘土での処理が終わったら、鉄粉クリーナーを両ドア全体にスプレーしてゆく。

結果は下記画像。

画像では分かりにくいかもしれないが、鉄粉取り粘土を使用した後ドア(赤の囲み)はほとんど紫色の反応が出ていないのに比べ、未処理の前ドア(青の囲み)はかなり紫色に変化している。
(画像クリックで拡大)

下は粘土未使用側の拡大画像。

鉄粉取り粘土は効率よく鉄粉が取れているようだ。

一度水洗い後、再度鉄粉取りクリーナーを塗布してみる。
すると粘土未使用側も紫色反応はかなり少なくなくなっている。(画像クリックで拡大)

結果は予想以上

最初は疑問視していた鉄粉取り粘土だが、かなりの効果が期待できることがわかった。
但し、ちまちまボディ全体に行わなければならなので効率は悪い。

しかも立ったり、中腰になったり、しゃがんだり、結構重労働。

でもある意味、全身運動になるので、運動不足、ダイエット志向の人にはお勧め(笑)

鉄粉クリーナーはスプレーすれば済むのでお手軽だ。
しかも、2回塗布すれば、鉄粉はほぼ除去できるようだ。

しかし、この薬剤、すこぶる泡切れが悪い。
薬剤を完全に洗い流すには大量の水を必要とするだろう。

また独特のにおいもする(個人的には悪いにおいではないが)ので、ボディ全体に使う場合は、部分ごとに使用して水で洗い流し、次の部分に移るという方法がよいかもしれない。

おわりに

今後も粘土も積極的に使っていこうと思う。
ただ、消耗品であることは間違いないので、作業ごとに新しいものを使用するぐらいの気持ちがよいかも。

また手が滑って地面に落としまうと、細かい砂やホコリがついてしまい、異物の付着に気づかず使用すればボディに大きな傷を付けてしまいかねない。
汚れた面はカッターナイフなどで確実に切除するか、いっそのこと廃棄するのが良いと思う。

さて、次回は素人には難しいと言われるガラスコーティング(ガードコスメSP)をDIYでやってみたので、その顛末を書いてみたいと思う。
果たしてうまくいったのかな・・・